ブリッジレポート:(9278) ブックオフグループホールディングス 既存店好調 地域に応じた商材強化

2019/08/29

 

 

堀内 康隆 社長

ブックオフグループホールディングス株式会社(9278)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

小売業(商業)

代表取締役社長

堀内 康隆

所在地

神奈川県相模原市南区古淵2-14-20

決算月

3月

HP

https://www.bookoffgroup.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,414円

17,447,413株

24,671百万円

16.7%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

18.00円

1.3%

68.78円

20.6倍

736.20円

1.9倍

*株価は8/14終値。ROE、BPSは前期末実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2016年3月(実)

76,564

-530

5

-528

-25.69

25.00

2017年3月(実)

81,344

116

588

-1,159

-56.41

10.00

2018年3月(実)

80,049

613

1,092

-889

-43.31

10.00

2019年3月(実)

80,796

1,550

2,120

2,172

112.19

15.00

2020年3月(予)

83,000

1,800

2,300

1,200

68.78

18.00

*予想は会社予想。単位は百万円、円。

 

 

ブックオフグループホールディングス株式会社の2020年3月期第1四半期決算の概要と今後の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年3月期第1四半期決算概要
3.2020年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 20/3期1Q(4-6月)は前年同期比5.8%の増収、同288.2%の営業増益。(国内直営)既存店売上高が前年同期比104.9%と好調に推移する中、2019年5月に直営化した九州地区のフランチャイズ9店舗や前期の新規出店店舗が寄与。グループEC売上も同13.6%増と伸びた。利益面では、既存店の好調に加え、百貨店内で買取事業を行う「hugall(ハグオール)」の損益も改善し、営業利益率が4.5%と3.3ポイント改善した。 
  • 通期業績予想に変更はなく(2Q予想は非開示)、前期比2.7%の増収、同16.1%の営業増益予想。通期予想に対する進捗率は、売上高25.1%(通期実績ベースの前年同期の進捗率24.4%)、営業利益52.5%(同15.7%)。利益面での進捗が著しいが、今後予定しているシステム投資負担や消費税増税の影響等を勘案し、通期業績予想を据え置いた。配当は3円増配の18円を予定(予想配当性向26.2%) 
  • 既存店の好調は地域主権による各店舗の活性化が背景にあり、各店で地域特性に応じた取扱い商材の強化が成果をあげている。また、グループEC売上も伸びており、BOOKOFF Onlineを活用したオムニチャネル化、言い換えると、「ひとつのBOOKOFF」の実現・浸透によるもの。1Q決算で「個店を磨く」と「総力戦で取り組む」という基本戦略が着実に実行されている事が確認できたが、課題事項である既存店の売上客数が未だ前年割れの状況。アプリ会員向け来店促進策等でテコ入れを図る考え。1Q末のアプリ会員は74万人と、目標である2Q末100万人に向けて順調に推移している。 

1.会社概要

書籍、CD、DVD、ゲーム、アパレル、スポーツ用品、ベビー用品、雑貨など様々なジャンルでリユース(再使用)事業を展開する日本最大級のリユースチェーンをグループで展開。北海道から沖縄まで全国をカバーする店舗ネットワーク(直営+フランチャイズ)は800店を超え、「ネットリユース」とのシナジーを追及している。

 

【ブックオフグループの経営理念】

・ 事業活動を通じての社会への貢献
・ 全従業員の物心両面の幸福の追求
上記経営理念の下、「本」の買取・販売を中心に様々なモノのリユースに取り組む中で育んできた、ブランド、店舗網、そして人財がグループの強みとなっている。「多くの人に楽しく豊かな生活を提供する」事を使命とし、「リユースのリーディングカンパニー」と「自信と情熱を持って安心して働き、成長できる会社」を目指している。

 

【ダイバーシティへの取り組み】

「従業員は最大の財産である」、「知力と人間力を備えた「人財」の成長が、会社の成長に直結する」と同社は考えている。個々の従業員が男性も女性も強みを活かし、職場環境を整えることに努め、また従業員の能力開発や自己実現の機会を提供できるよう努めている。この一環として、2014年10月に特定地域内での勤務が可能な地域選択制度を導入した他、従業員同士が夫婦の場合、配偶者の転勤にあわせて転居先の近くの店舗への異動を配慮する「夫婦帯同転勤制度」を導入した。また、障がい者雇用にも取り組んでおり、2010年10月にビーアシスト(株)を設立した(同年12月に障害者雇用促進法に基づく特例子会社として認定)。働く事ができる障がい者の方に「福祉」ではなく「企業の活動」として就労の機会・環境を提供し、社会参加・自立を支援しており、ブックオフグループ全体で100名を超える障がい者の方を雇用している。

1-1 事業内容

書籍・ソフト等のリユースショップ「BOOK・OFF」のチェーン本部としてフランチャイズ(FC)システムの運営及び直営店舗の運営を行っている。直営店舗は、本・CD・DVD・ゲームソフト・家電・携帯等を取り扱う「BOOK・OFF」、「BOOK・OFF」にアパレル・ブランド品等を加えた中型複合店舗「BOOKOFF・PLUS」、及び書籍・ソフトの他、家電(オーディオ・ビジュアル、コンピュータ等)、アパレル、スポーツ用品、ベビー用品、腕時計、ブランドバッグ、貴金属、食器、雑貨など幅広いリユース品を取り扱う総合リユースの大型複合店舗「BOOK・OFF SUPER BAZAAR」の3つのタイプで展開している。

 

そのほか、ECサイト「BOOKOFF Online」及び大手百貨店内で富裕層向け買取サービス等を行うハグオール、新刊書店の運営及びブックレビューコミュニティサイトの運営等を行っている。

 

主な子会社は、(株)ブックレット、(株)ブックオフウィズ、(株)ブックオフ沖縄、リユースコネクト(株)、(株)マナスが、国内で「BOOKOFF」店舗の運営を行なっている。(株)ブックオフウィズは、上記に加え、アパレル・ベビー用品等のリユース店舗の運営を行なっており、腕時計・ブランドバッグ・貴金属等のリユースショップ・チェーンである「キングラム」のFCでもある。また、(株)ブックレット、(株)ブックオフウィズ、(株)ブックオフ沖縄は、アパレル等のリユース店舗の運営も行なっている。

 

海外では、BOOKOFF U.S.A. INC.が米国で「BOOK・OFF」店舗の運営、BOK MARKETING SDN.BHDがマレーシアで「Jalan Jalan Japan」の運営をそれぞれ行なっており、SCI BOC FRANCEがフランス国内に所有する不動産の賃貸を行っている。

 

 

(同社資料より)

 

2.2020年3月期第1四半期決算概要

2-1 第1四半期(4-6月)連結業績

 

19/3期 1Q(4-6月)

構成比

20/3期 1Q(4-6月)

構成比

前年同期比

売上高

19,679

100.0%

20,828

100.0%

+5.8%

売上総利益

11,738

59.6%

13,032

62.6%

+11.0%

販管費

11,495

58.4%

12,086

58.0%

+5.1%

営業利益

243

1.2%

945

4.5%

+288.2%

経常利益

453

2.3%

1,092

5.2%

+141.1%

親会社株主帰属利益

216

1.1%

625

3.0%

+189.3%

*単位:百万円

 

前年同期比5.8%の増収、同288.2%の営業増益
売上高は前年同期比5.8%増の208億28百万円。国内直営既存店売上高が前年同期比104.9%(売上客数同98.7%)と好調に推移する中、2019年5月に直営化した九州地区のフランチャイズ9店舗や前期の新規出店舗が寄与。グループEC売上(※)も、27億81百万円と同13.6%増加した。
営業利益は同288.2%増の9億45百万円。国内直営既存店の好調に加え、百貨店内で買取事業を行う「hugall(ハグオール)」の損益も改善し、営業利益率が4.5%と3.3ポイント改善した。

 

※グループEC売上=「BOOKOFF Online」販売実績+「ヤフオク!」内BOOKOFFオークションストア直営店販売実績+「BOOKOFF Online」経由での直営店販売実績+「hugall」EC販売実績

 

第1四半期末店舗数及び新規出店
第1四半期末の国内店舗数は807店舗(直営店404、FC403店舗)。新規出店は、BOOKOFF SUPER BAZAAR 5号札幌宮の沢店(北海道札幌市、844坪)、BOOKOFF SUPER BAZAAR イトーヨーカドー流山店(千葉県流山市、802坪)、及びBOOKOFF 総合買取窓口 経堂農大通り店(東京都世田谷区、18坪)の3店舗。この他、直営既存店14店舗でリニューアルを実施した。
一方、海外の期末店舗数は15店舗(米9、仏FC2、マレーシア4)。第1四半期はマレーシアで「Jalan Jalan Japan」4号店(560坪)を出店した。

 

その他の投資
物流倉庫内業務の効率化推進等に取り組んだ他、「ひとつのBOOKOFF」を実現するべく、アプリ会員向けのサービス施策の充実や電子買取システムのフランチャイズ加盟店向け展開、更にはECサイト「BOOKOFF Online」を活用したオムニチャネル化とO2O戦略を推進するべく投資を行った。

 

商材別売上高・仕入高実績

 

*店頭商品のEC販売による売上高を含む
(同社資料より)

 

 

 

2-2 財政状態

 

19年3月

19年6月

 

19年3月

19年6月

 現預金

6,142

5,310

 仕入債務

431

367

 売上債権

1,590

1,540

 短期有利子負債(うちリース債務)

9,990(348)

11,496(365)

 たな卸資産

12,915

13,759

流動負債

16,518

17,056

流動資産

23,765

23,976

 長期有利子負債(うちリース債務)

8,934(1,159)

8,472(1,185)

 有形固定資産

5,932

6,200

固定負債

11,121

10,690

 無形固定資産

1,204

1,390

純資産

13,006

13,334

 投資その他

9,744

9,513

負債・純資産合計

40,647

41,080

固定資産

16,882

17,104

有利子負債合計(リース債務を含む)

18,924

19,968

*単位:百万円

 

第1四半期末の総資産は410億80百万円。借方では、順調な仕入(前年同期比104.9%)を反映して、たな卸資産が増加した他、新規出店で有形固定資産が増加。貸方では、有利子負債と純資産が増加した。自己資本比率32.1%(前期末31.6%)。

 

3.2020年3月期業績予想

3-1 連結通期業績予想

 

19/3期 実績

構成比

20/3期 予想

構成比

前期比

売上高

80,796

100.0%

83,000

100.0%

+2.7%

営業利益

1,550

1.9%

1,800

2.2%

+16.1%

経常利益

2,120

2.6%

2,300

2.8%

+8.5%

親会社株主帰属利益

2,172

2.7%

1,200

1.4%

-44.8%

*単位:百万円

 

通期業績予想に変更はなく、前期比2.7%の増収、同16.1%の営業増益予想
通期予想に対する進捗率は、売上高25.1%(通期実績ベースの前年同期の進捗率24.4%)、営業利益52.5%(同15.7%)。利益面での進捗が著しいが、今後予定しているシステム投資負担や消費税増税の影響等を勘案し、通期業績予想を据え置いた。

 

投資継続による既存店の活性化と新規出店やFC加盟店の直営化で売上高が830億円と前期比2.7%増加する見込み。利益面では、ハグオールの通期黒字化も見込まれ、「ひとつのBOOKOFF」実現に向けたIT投資や、Windows7サポート終了対応・消費税増税・軽減税率対応等の投資を吸収して、営業利益が18億円と同16.1%増加する見込み。経常利益も23億円と同8.5%増加する見込みだが、前期実績に一過性の要素が多く含まれていたため最終利益は12億円と同44.8%の減少が見込まれる。

 

直営既存店売上高の前提は前期比100.5%。19/3期(69店舗)と同規模の既存店リニューアルを実施する。新規出店は、BOOKOFF SUPER BAZAAR4店舗、BOOKOFF総合買取窓口7~8店舗、この他、FC加盟店の運営譲受による直営店舗数増(FC加盟店舗数は減少)9店舗。

 

配当は、1株当たり3円増配の18円を予定している(予想配当性向26.2%)。配当性向25%程度を目処に、業績に裏付けられた安定的な配当を実施していく方針。

 

3-2 課題と取り組みの進捗状況

19/3期は国内既存店売上高が期を通して前年同月の実績を上回ったが、同売上客数が総じて前年同月の実績を下回った。このため、20/3期の課題として、売上客数を掲げ、課題解決に取り組んでいる。

 

具体的には、来店促進策として、アプリ会員の獲得キャンペーンと定期キャンペーンを継続的に実施すると共に、「本だけじゃないブックオフ」の認知向上に向け、寺田心さんを起用したTVCMを放映して本以外の商材をアピールしている。アプリ会員は2019年9月末100万会員を目指している。定期キャンペーンについては、従来から実施している、年末年始、ゴールデンウィークなど多数の来店客数が見込める時期に合わせたキャンペーン・PR施策を計画している。

 

進捗状況
第1四半期の国内既存店売上客数は前年同期比98.7%にとどまった。一方、スマホアプリ会員数は2019年6月末時点で74万人と、目標である2019年9月末100万会員に向けて順調に推移している。アプリ会員向け来店促進策等で売上客数増を目指す考え。

 

4.今後の注目点

20/3期の取り組みは、地域主権による店舗活性化の継続、「ひとつのBOOKOFF」の実現・浸透発展、ハグオールの通期黒字化、及び新たなチャレンジの推進。また、組織・人材面で、地域支社制を軸とした直営・FCの一体運営や、人材育成に向け研修予算・メニューの充実にも取り組んでいる。
既存店の好調は地域主権による各店舗の活性化が背景にあり、各店で地域特性に応じた取扱い商材の強化が成果をあげている。また、グループEC売上も伸びており、BOOKOFF Onlineを活用したオムニチャネル化、言い換えると、「ひとつのBOOKOFF」の実現・浸透によるもの。通期黒字化に向け売上好調のハグオールも、グループEC売上の増加に寄与しているはずだ。
ただ、既存店については、課題事項である売上客数が未だ前年割れの状況。このため、アプリ会員向け来店促進策等でテコ入れを図る考え。地域支社制を軸とした直営・FCの一体運営や人材育成に向け研修予算・メニューの充実といった組織・人材面での取り組みと共に注目していきたい。

 

参考:コーポレート・ガバナンスについて

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態 監査役会設置会社
取締役 5名、うち社外3名
監査役 3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日: 2019年06月27日)
基本的な考え方
当社グループは、純粋持株会社であるブックオフグループホールディングス株式会社のもと、「事業活動を通じての社会への貢献」「全従業員の物心両面の幸福の追求」をグループ共通の経営理念とし、「経営の透明性・効率性の確保」「迅速な意思決定」「アカウンタビリティの充実」をコーポレート・ガバナンスの基本的な考え方としております。この考えのもと、株主をはじめお客様・従業員・取引先・地域社会等の各ステークホルダーと良好な関係を築くとともに、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みを整え、持続的な成長及び中長期的な企業価値向上を目指してまいります。

 

<実施しない主な原則とその理由>
【原則1-4】
当社は、「出資及び有価証券運用に関する規程」により、原則として政策保有目的の株式の取得を行わない方針を定めております。ただし、例外として、当社フランチャイズ・チェーン加盟企業の株式を保有することがあります。政策保有の株式の議決権行使については、議案の内容を精査し、必要に応じて企業との対話を行い、株主価値向上に資するものか否かを判断した上で、適切に行使いたします。

 

【原則4-11】
現在は社内取締役2名、社外取締役3名(うち独立社外取締役2名)、常勤監査役1名、社外監査役2名(うち独立社外監査役1名)であり、取締役は企業経営の経験者や公認会計士、豊富なビジネス経験を有する者、担当事業分野に精通した者、監査役は公認会計士、弁護士、及び事業会社出身者で構成されています。特に社外取締役及び社外監査役は豊富な知識と経験を有する者であり、健全で持続可能な成長が図れるように、構成員のバランスに配慮しております。取締役会の国際性の面は、当社グループの海外事業の比率を鑑み不要と考えておりますが、その一方でジェンダー面に関し、今後の検討課題と考えております。

 

<開示している主な原則>
【補充原則4-11①】
当社は、取締役会において、実質的で有効な議論を行うためには、取締役が8~10名程度、監査役が3~4名程度が適正と考えております。現在は社内取締役2名、社外取締役3名(うち独立社外取締役2名)、常勤監査役1名、社外監査役2名(うち独立社外監査役1名)であり、取締役は企業経営の経験者や公認会計士、豊富なビジネス経験を有する者、担当事業分野に精通した者、監査役は公認会計士、弁護士、及び事業会社出身者で構成されています。特に社外取締役及び社外監査役は豊富な知識と経験を有する者であり、健全で持続可能な成長が図れるように、構成員のバランスに配慮しております。また、取締役の選任に関しては、当社の企業価値向上に資する候補者であるかを基準に選定し、候補者との対話の機会を持った上で、指名諮問委員会規程に基づき、社長及び独立社外取締役を構成員とする指名諮問委員会で検討の上、取締役会にて決定しております。また、社外取締役の選任に係るガイドラインを定め、その独立性判断基準は、コーポレート・ガバナンスに関する報告書にて開示しております。

 

【原則5-1】
当社は、IR担当役員を選任し、経営企画部をIR担当部署としております。株主や投資家に対しては、決算説明会を半期に一回開催するとともに、逐次スモールミーティングや個別取材等を実施しております。また、IRポリシーを制定し、当社ホームページにて開示しております。

 

■IRポリシー<株主との建設的な対話を促進するための方針>
https://www.bookoffgroup.co.jp/ir/policy.html

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