オンコリスバイオファーマ株式会社(4588 Mothers)
全世界でのオプション権行使に向けて

2019/09/03

フォローアップ・レポート
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯

腫瘍溶解ウイルスの開発は百花繚乱状態
新しいがん治療として、腫瘍溶解ウイルスを用いた療法が注目を集めている。ウイルスの種類もアデノウイルス、ヘルペスウイルス、麻疹ウイルス、ワクシニアウイルス等さまざまなウイルスが用いられ、また免疫賦活分子を組み込んだものなど種々の工夫が組み込まれている。最近の潮流は、免疫チェックポイント阻害剤との併用療法の開発である。また、ウイルスに免疫チェックポイント阻害剤を組み込む試みもある。

併用試験の初期的な結果は有望。適応がん種の拡大も
テロメライシンと免疫チェックポイント阻害剤(キイトルーダ)の併用試験(日本でのPh1a)の中間結果は、有望なものであった。症例数が少ないため断定できないが、併用療法の効果が、単剤の場合の効果を大きく上回った。米国でも、胃がん及び胃食道接合部がんを対象に併用療法の医師主導Ph2が5月に始まっているが、今般、頭頸部がんでも、併用療法の医師主導Ph2の準備が開始された。一方、正式にメラノーマ対象の開発終了が宣言され、「選択と集中」は有言実行されている。遅れていた放射線併用企業治験Ph1(日本:食道がん)の患者組入も完了した。年内に結果を取りまとめ、先駆け指定を利用した申請に向けて、開発が中外製薬にバトンタッチされる予定である。アジアでの肝細胞がん対象のPh1も終了が近付いている。

免疫チェックポイント阻害剤併用試験の結果がオプション行使の引金か
株式市場では、オンコリスバイオファーマ社と中外製薬が結んだ契約のうち、アジア以外の全世界への独占的オプション権行使の契機と時期が注目されている。オプション権が行使された場合には、総額500億円以上のライセンス金額が中外製薬からオンコリスバイオファーマ社に支払われるためである。このオプション行使の契機と考えられるのは、現在進行中のテロメライシンと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法の医師主導試験(日本・米国)の結果であろう。その結果次第で中外製薬の判断が浮上してくる可能性がある。また、その時期は、各医師主導試験の中間解析結果が出てくる2020年央以降と考えられる。ところで、会社側は、今期の業績予想を非開示としている。その背景には、現在進行中のいくつかのパイプラインでマイルストーン発生の引き金となる事象が発生する可能性があるためと推察され、短期的な業績イベントにも目を配りたい。

 

>>続きはこちら(1MB)

TIW/ANALYST NET
ANALYSTNET企業レポート   TIW/ANALYST NET
証券アナリストに限定せずに、コンサルタントや研究者など幅広い執筆者による企業分析・評価によってアナリストレポートへのアプローチと収入基盤の多様化を目指すプロジェクトです。
本レポートは、株式会社ティー・アイ・ダヴリュが「ANALYST NET」の名称で発行するレポートであり、外部の提携会社及びアナリストを主な執筆者として作成されたものです。
  • 「ANALYST NET」のブランド名で発行されるレポートにおいては、対象となる企業について従来とは違ったアプローチによる紹介や解説を目的としております。株式会社ティー・アイ・ダヴリュは原則、レポートに記載された内容に関してレビューならびに承認を行っておりません。
  • 株式会社ティー・アイ・ダヴリュは、本レポートを発行するための企画提案およびインフラストラクチャーの提供に関して、対象企業より直接的または間接的に対価を得ている場合があります。
  • 執筆者となる外部の提携会社及びアナリストは、本レポートを作成する以外にも、対象会社より直接的または間接的に対価を得ている場合があります。また、執筆者となる外部の提携会社及びアナリストは、対象会社の有価証券に対して何らかの取引を行っている可能性あるいは将来行う可能性があります。
  • 本レポートは、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、有価証券取引及びその他の取引の勧誘を目的とするものではありません。有価証券およびその他の取引に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任で行ってください。
  • 本レポートの作成に当たり、執筆者は対象企業への取材等を通じて情報提供を受けておりますが、当レポートに記載された仮説や見解は当該企業によるものではなく、執筆者による分析・評価によるものです。
  • 本レポートは、執筆者が信頼できると判断した情報に基づき記載されたものですが、その正確性、完全性または適時性を保証するものではありません。本レポートに記載された見解や予測は、本レポート発行時における執筆者の判断であり、予告無しに変更されることがあります。
  • 本レポートに記載された情報もしくは分析に、投資家が依拠した結果として被る可能性のある直接的、間接的、付随的もしくは特別な損害に対して、株式会社ティー・アイ・ダヴリュならびに執筆者が何ら責任を負うものではありません。
  • 本レポートの著作権は、原則として株式会社ティー・アイ・ダヴリュに帰属します。本レポートにおいて提供される情報に関して、株式会社ティー・アイ・ダヴリュの承諾を得ずに、当該情報の複製、販売、表示、配布、公表、修正、頒布または営利目的での利用を行うことは法律で禁じられております。
  • 「ANALYST NET」は株式会社ティー・アイ・ダヴリュの登録商標です。

このページのトップへ