「アナリスト・レポート」から企業を視る

2013/04/02
東京証券取引所では新たな投資家層の裾野拡大のため、様々なテーマで上場企業を紹介しています。
今回は、「アナリスト・レポート」をテーマとして取り上げます。

証券アナリスト(セルサイド・アナリスト)は、証券会社に所属し、企業が開示する財務情報や会社予想、マクロ環境や業界動向などをもとに、アナリスト・レポートを作成しています。
近年、金融危機や欧州債務危機などの影響もあり、証券各社は企業分析を担い投資家に情報を発信するアナリストの数を減らしています。その結果、アナリストが業績予想を出したり、投資判断をしたりする銘柄の数(カバー銘柄数)は減少傾向にあります。

しかし、このような環境の中でも、着実にアナリストのカバー数を増やしている企業は存在しています。今回はアナリスト・レポート数が過去1年間で増加した企業(=プロである機関投資家の注目度が高い企業)をご紹介します。

選定銘柄一覧 (2012年12月末現在)
コード 企業名 業種 増加数 主な注目ポイント IRページ
1808 長谷工コーポレーション
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建設業 2.7 最多のマンション施工実績を有する準大手ゼネコン。グループ内でマンション販売、管理、賃貸、リフォーム、建替などを手掛ける。独自の不動産情報・事業提案を活かし、設計施工を一貫で受注するモデルが特徴。住宅ローン減税延長・拡充などが追い風。
2726 パル
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小売業 2.0 衣料品や雑貨の SPA(PB商品の企画・製造・販売)企業。売れ筋を把握し、迅速に発注・配送できる体制を構築し、10代~20代女性を対象に約40のブランドをマルチ展開。駅ビルや百貨店からの出展要請が旺盛で店舗数は拡大見通し。
2871 ニチレイ
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食料品 2.7 冷凍食品と冷蔵倉庫でトップ。冷凍食品や水産・畜産加工食品の製造・販売とともに、国内と欧州にて展開する低温物流サービスが柱。足元では冷凍食品の販売好調に加え、低温物流も堅調で業績に寄与。
4206 アイカ工業
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化学 2.3 主力の建装材は、不燃性や耐磨耗性など住環境や顧客要望に合わせた機能強化で高採算品が普及。医療・介護・商業施設などの着工増による出荷増が期待。北欧の接着剤メーカーのアジア太平洋部門を買収。東アジア需要取り込み加速。
6101 ツガミ
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機械 2.0 小型部品を加工する自動旋盤、マシニングセンターなどの工作機械が主力。スマホやハードディスクドライブ向けなど小型・高精度技術に強みを持つ。中国生産を拡大しコスト競争力を高めている。
6136 オーエスジー
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機械 2.3 精密切削工具メーカー。タップ(ねじを切る工具)で世界トップシェア。高品質とグローバル技術サポート体制に対する信頼により自動車メーカーと幅広い取引がある。今後は取扱製品の拡充を図るとともに、航空機関連、医療、重電分野を伸ばす。
6727 ワコム
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電気機器 2.3 ペンタブレットメーカーで世界シェア約8割。電子ペンとマルチタッチの独自技術を提供。滑らかな軌跡を可能にする筆圧・傾きなどを検知する電磁誘導方式の技術がスマホやタブレットにも採用。サムスンギャラクシーノートシリーズやウィンドウズ8タブレット向けなどで売上が急激に拡大中。
6754 アンリツ
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電気機器 2.3 携帯電話や基地局向けに計測器を提供している。北米やアジアを中心にグローバル・レベルで需要が堅調に推移。計測事業の海外売上比率は7割を越え、業績は増益基調。
6794 フォスター電機
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電気機器 2.0 音響部品・製品の専業メーカー。スマホ普及に伴いヘッドセット(通話用のマイクやスイッチがついた高機能イヤホン)が好調。高付加価値製品も販売数量を伸ばしている。
6856 堀場製作所
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電気機器 2.3 分析・計測機器の大手で多様な事業分野に展開。特に自動車排ガス計測装置や半導体製造装置用マスフローコントローラで高いシェア。2013年度は、半導体市場の年後半での回復を見込む。自動車計測事業でも顧客投資回復を見込むも新製品リスクなどを織り込み全社では増収減益の予想。
7248 カルソニックカンセイ
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輸送用機器 3.0 日産グループ最大の部品会社。空調系および排気系が主力だが、運転席回りのモジュール販売による付加価値化に注力。生産拠点再編によるコスト低減、北米市場の業績改善、中国反日デモの影響軽減などが収益反発要因として期待される。
7864 フジシールインターナショナル
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その他製品 2.3 シュリンクラベル(熱収縮性ラベル)大手。PET容器の市場拡大とともに業績を拡大。 スイスのラベルメーカー(PAGO社)買収により、シュリンクラベルに加えタックラベル(粘着性ラベル)の欧州市場開拓を推進。北中米市場での需要が好調で、今後は海外事業が業績牽引する見込み。
7956 ピジョン
[進] [財] [コ] [比] [ト]
その他製品 2.3 育児用品メーカーの国内最大手。哺乳瓶等の品質面が強みで、高いブランド力を武器に海外で積極的に販路を拡大。特に中国・アジア地域での成長力が高く、会社想定を上回る伸長が続く。
9719 SCSK
[進] [財] [コ] [比] [ト]
情報・通信業 3.7 情報サービス大手で旧住商情報システムとCSKの合併により発足。流通・製造・金融など幅広い顧客向けにSI、ソフトウェア開発、ネットワーク運営などITサービス全般を提供。合併で拡大した顧客基盤とサービスラインナップを生かしたシナジーが拡大。
9729 トーカイ
[進] [財] [コ] [比] [ト]
サービス業 2.0 清潔と健康をテーマに事業を展開する総合サービス業。リネンサプライや看護補助、病院給食や病院清掃など、病院からアウトソーシングされる業務を請け負う病院関連事業や、介護用品のレンタルを行うシルバー事業、「たんぽぽ薬局」を運営する調剤薬局事業など、現在はヘルスケア関連事業に注力。

(出所)東京証券取引所 ※アイフィスジャパン作成

【選定条件】
対象:2012年12月末時点で東証(一部・二部・マザーズ)、に上場する銘柄
条件:
・過去1年間のアナリスト・カバー数の増加が2名以上
(2011 年10月末~12月末の平均と2012 年10月末~12月末の平均値を比較)
・時価総額300億円以上 2,000億円以下
・会社予想ベースROEが7%以上

【アナリスト・レポートの内容】
アナリスト・レポートでは、対象としている企業の業績予想(今期・来期等)や将来の見通し、目標株価、株価レーティング(売り・中立・買いなど)が記載されています。
アナリストは顧客(主に機関投資家)へのサービスとしてレポートを書いています。その対価となるのは、所属する証券会社が獲得する取引手数料です。したがってアナリストは全ての上場会社を調査対象とするわけではなく、機関投資家の保有ニーズが高い銘柄を中心に選別して、調査対象を決めていると考えられます。

【アナリスト・レポートの株価等への影響】
投資家がアナリスト・レポートを参考に投資行動を起こしていると仮定し、アナリスト・レポートが株価や出来高、長期の株価変動に与えている影響については、学術界・実務界での多くの研究が行われています。
研究結果としては、多くのアナリストが調査対象とする企業は、アナリストによるモニタリングが働くため企業価値が高くなる傾向があることや、アナリストが新規に調査対象となった企業は株式リターンに影響があるなどが報告されています。さらに、機関投資家の保有比率が高まることや、流動性高まることなどの報告もあります。

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