11月11日妥当レンジ 8,300円~9,550円
全体では上値の重い展開を予想、業績堅調な新興市場銘柄に光明を求める

2011/11/15

【IFIS/TIWコンセンサス225】

先週は、ギリシャの国民投票回避から一旦は安堵感を取り戻したものの、イタリア国債の利回り上昇に振り回された格好になった。イタリア国債(10年債)の利回りは、欧州の決済機関であるLCHの証拠金引き上げを機に、9日(水)には一時期7.458%にまで上昇し、世界的株価下落とユーロ安が引き起こされた。しかし、イタリア国債(1年債)の入札が順調だったことや、ベルルスコーニ首相の辞任と引き換えにイタリア議会で財務赤字削減法案が11日(金)に成立したのを受けて、欧米の株価は急回復しました。昨日(14日)の日本市場も海外市場の上昇を受けてやや反発しているものの、企業業績見通し(予想EPS)が一段と悪化していることや、為替レートが再び76円台/ドルと円高トレンドに回帰していることから上値の重い展開となっている。日経新聞の市況欄から逆算して求めた日経平均の今期予想EPS(日経予想)は、671.40円(10/28)→612.91円(11/4)→561.64円(11/11)と僅か2週間で16%以上も減少している。下期のV時回復への期待は、円高とタイの洪水被害による自動車産業への打撃と相俟って、急速に萎んでいる。日本国内ではこの数週間にTPPへの参加の是非が議論されて来たが、その喧騒と諦めの中で目前にある危機がやや置き去りにされているようにも感じられる。

11月11日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」の予想EPSは、今回も、今期予想ベース(1期)、来期予想ベース(2期)、再来期予想ベース(3期)の全期間において前週を下回った。減少幅は、それぞれ▲11.79円(1期)、▲5.11円(2期)、▲1.71円(3期)であった。ほぼ前週と同じくらいの減少幅であったが、マイナスとなった企業数は前週を上回っている。あと1~2週はまだ減少トレンドが残る可能性もあるが、2Q決算も間もなく終わることから減少トレンドのピークは過ぎたと考えられる。インプライド・リスク・プレミアムは比較的高い位置にあるので、海外市場の動向によってもう一段の戻りは期待できるものの、その幅は限定的と考える。
来期予想ベース(2期)において今回大きくマイナス修正された企業は、武田薬品工業(4502)、ミツミ電機(6767)、アドバンテスト(6857)、トヨタ自動車(7203)、旭硝子(5201)、住友金属鉱山(5713)、ソニー(6758)、ホンダ(7267)、日揮(1963)、古河電気工業(5801)、大林組(1802)、東京エレクトロン(8035)、キリンホールディングス(2503)、太陽誘電(6976)、三井金属(5706)、など。電機、自動車に加えて素材・プラントなど幅広い業種でマイナスとなっている。一方、プラス修正された企業群で目に付いたのは、タイヤ、住宅、電鉄など円高で原材料安が寄与する業種と内需型産業であった。
日経平均の妥当レンジは、来期予想EPS(2期)の減少と予想ROEの低下などから8,300円~9,550円に引き下げる。

先ほども言及した日経新聞の市況欄から逆算して求めた今期予想EPSを第1四半期決算が終了した8月19日時点と先週末(11/11)とで比較すると、日経平均が667.63円→561.64円へと15.9%減少、東証1部全体では51.89円→45.51円と12.3%減少しているのに対して、JASDAQは63.28円→66.60円へと5.2%増加している。
輸出関連企業が多い東証1部に対して、JASDAQは内需関連企業が多く、円高のメリットを受けている面も強いと思われる。ただし、ROEを見るならば前期実績、今期予想ともにJASDAQ企業の方が実は高いのである。11月11日現在の前期実績ROEは東証1部が5.93%、JASDAQが6.44%。今期予想は東証1部が6.44%、JASDAQが8.25%。これは大型設備を伴う産業のウエイトが低いことが影響していると思われる(設備産業は一般的にROEは低い)。産業構造の激しい変化や、国内は勿論のこと中国の人件費高による生産拠点の移動など機動的な経営判断が求められる環境下では、投下資本の少ないJASDAQ企業(=中小型銘柄)に優位性が存在する可能性もある。

日経平均株価をはじめとした日本株式全般については、下期回復期待が揺らいでいる中で来期の展望が見えてくる年明けまでは一進一退の展開を続けるというこれまでの見方に変更は無い。基本的には海外要因によってマーケットが下げたタイミングでの押し目買いのスタンスである。しかし、JASDAQをはじめとした新興市場は比較的業績が堅調で収益力も1部市場を上回っており、株価の割安感がある。12月は既に6社のIPOが発表されており、ネクソン(東証1部:3659)やダブル・スコープ(東証マザズ:6619)など注目されるIPO銘柄もあり、新興市場銘柄に飛び火する期待もあるだろう。現状は新興市場銘柄に光明を求めたい。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

8,300円~9,550円 (前回 8,400円~9,700円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(11月11日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(11月11日)

今期予想EPS 586.13 (前週 597.92円)
来期予想EPS 714.04 (前週 719.15円)
今期予想PER 14.53 (前週 14.72倍)
来期予想PER 11.92 (前週 12.24倍)
来期予想PBR 0.89 (前週0.93倍)
来期予想ROE 7.47% 前週7.58%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.77 (前週6.77%)

*11月11日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

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