9月18日妥当レンジ 17,450円~18,800円
反発局面はあっても年内は上値の重い商状続く

2015/09/25

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<FOMC利上げ見送りから市場は混沌に>
■16~17日のFOMCでが利上げが見送られた。前回のレポートで指摘したように、10月あるいは12月の利上げの可能性を廻って孵って市場の混乱を招いてしまっている。
■日本が連休中の欧米市場が軟調に推移したこと、24日に発表された9月の中国製造業購買担当者指数(PMI)速報値が47と、6年半振りの低水準(50を7ヵ月連続下回った)であったことから連休明けの日本株も大幅な下落に見舞われた。
■24日発表のコンビニエンスストア統計(8月)は既存店で前年同月比+1.7%、チャーンストア販売統計(8月)は店舗調整後の前年同月比で+2.0%と堅調さを保っているが、経済指標を注視する展開が続きそうである。今後のスケジュールとしては、25日に8月の全国消費者物価指数、28日に7月の景気動向指数改訂値、30日に8月の鉱工業指数、などの発表が予定されている。
■アナリストのコンセンサス予想は引き続き低下傾向が続いており、2Q決算発表段階で下方修正を行う企業が出てくる一方で、好調企業においても上昇修正には慎重になる可能性が考えられる。妥当レンジも下方へシフトする傾向がまだ続くと考えられ、株価の反発局面はあっても年内一杯くらいは上値の重い商状が続くものと現時点では考える。

 

<コンセンサス予想EPSは4週連続で来期・再来期がマイナス>
■18日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、今回も全期間において前週比マイナスとなった。来期・再来期ベースでは4週連続マイナスである。前週比プラス企業数の割合は来期・再来期ベースでは40%を下回り極めて低調である。マイナスが目立つ業種は、電機、商社など、他方でプラスは化学、製紙、石油など。
■輸出関連、内需(消費)関連ともに買い難い状況にあるが、割安・高配当利回り銘柄には注目したい。VWの排ガス不正測定問題から売り込まれた自動車関関連には押し目のチャンスがあるようにも思われる。

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

17,450円~18,800円 (前回17,600円~19,000円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(9月18日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(9月18日)

今期予想EPS 1058.73 (前週 1059.91円)
来期予想EPS 1145.99 (前週 1148.12円)
再来期予想EPS 1250.33 (前週 1252.69円)
今期予想PER 17.07 (前週 17.23倍)
来期予想PER 15.77 (前週 15.91倍)
再来期予想PER 14.45 (前週 14.58倍)
来期予想PBR 1.17 (前週 1.19倍)
来期予想ROE 7.41% 前週 7.46%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.76% (前週 6.76%)

*9月18日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

図1現株価は依然としてレンジ中位であり、まだ十分な割安感はない。

 

図2 
来期予想ベースのプラス企業比率は、 55.1%→48.4%→45.7%→36.9%→37.0%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、58.6%→41.9%→48.1%→41.4%→38.0%。
再来期予想ベースも40%割れに。

 

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 図3今期予想ベースはまだ大きな減少トレンドには無いが、来期・再来期ベースの減少が顕著になりつつある。

図4株価が下落した割には、期待収益率の上昇は限定的に留まっており、まだ割安感は感じられない。

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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