10月28日妥当レンジ 8,400円~9,700円
結果的には企業業績の悪化を織り込んだもの

2011/11/01

【IFIS/TIWコンセンサス225】

26日の欧州連合の包括戦略合意(民間銀行のギリシャ国債の自発的50%元本削減、EFSFの規模拡充、欧州銀行の自己資本比率9%以上の拡充・資本注入)を受け、先週の株式市場は大きく上昇した。国民の不満が高まるギリシャやイタリアの構造改革の実行性、EFSFの資金調達に関わる不透明性、通貨と金融政策だけを統合し、財政は各国に主権が置かれたユーロの構造的問題など、火種が消えたわけではないが、欧州債務問題は目先のヤマは越えたものと考える。先週の株価上昇は、欧州情勢に加えて、発表された米国の経済指標が堅調であったことも背景として挙げられよう。
日本株式も欧米市場の上昇を受けて9,000円台を回復した。ただし、投資家のリスク許容度が高まったという面よりも一時的な買戻しの側面が強いと個人的には感じている。ドル/円レートは史上最高値を更新。31日(月)に政府の為替介入から79円台を一時的に回復したものの、同日のNY市場では再び円高に向かっている。インドの利上げ打ち止めや、中国も金融引き締めスタンスからの転換など、再び世界的な通貨安競争に突入することも懸念される。米国では1日~2日にFOMCが開催されるが、追加の量的緩和が打ち出されるという見方も一部にはあるようであり、今回、追加緩和が行われなくても緩和期待は今後も続きそうである。日銀は、5兆円の資産買取枠の拡大を発表したが、その効果は今のところは限定的に留まっているように見受けられる。

10月28日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」の予想EPSは、今回も、今期予想ベース(1期)、来期予想ベース(2期)、再来期予想ベース(3期)の全期間において前週を下回った。減少幅は、それぞれ▲5.26円(1期)、▲7.71円(2期)、▲9.42円(3期)であり、前週よりも減少幅が拡大した。
来期予想ベース(2期)において大きくマイナス修正された企業は、京セラ(6971)、日本電気硝子(5214)、テルモ(4543)、アドバンテスト(6857)、ファナック(6954)、TDK(6762)、コマツ(6301)、ニコン(7731)、東京エレクトロン(8035)、日本郵船(9101)、関西電力(9503)、ダイキン(6367)、富士重工(7270)、など(コンセンサスEPSへのインパクトの順)。
今回は、予想EPSの減少を受けて日経平均の妥当レンジを8,400円~9,700円へと引き下げる。まだ1~2週間は減少トレンドが続くと考えておいた方が良いだろう。

週末終値ベースでは日経平均が311以降で一番高かったのは、7月8日の10,137.73円。10月28日の終値はそれから見て▲10.7%低い位置にある。しかし、同期間の予想EPSは今期ベースで▲5.6%(647.62円→611.26円)、来期ベースで▲7.7%(782.85円→722.30円)、再来期ベースで▲6.6%(856.20円→799.97円)減少した水準にある。予想EPSだけ見ていれば株価の下落率の方が大きいようにも見えるが、予想ROE(来期ベース)は、8.30%から7.55%と低下しており収益性も落ちていることを考慮すれば大雑把にはほぼ妥当な水準と言えそうだ。また、同期間の海外市場の下落率は、欧州問題の震源地でもあったドイツ(DAX)は▲15.1%であるものの、イギリス(FT)▲5.5%、米国(Dow)▲3.8%と比較的小幅なものに留まっている。
つまり、8月からの米国経済の減速懸念や欧州債務問題など欧米を中心とした外部環境によって日経平均は下落したように見えるが、それが落ち着いてみれば国内企業業績の悪化が株価に反映されていたということである。
ここから2週間程度で企業業績見通しの悪化は止まるものと考えられる。しかしながら、既にインプライド・リスク・プレミアムも一時の7%台から6.63%に低下しており、株価が特段割安感のある水準にはないことを示している。
株価は目先の底を打ったと考えているが、来期の展望が見えてくる年明け頃までは一進一退の展開を続けそうだ。基本は押し目買いのスタンスで臨みたい。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

8,400円~9,700円 (前回 8,500円~9,800円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(10月28日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(10月28日)

今期予想EPS 611.26 (前週 616.52 円)
来期予想EPS 722.30 (前週 730.01 円)
今期予想PER 14.81 (前週 14.08倍)
来期予想PER 12.53 (前週 11.89 倍)
来期予想PBR 0.95 (前週0.91 倍)
来期予想ROE 7.55 % 前週7.63 %)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.63 % (前週6.85 %)

*10月28日日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

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