GCC経営™分析レポート:株式会社アスタリスク(東証グロース 証券コード:6522)
FY2026.8期は+37.5%増収・営業黒字転換を計画、RFIDレジレス普及前夜
長期展望+四半期レビュー
ジェイ・フェニックス・リサーチ(株)
宮下修
1.⾧期展望 モノ認識技術で現場の自動化を切り拓く自動認識機器メーカー
株式会社アスタリスクは、スマートフォン装着型の自動認識機器「AsReader」を主力とする、大阪に本社を置くファブレス型のソリューション企業である。2006年設立。受託開発から出発し、2010年のモバイルPOS『Salasee』を転機に自動認識機器メーカーへ進
化、2021年に東証マザーズ(現グロース)へ上場した。モノ認識×モバイル×AIで物流・小売など現場の効率化と自動化を支援する。事業はAsReader事業とSI事業(区分上は賃貸含む)から成り、5事業部(DX/IT/NX/AI/LM)体制を敷く。連結子会社3社(大連明日星科技有限公司・米AsReader, Inc.・自動レジ研究所)、従業員75名の少数精鋭。AsReaderはiPhone・Android端末に装着し、バーコード・RFID・画像認識・顔認証でモノを読み取る端末群で、売り切り型からストック型収益(連結売上の約11%)への転換を志向する。ユニクロ・GUのRFIDセルフレジは同社の特許技術を使用し、トヨタ完成車物流・ワールド・青山商事等へ導入実績を持つ。2025年に『ASR-M30S』『AsCode』『GoMA』等を投入、2026年3月にコーユーイノテックスと顔認証で包括提携。FY2025.8期は増収ながら営業損失で有報に『継続企業の前提に関する重要事象等』を記載する一方、FY2026.8期は大幅増収・営業黒字転換を計画し、会社はFY2030.8期に売上100億円・営業利益率15%以上を中期目標とする。JPRは、RFIDによる省人化・トレーサビリティ需要の本格化と基幹特許の自社集約が収益構造転換の鍵とみて、会社目標を延伸した超アップサイド(二階建てフル点火=コア+RFIDセルフレジ特許ロイヤリティ+SaaS+海外)を試算する。試算によれば、売上はFY2026.8期の約23億円からFY2036.8期に約500億円(コア約120億・ロイヤリティ約150億・SaaS約130億・海外約100億)へ拡大し、営業利益率は5.1%から22.0%、NOPATマージンは3.6%から15.3%へ高まる。原価のほぼ不要なロイヤリティ比率上昇で期首投下資本売上高比は約75%から約25%へ低下し、ROIC(約4.8%→約61%)がWACCを上回りスプレッドが反転する。試算は上限であり中心予想ではなく、RFIDセルフレジのライセンス契約進捗が試金石となる。
2.四半期展望 FY2025.8期は増収も営業赤字、FY2026.8期に黒字転換を計画
FY2026.8期第2四半期累計(2025年9月~2026年2月)の連結業績は、売上高760百万円(前年同期比△13.1%)、営業損失△29百万円、経常損失△8百万円、中間純損失△11百万円、EPS△1.46円となった。会社資料によれば、上期は売上が前年同期を下回り損失計上となったものの、通期会社予想(売上高2,291百万円、営業利益117百万円)に対する売上進捗率は約33.2%であり、同社は下期偏重の事業構造のもとで通期予想を据え置いている。セグメント別では、主力のAsReader事業が売上645百万円・セグメント利益33百万円、システムインテグレーション事業が売上110百万円・利益23百万円、賃貸事業が売上6百万円・利益1百万円であった。会社資料によれば、米国子会社が関与する大型案件の受注・出荷が計画に対して遅延した点が上期売上減の主因とされ、有価証券報告書には『継続企業の前提に関する重要事象等』が記載されている。JPRでは、通期計画の達成は下期における大型案件の出荷とRFID関連需要の顕在化に依存しており、四半期ごとの受注・出荷動向が最重要の確認点になるとみている。
3.株価動向 増収・黒字転換と成⾧実装で企業価値再評価の契機
同社株式は、営業赤字の継続と『継続企業の前提に関する重要事象等』への警戒から株価は抑制されてきたが、カギとなる特許買戻し(2026年3月)、食品スーパー向け『全商品RFID化ソリューション』の本格展開(2026年6月)と米国特許取得・北米市場での本格展開(同7月)などの開示で何度もストップ高となっている。FY2025.8期は増収も営業損失△125百万円、FY2026.8期は+37.5%増収・営業利益117百万円の黒字転換を計画する。JPRが超過利潤法で試算した理論株主価値は約389億円(1株約4,829円)で、7月3日終値1,960円・時価総額約158億円に対し約2.5倍の乖離がある。加えて2026年6月26日開示の第9回・第10回新株予約権(EVO FUND割当、潜在株式数1,150,000株=希薄化率約12.5%、調達額約21.8億円、行使価額は株価上昇に伴い上昇する前提)の全行使後でも、(調達額+389億円)÷希薄化後9,196,800株=1株約4,466円で、なお約2.3倍のアップサイドが残る。足元のROIC(約4.8%)はWACC(約9.05%)を下回るが、RFIDセルフレジの横展開や米国案件の出荷など新領域の収益化などの開示が確認されれば上値余地は依然大きいとJPRでは考える。
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