将来のエコカー(カーアクションの爆破シーンがなくなる?)

2011/12/09

【アナリストコラム 溝上 泰吏】

東京モーターショーに行って来ました。目的は、今後のエコカーの動向についての情報収集。
結論から言うと電気自動車の普及は限定的だとの見方が多く、当面はプラグインなどハイブリッドが伸長し、15年以降は燃料電池車の普及が進むとの見方が多かった。
電気自動車が限定的だとするのは、以下の理由による。1)走行距離が短いこと、2)充電に時間が掛かりすぎること、3)電気ステーションなど新たなインフラ建設が難しいこと、など。

具体的には、1)現在、電気自動車にはマンガン系リチウムイオン電池が搭載されていますが、容量が小さ過ぎることが欠点。実用化に向け研究が進む三元系リチウムイオン電池は、走行距離を伸ばすことができますが、充分な成果が得られないだろうとのことでした。2)ガソリン車が5分以内に給油できるのに対し、電気自動車はフル充電するのに8時間もかかってしまう。急速充電でも5分以内は厳しい。また、地域によって電圧、電流、周波数も異なるため、それぞれの地域にあったものが必要になる。さらに、日米欧中ではプラグの方式が異なる。無線による充電も研究されているが、プラグ式に比べ充電時間が掛かってしまう。3)既存のガソリンスタンドに併設するのは低コストだが、ガソリンと電気では電子ライターのようになってしまうため、経済産業省の許可が下りる可能性が低い。また、新たに電気ステーションのみを設置する場所を見つけるのは、都内など大都市では厳しい(充電時間がかかるため、駐車スペースが必要になる)。
将来、有望とされる燃料電池車(広い意味で電気自動車ですが、ここでは区別)は、改質して発電するのではなく、水素ガスを直接使用するタイプのものになる見通し。これは、改質していると時間がかかり自動車のレスポンスが遅くなってしまうことが理由。その燃料電池車が期待される具体的な理由は1)走行距離は200キロメートル程度と、ガソリン車並みが可能であること。2)水素ガスを利用するので5分以内で満タンに出来ること。3)同じ危険物なので既存のガソリンスタンドへの併設が可能(経済産業省が認可しやすい)であること、など。

ただし、わが国の現在の法律では、水素を街中に保管できない、自由に移動できないなどの制限があるため、15年を目処に法改正されることになっているようだ。加えて、水素の性質を正しく理解させる時間が必要とのこと。水素は自燃性であるため、自ら燃える性質があるが、条件が整わないと爆発しないこと。仮に爆発しても、水素が極めて軽い気体であるため、一瞬で上昇してしまうこと。いわば、ライターに火をつけた状態と同じで、細長い炎がうえに向く。この点では、ガソリンの方が危険だといえる。ガソリンは質量が重いため、車からこぼれると地面に広がり、そこに火がつくと一瞬出で炎が広がる。ちょうどカーアクションなどでみられる爆発シーン想像してもらうと分かりやすいと思う。
このため、燃料電池車が普及すると、派手なカーアクションによる爆破シーンが見られなくなるかもしれません。

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