GCC経営™分析レポート:株式会社グラッドキューブ(東証グロース 証券コード:9561)
FY2026 1Q連結黒字転換達成。年間営業利益予想の12倍にもかかわらず株価は反応薄
長期展望+四半期レビュー
ジェイ・フェニックス・リサーチ(株)
宮下修
1.長期展望:AI×UI/UXの二刀流でテクノロジー企業の新境地を切り拓く
株式会社グラッドキューブは、マーケティングDX事業とテクノロジー事業を二本柱に成⾧を図る企業である。2007年1月設立、2022年9月に東証グロース市場へ上場した。マーケティングDX事業では、インターネット広告運用、Webサイト解析・改善ツール「SiTest」、動画・SNS運用支援等を展開し、安定した収益基盤を形成している。2026年5月14日公表の2026年12月期第1四半期決算では、連結売上高502百万円、営業利益36百万円となり、第1四半期として過去最高の売上高を更新した。通期営業利益予想3百万円に対する進捗率は1,222%に達し(36.7百万円÷通期予想3百万円、開示上は36百万円)、黒字基調への転換が鮮明となった。テクノロジー事業では、スポーツAI・データ解析基盤「SPAIA」、スポーツデータセンター「DRAGON DATA CENTER」、AIアバター動画サービス「AvaTwin」等を展開する。SPAIAは、LINEヤフー「スポーツナビ」等への提供に加え、NTTドコモ等との取引実績も背景に、B2B領域で収益化の形が見え始めている。補足資料ではSPAIA全体登録数が159,561人に達し、有料転換率も高水準を維持している。米国競馬市場向けAI予想サービスの開発プロジェクトも進行しており、シリーズA資金調達に向けた投資家対話・ピッチ準備も開始している。JPRでは、同社の競争優位の本質は、広告運用、SaaS開発、スポーツデータ解析を横断するUI/UX設計力にあるとみている。金島CEOは、社員数を大きく増やすのではなく、AI活用、外注最適化、提携により一人当たり生産性を高める方針を示している。FY2025にはAvaTwin、SiTest Engage、LLMOA、Alibaba Cloud代理店、TikTok Shop EC支援、リスナビ、DRAGON DATA CENTER等、多数の新規施策を同時展開した。マーケティングDXの安定キャッシュフローを基盤に、テクノロジー事業の収益貢献が本格化する局面に入りつつある。
2.四半期展望:マーケティングDX事業過去最高売上更新、テクノロジー事業の損益改善加速
FY2026.12期第1四半期(2026年1~3月)の連結業績は、売上高502百万円、営業利益36百万円、経常利益38百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益40百万円、EPS4.78円となり、連結四半期決算として黒字を計上した。同社は2025年12月期から連結財務諸表を作成しているため前年同四半期比較はないが、第1四半期として過去最高の売上高を更新した点は重要である。通期予想は売上高1,762百万円、営業利益3百万円で据え置かれ、1Q単独で通期営業利益予想の1,222%に達した(上記注参照)。セグメント別では、マーケティングDX事業が売上高449百万円、セグメント利益174百万円と高収益を維持した。ネット広告運用の堅調な進捗に加え、SiTestでは生成AIを活用してサイト改修案を自動提示する「AI診断(β版)」を開始した。一方、テクノロジー事業は売上高53百万円、セグメント損失78百万円となったが、SPAIA全体の登録数は159,561人(会員数150,437人)に拡大し、DRAGON DATA CENTERを通じてプロ野球、海外スポーツ、Bリーグ等のデータ統合・解析体制を強化した。AvaTwinの本格展開や自己資本比率34.1%への改善も確認された。
3.株価動向:テクノロジー事業黒字化で企業価値再評価の契機到来
FY2026 1Qに営業利益36百万円を計上し、開示初の連結四半期として黒字を確保したことで、企業価値再評価の契機が到来したとJPRでは評価する。マーケティングDX事業の利益率38.7%という高水準が安定的なキャッシュ創出基盤として機能する一方、テクノロジー事業はセグメント損失78百万円ながら、SPAIA登録数159,561名への拡大とDRAGON DATA CENTERを起点とする多種目スポーツデータ提供体制の構築が進んでおり、収益化に向けた事業基盤の整備が確認された。中⾧期のカタリストとしては、①SPAIAのB2B提供・連携実績の拡大、②AIアバター「AvaTwin」によるIR支援領域のDX案件拡大、③通期業績予想(営業利益3百万円)に対する達成蓋然性、④米国子会社SPAIA,Inc.の事業進捗(インタビュー時点でシリーズA調達準備中との説明あり)が挙げられる。1Q単独で通期予想を大きく上回る営業利益を計上した実績は、連結2期目の通期黒字化シナリオを裏付ける材料となり、投資家心理を転換させる契機となる可能性がある。一方で、テクノロジー事業のセグメント損益改善ペースと米国事業の具体的進捗は、引き続き継続的なモニタリングが必要な確認点となる。
- 「ANALYST NET」のブランド名で発行されるレポートにおいては、対象となる企業について従来とは違ったアプローチによる紹介や解説を目的としております。株式会社ティー・アイ・ダヴリュは原則、レポートに記載された内容に関してレビューならびに承認を行っておりません。
- 株式会社ティー・アイ・ダヴリュは、本レポートを発行するための企画提案およびインフラストラクチャーの提供に関して、対象企業より直接的または間接的に対価を得ている場合があります。
- 執筆者となる外部の提携会社及びアナリストは、本レポートを作成する以外にも、対象会社より直接的または間接的に対価を得ている場合があります。また、執筆者となる外部の提携会社及びアナリストは、対象会社の有価証券に対して何らかの取引を行っている可能性あるいは将来行う可能性があります。
- 本レポートは、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、有価証券取引及びその他の取引の勧誘を目的とするものではありません。有価証券およびその他の取引に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任で行ってください。
- 本レポートの作成に当たり、執筆者は対象企業への取材等を通じて情報提供を受けておりますが、当レポートに記載された仮説や見解は当該企業によるものではなく、執筆者による分析・評価によるものです。
- 本レポートは、執筆者が信頼できると判断した情報に基づき記載されたものですが、その正確性、完全性または適時性を保証するものではありません。本レポートに記載された見解や予測は、本レポート発行時における執筆者の判断であり、予告無しに変更されることがあります。
- 本レポートに記載された情報もしくは分析に、投資家が依拠した結果として被る可能性のある直接的、間接的、付随的もしくは特別な損害に対して、株式会社ティー・アイ・ダヴリュならびに執筆者が何ら責任を負うものではありません。
- 本レポートの著作権は、原則として株式会社ティー・アイ・ダヴリュに帰属します。本レポートにおいて提供される情報に関して、株式会社ティー・アイ・ダヴリュの承諾を得ずに、当該情報の複製、販売、表示、配布、公表、修正、頒布または営利目的での利用を行うことは法律で禁じられております。
- 「ANALYST NET」は株式会社ティー・アイ・ダヴリュの登録商標です。

