11月18日妥当レンジ 8,200円~9,400円
欧州情勢の不透明感続く、米国の政治状況も混沌を帯びて来た

2011/11/22

【IFIS/TIWコンセンサス225】

欧州情勢は引き続き不安定な状態にある。イタリア、スペインの国債入札利回りの上昇を受けて、フランス、オランダ、オーストリアなどトリプルA格の国債までもが売り込まれた。これは救済が必要なユーロ加盟国が増加することによって、その負担を分担する欧州諸国の財政が悪化し、その結果として格付が引き下げられるという連想が働いていることによる。
その結果、ユーロの下落と円高圧力が再び高まっており、東京株式市場は月曜日(21日)に年初来安値を更新した。

米国の経済指標は、小売売上高、鉱工業生産、住宅着工件数(いずれも10月)など市場予想をやや上回る堅調な状態が続いている。しかし、超党派で進められている財政赤字削減案に関する交渉は決裂するとの観測が高まっている。(秋口の国債発行枠の上限問題と異なり)削減案が纏まらなければ機械的に赤字削減が行われる模様であり、直ちに混乱に結びつくものではないようである。しかしながら、米国の政治情勢も再び混迷を帯びて来たことは欧州情勢が依然として不透明な状況下では大きな懸念材料となる可能性もある。

11月18日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」の予想EPSは、(毎週同じ事を書いていて申し訳ないのだが)今回も、今期予想ベース(1期)、来期予想ベース(2期)、再来期予想ベース(3期)の全期間において前週を下回った。減少幅は、それぞれ▲4.14円(1期)、▲2.81円(2期)、▲1.06円(3期)であった。減少幅は前週の半分程度になっており、減少トレンドが収斂しつつあることが伺える。2Q決算も一巡していることから、ここから年明けぐらいまでは大きな変化のない状態が続くと思われる。
今回の予想EPSの減少を踏まえて、日経平均の妥当レンジを8,200円~9,400円に引き下げる。

先週末の日経平均株価(8,374.91円)のインプライド・リスク・プレミアム(以下、IRP)は6.83%であり、IRPの一般的なレンジが6.00%~7.00%であることから、現状の企業業績見通しからは割安感が出てきている。しかし、これは来期予想EPSが22%増加することを前提としたものである。
世界経済の2012年の成長見通しは、欧州は勿論のこと、中国、ブラジルなど新興国も引き下げが続いており、8月にインプライド・リスク・プレミアムの異常な上昇が予想EPSの減少に先行したことを鑑みれば、世界景気がさらに悪化するリスクは少なからず存在しており、一概に割安とは言い切れない面も残る。
しかしながら、現在の株価水準は、円高、タイの洪水被害の影響をほぼ織り込んでおり、上値の重い展開は3Q業績が見えてくる年明け頃までは続くと考えられるが、妥当レンジを下回るマーケット状況では短期的には押し目買いの好機と考える。投資対象としては、グローバル化が進んだ優良企業の底値圏もそうだが、特に、マクロ経済に不透明感の強い現状では、好業績の新興市場銘柄を丹念に探して行きたい。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

8,200円~9,400円 (前回 8,300円~9,550円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(11月18日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(11月18日)

今期予想EPS 581.99 (前週 586.13円)
来期予想EPS 711.23 (前週 714.04円)
今期予想PER 14.39 (前週 14.53 倍)
来期予想PER 11.78 (前週 11.92倍)
来期予想PBR 0.88 (前週0.89倍)
来期予想ROE 7.49% 前週7.47%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.83 (前週6.77%)

*11月18日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

コラム&レポート Pick Up