8月30日妥当レンジ 13,100円~15,150円
米国のシリア攻撃は、行われても限定的か?

2013/09/03

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<新興国通貨の下落は米国の量的緩和縮小を織り込む動き>
■先週、当レポートが発行された直後に米国によるシリア攻撃が示唆され、円高・株安・原油高の展開となった。
■31日にオバマ大統領は軍事介入の承認を議会に求めたことにより、上下両院の審議が再開される9日までは米国の軍事介入の可能性は低い。既に英国は議会の否決により軍事介入を断念しており、フランスも態度を保留している。こうした状況下で議会の承認を求めたのは、米国にとって介入のリスクが高まった証左であろう。米議会で否決された場合は、介入を行ったとしても短期間の空爆に留まる可能性が高そうである。
■トルコの一部利上げや、ブラジルの通貨介入など米国の緩和縮小に対抗した措置も出ており、大きな混乱は回避されるとの見方も強い。
■足下の米経済指標は、耐久財受注(7月)、ケースシラー住宅価格指数(6月)、中古住宅販売契約件数(7月)などいずれも市場予測を下回りやや弱含みで推移している。9月17~18日開催予定のFOMCで量的金融緩和の縮小が決定されるかは微妙な状況である。
■国内では全国消費者物価指数(7月)は、コアでは前年同月比プラス0.7%と2ヵ月連続で上回ったものの、コアコア(生鮮食料及びエネルギーを除く)では依然としてマイナス(-0.1%)であった。

<コンセンサス予想EPSは今期・来期・再来期もマイナス>
■8月30日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、今期・来期・再来期ともにマイナスであった。全体の変化が鈍っている中で特定企業の影響が強く出たため下方トレンドとは言えないものの、アップサイドは重い。日経平均の妥当レンジは表記の通りやや下方に調整する。
■シリア情勢、米FOMCなどを視野に動き難い展開が今週も予想される。ただし、バリュエーション的には妥当レンジ下限に近く、下振れリスクは依然として小さいと思われる。7日(土)にオリンピック開催地が決定されることから建設・不動産、スポーツ関連などに注目が集まっている。つきなみであるが深追いは禁物と思われる。


◇日経平均妥当水準(レンジ)

13,100円~15,150円 (前回 13,300円~15,350円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(8月30日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(8月30日)

今期予想EPS 791.87 (前週792.06円)
来期予想EPS 880.13 (前週882.56円)
再来期予想EPS 977.52 (前週979.65円)
今期予想PER 16.91 (前週 17.25倍)
来期予想PER 15.21 (前週 15.48倍)
再来期予想PER 13.70 (前週 13.94倍)
来期予想PBR 1.21 (前週1.24倍)
来期予想ROE 7.97% 前週8.02%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.83% (前週6.79%)

*8月30日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

引き続き妥当レンジの下限近辺の動き。しかし、下限も緩やかに低下。                

 


予想ROEの上昇が抑えられて推移する中で、投資家のリスク回避姿勢もやや高まった水準にある。

     

 

 

 引き続き中小型株は、まだ大型株に対して優位(割安)と言うほどの水準ではない。バリュエーションの回復も一服状態。    

               

 

  

予想EPSの前週比プラス企業の比率は50%割れ(=マイナスの方が多い)。

 

               

         出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成 
     いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

    
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