株式会社モダリス(4883 Growth)
開発の進捗が投資家の期待を越える日は近い
ベーシック ・ レポート
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯
CRISPR-GNDM®技術を用いた画期的な遺伝子治療を開発
モダリスは、遺伝子編集技術であるCRISPRを用いて遺伝子の活性化および抑制を制御するCRISPR-GNDM®という画期的なプラットフォームを活用し、多様な希少疾患に根本的な解決をもたらす次世代の遺伝子治療薬の開発を行っているユニークな創薬企業である。経営理念は、「全ての命に光を」というものである。CRISPR-GNDM®は、遺伝子を改変することなく、CRISPR技術を用いて制御する遺伝子の場所を特定し、遺伝子の発現を制御する画期的な技術である。約7000の希少疾患のうち約2200の診断可能な単遺伝子性疾患がCRISPR-GNDM®というスケーラブルなプラットフォームの対象になり得ると見込まれる。遺伝子治療の分野では、薬効の本体であるペイロード(GNDM)とそれを目的組織に送達するCargo(AAV)が重要で、これらのパーツを作成する過程に、モダリスのコアコンピタンスがある。
AAVを用いた遺伝子治療の試練を克服
上場時には、大手製薬会社と5本のライセンス契約または共同研究開発契約を有し、しかもノーベル化学賞の対象となったCRISPR技術を応用しているということで、モダリスに対する投資家の期待は極めて大きかった。しかし、2020年に発生したAudentes社のClinical Holdが、AAVを用いる遺伝子治療に影を落とすこととなった。目的組織への到達率の低さと薬効成分が入っていない空カプシド(AAVの外殻)の比率の高さが、大量投与につながりAAVの肝毒性が問題となったのである。モダリスでは、2023年8月までに、大手製薬会社とのパートナーシップは全て終了となり、パイプラインの再編を余儀なくされた。また、改良型AAVの開発とそれを用いた前臨床試験の再実施が必要となり、開発スケジュールの遅延も発生した。ところが、モダリスはその試練を克服した。標的組織の筋肉への到達量が50倍となる改良型AAV(MYOAAV)の使用ライセンスを共同研究先のBROAD研から取得し、2025年12月、マウス及びサルモデルでの顕著な治療効果を論文発表した。2026年6月、IND enabling試験を終え、2026年末~2027年初頭の治験申請(IND)の確度も上がってきた。また、空カプシドの比率を10%以下に抑えたMYOAAVの製造法も確立済で、9月から治験薬のGMP製造が始まる。
MDL-101の成功は数百億円の収入をもたらす
MDL-101(対象疾患;先天性筋ジストロフィー1A型)は、既に希少小児疾患指定(RPDD)を受けており、承認されれば希少小児疾患優先審査バウチャー(RPV)を取得できるが、その意義は大きい。順調にいけば、2027年前半には臨床試験(Ph1/2)を開始し、2028年に迅速承認(条件付き承認)を獲得できる予定だが、この場合2029年の上市時にRPVの転売により2億ドル(320億円)の収入が見込める。薬価も、他の遺伝子治療薬並みの3百万ドル(4.8億円)と設定すると、患者50人に到達する2031年には、240億円の売上が見込める。また、MDL-101の成功によって、モダリスのCRISPR-GNDM®技術のプラットフォームとしての価値が確立され、患者数の多い他の疾患への適応拡大も期待される。開発の進捗が投資家の期待を追い越す日は近い。
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