4月18日妥当レンジ 13,850円~16,050円
悪材料への反応は市場センチメント次第

2014/04/22

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<3月の貿易収支は大幅赤字、円安・株高の構図は崩れるか>
■日経平均株価は週末終値で前週比4.0%と前々週の下げを幾分取り戻した水準にある。ウクライナでの緊張が高まる一方で米企業業績が堅調であることを受けた戻りであった。
■21日に公表された3月の貿易収支は市場予想を大きく上回る1兆4,463億円の赤字となり、その結果、為替は円安気味に推移している。消費税率引き上げ前の駆け込み需要に対応して輸入(前年比 金額+18.1%、数量+11.6%)が増えたことが影響しているが、輸出(同 金額+1.8%増、数量▲2.5%)が減少した。日本経済の構造的な問題が顕在化しつつあり、単純な円安・株高の図式が崩れる可能性には留意するべきであろう。
■今週の主な予定は、オバマ大統領の来日(23~25日)、3月の消費者物価指数発表(25日)。
■3月決算企業の決算発表が今週から本格化するが、主要企業では、22日・日本電産(6594)、24日・信越化学(4063)・オムロン(6645)、25日・コマツ(6301)・ファナック(6954)・マツダ(7261)、が予定されている。

<決算発表でポジティブサプライズは限定的だろう>
■4月18日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、前週比で今期・来期はプラス、再来期はマイナスとなった。アステラス製薬(4503)とソフトバンク(9984)の影響を強く受けてた。前週比プラス企業の比率は依然として低調であり(3ページ上図を参照)、今回の決算発表でポジティブサプライズが生じる可能性が低いことを物語っている。
■ただし、マーケット水準は割安圏にあることを考慮すれば決算発表で市場が下落する局面は押し目買いの好機となるだろう。企業の慎重な業績見通しに対して市場がネガティブに反応するかどうかはその時点の市場センチメント次第。前回も申し上げたが、米国企業業績、米経済指標がセンチメントを決定する最大要因。4月の米雇用統計が好調であれば市場は反転上昇する可能性を頭の片隅に置いておくべきであろう。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

13,850円~16,050円 (前回 13,500円~15,700円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(4月18日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(4月18日)

今期予想EPS 770.64 (前週 764.38円)
来期予想EPS 893.25 (前週 891.99円)
再来期予想EPS 986.69 (前週 990.25円)
今期予想PER 18.84 (前週 18.26倍)
来期予想PER 16.25 (前週 15.65倍)
再来期予想PER 14.71 (前週 14.10倍)
来期予想PBR 1.26 (前週 1.22倍)
来期予想ROE 7.74% 前週 7.79%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.66% (前週 6.77%)

*4月18日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 TIW1

 依然としてレンジの下限に近い水準であり、割安感は強いる。

TIW2

先週のタイミングは、コメントしたとおり「買いシグナル」であった。
12ヵ月移動平均の妥当レンジ(下限)を依然として下回る水準にあり、投資の好機は続いていると考える。

TIW3

 コンセンサスEPSが前週と比べてプラスになった企業数を、変化の無い企業数を除くプラス企業数とマイナス企業数の合計で割った数値。50%前後で推移しており、2013年、2012年と比べて物足りない状態にある。 

 TIW4

決算発表後には来期になる(現在の)再来期のコンセンサスEPSがポイントである。予想EPSの伸び率が10%を下回るとなると予想ROEの低下により株価のアップサイドが縮小する。

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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