10月25日妥当レンジ 13,800円~16,050円
先週(10月21~25日)の株価下落でアク抜けか

2013/10/30

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<消費者物価指数コアコアは±0%>
■先週、日本株は大きく下落した。22日の米雇用統計発表前後から為替(ドル円)が円高に振れていたことや、2Q決算に対する(過剰な)期待感が後退したことが影響したと思われる。しかしながら、具体的な悪材料は見られない。米債務上限法案等の可決から続いていた楽観が剥落した状態である。
■25日(金)発表の9月の全国消費者物価指数では、コア(生鮮食品を除く総合)では前年同月比+0.7%であったものの、コアコア(食料及びエネルギーを除く総合)で±0%と8月の-0.1%から僅かな改善に留まった。東京都区部の10月中旬速報値では前年同月比+0.2%であり、金融緩和の効果が表れているとは言い難い状況にある。

<コンセンサスEPSは鈍い動き>
■10月25日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、前週比で3期間(今期・来期・再来期)ともにプラスであった。2Q業績に関して上昇修正を行った富士重工業(7270)の影響がいずれの期間でも大きかった。前週に比べてプラスとなった企業数はマイナス企業数を上回ったが、大きな差ではなかった。今回は、妥当レンジをやや下方に調整する。
■1Q決算後の8月23日と比較して直近のコンセンサスEPSは、今期792.06円→784.96円、来期882.56円→879.61円、再来期979.65円→977.49円と、僅かであるが減少している。企業業績好調時には尻上がりに上昇してゆく傾向があることを鑑みると、企業業績は強いとは言い切れないだろう。
■しかしながら、さらに下値を模索するような展開もバリュエーション面からは考え難い。2Q決算が期待はずれであっても年末に近づくにつれて翌年度が意識されるようになってくるので、マーケットは概ね緩やかな上昇傾向を辿ると予想する。参考までに翌年度(再来期予想EPSに基づく)の妥当レンジは14,800円~17,300円。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

13,800円~16,050円 (前回 14,050円~16,300円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(10月25日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(10月25日)

今期予想EPS 784.96 (前週783.66円)
来期予想EPS 879.61 (前週877.00円)
再来期予想EPS 977.49 (前週977.10円)
今期予想PER 17.95 (前週 18.58倍)
来期予想PER 16.02 (前週 16.60倍)
再来期予想PER 14.41 (前週 14.90倍)
来期予想PBR 1.28 (前週1.32倍)
来期予想ROE 7.99% 前週7.94%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.86% (前週6.75%)

*10月25日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

 妥当レンジは中期トレンドでは緩やかな上昇にある。14,000円割れはあまり意識しなくても良いのだろう。

         

予想ROEは少し持ち直しつつあるが。

  

 

  

日経平均/日経JASDAQ平均は、新興市場の上昇から6月頃の水準に低下。
(リスクプレミアムばかり見ていたことを反省)

 

 まだ力強い業績上昇トレンドは見られないが。

  

    

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

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TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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