1月18日妥当レンジ 10,150円~11,700円
調整局面があっても、予想EPS増から上方トレンド続く

2013/01/22

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<為替次第であるが、予想EPSの増加トレンドから妥当レンジは一段高に向う可能性も>
■1月18日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、前週に引き続き、3期間(今期、来期、再来期)ともに前週比プラスとなった。特に、来期・再来期予想のプラス変化が大きかった。精密、機械、自動車、商社、小売などプラスとなる業種も広がりつつある。
■足下は、日銀の金融政策決定会合(21~22日)でのインフレ目標の導入と、国債買取枠の増額が発表される見通しであり、目先の材料出尽くしからマーケットが調整する局面もあると考える。しかしながら、コンセンサス予想EPSの底打ちからプラス方向に変化しており、日経平均の妥当レンジは上方シフトがまだ続くものと考えられる。(参考までに、再来期予想をベースとした妥当レンジは18日現在では、11,000円~12,700円である)
■先週はJASDAQやマザーズなど新興市場や中小型株に優位性があったが、まだ東証1部と比較すると期待リターンにおいては、大きな差が有る。日経マーケット欄から逆算した東証1部とJASDAQの期待リターン(今期ベース、1/18現在)は、東証1部が5.88%に対してJASDAQは8.21%と2%以上の差がある(=JASDAQの方がリスクプレミアムは高い)。この差は2011年、2012年では1.0~1.5%程度が標準的であった。それが妥当な水準と考えるならば、JASDAQなど新興市場に水準訂正余地は高いと考える。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

10,150円~11,700円 (前回 9,800円~11,300円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(1月18日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(1月18日)

今期予想EPS 572.31 (前週570.50円)
来期予想EPS 725.05 (前週716.34円)
再来期予想EPS 811.18 (前週801.13円)
今期予想PER 19.07 (前週 18.93倍)
来期予想PER 15.05 (前週 15.08倍)
再来期予想PER 13.45 (前週 13.48倍)
来期予想PBR 1.12 (前週1.11倍)
来期予想ROE 7.47% 前週7.33%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.47% (前週6.31%)

*1月18日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

移動平均(向こう1年間)で予想EPSを見ると12月から上昇傾向にあるのが分かる。

 

 昨年5月から11月まで日経平均は日経JASDAQ平均の6.5倍近辺で推移。
(1/18現在は7.18倍)

   出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成 
     いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

    
 
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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