株式会社キャンバス(4575 Mothers)
CBP501のパイプライン価値は最大368億円

2018/11/07

フォローアップレポート
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯

CBP501拡大相の対象がん種決定
キャンバス社は、2018年10月11日、最も重要な開発品であるCBP501(カルモジュリン・モジュレーター)の第Ⅰ相臨床試験後期(Phase1b)の拡大相の対象となるがん種を決定し公表した。対象がん種は、「すい臓がん」と「直腸大腸がん」であり、オプジーボのような免疫チェックポイント阻害剤の有効性が低く、比較的小規模の治験で奏功が確認される可能性があり、患者数も多数存在するがん種である。開発競争上の競合も比較的少なく、戦略的に最適な選択であると評価することができる。順調にいけば、拡大相の症例組入は2018年内に開始され、2019年前半に組入完了、拡大相終了が2019年中とも考えられるなか、キャンバスでは拡大相試験途上での導出提携も視野に入れているようだ。

CBP501は、免疫砂漠でも奏効
CBP501(カルモジュリン・モジュレーター)の作用機序として、次の3つの作用が期待されている。①がん微小環境下で免疫抑制作用を惹起するサイトカインの産生を抑制し、がん幹細胞を減少させる。②がん細胞の遊走・上皮間葉移行等を阻害する。③免疫原性細胞死を増加させ、がんに対する免疫反応が生じやすい環境をもたらす。これらの作用機序が、オプジーボのような免疫チェックポイント阻害剤の薬効が低い、免疫砂漠とも呼ばれるすい臓や遺伝子変異の少ない大腸がんでの奏効率を向上させると考えられる。

CBP501のパイプライン価値を試算すると35-368億円
改めて、CBP501に関するパイプライン価値の試算を行った。早期導出の可能性を鑑みて、前回より導出時期を1年前倒しして、2020年と想定を変更した。成功確率は、Phase1段階にあるため10-30%とした。市場規模(ピーク時)を、既存薬の薬価や市場浸透率などを勘案して1000億円、成功確率10%という条件では、パイプライン価値は35億円だが、市場浸透率が上がり、アバスチンのように5000億円市場が見込めるという仮定の下では、153億円―368億円という試算値が算出される。キャンバスはCBP501のみならず、それを基としたカルモジュリン・モジュレーターをシリーズで創出していくことを企図している。今回の拡大相試験の結果、カルモジュリン・モジュレーター技術そのものが画期的なものとして認識されれば、単独の開発候補品としてではなく、創薬プラットフォームとして、より高い価値を見出される可能性もあろう。

>>続きはこちら(983KB)

TIW/ANALYST NET
ANALYSTNET企業レポート   TIW/ANALYST NET
証券アナリストに限定せずに、コンサルタントや研究者など幅広い執筆者による企業分析・評価によってアナリストレポートへのアプローチと収入基盤の多様化を目指すプロジェクトです。
本レポートは、株式会社ティー・アイ・ダヴリュが「ANALYST NET」の名称で発行するレポートであり、外部の提携会社及びアナリストを主な執筆者として作成されたものです。
  • 「ANALYST NET」のブランド名で発行されるレポートにおいては、対象となる企業について従来とは違ったアプローチによる紹介や解説を目的としております。株式会社ティー・アイ・ダヴリュは原則、レポートに記載された内容に関してレビューならびに承認を行っておりません。
  • 株式会社ティー・アイ・ダヴリュは、本レポートを発行するための企画提案およびインフラストラクチャーの提供に関して、対象企業より直接的または間接的に対価を得ている場合があります。
  • 執筆者となる外部の提携会社及びアナリストは、本レポートを作成する以外にも、対象会社より直接的または間接的に対価を得ている場合があります。また、執筆者となる外部の提携会社及びアナリストは、対象会社の有価証券に対して何らかの取引を行っている可能性あるいは将来行う可能性があります。
  • 本レポートは、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、有価証券取引及びその他の取引の勧誘を目的とするものではありません。有価証券およびその他の取引に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任で行ってください。
  • 本レポートの作成に当たり、執筆者は対象企業への取材等を通じて情報提供を受けておりますが、当レポートに記載された仮説や見解は当該企業によるものではなく、執筆者による分析・評価によるものです。
  • 本レポートは、執筆者が信頼できると判断した情報に基づき記載されたものですが、その正確性、完全性または適時性を保証するものではありません。本レポートに記載された見解や予測は、本レポート発行時における執筆者の判断であり、予告無しに変更されることがあります。
  • 本レポートに記載された情報もしくは分析に、投資家が依拠した結果として被る可能性のある直接的、間接的、付随的もしくは特別な損害に対して、株式会社ティー・アイ・ダヴリュならびに執筆者が何ら責任を負うものではありません。
  • 本レポートの著作権は、原則として株式会社ティー・アイ・ダヴリュに帰属します。本レポートにおいて提供される情報に関して、株式会社ティー・アイ・ダヴリュの承諾を得ずに、当該情報の複製、販売、表示、配布、公表、修正、頒布または営利目的での利用を行うことは法律で禁じられております。
  • 「ANALYST NET」は株式会社ティー・アイ・ダヴリュの登録商標です。

このページのトップへ