9月7日妥当レンジ 8,400円~9,650円
欧州債務問題の解決に向けた方向性が示される

2012/09/11

【IFIS/TIWコンセンサス225】

6日のECB理事会において、国債買入れ計画が示された。ECBが示した「国債買入れプログラム」(Outright Monetary Transaction)は、1)買入れ上限を定めない、2)対象国には厳しい財務規律を求める、3)残存年限1~3年の国債を対象とする、4)不胎化によって買取りによる金融緩和を行わない。これによってスペインやイタリアの国債利回りが低下するとともにユーロが主要通貨に対して上昇し、世界的に株価も反騰した。しかし、翌7日に発表された米雇用統計では非農業部門雇用者数の増加が市場予想の13.0万人を大きく下回り9.6万人増に留まったことから、78円割れ直前までドルが急落した。米国の雇用情勢の不振から米FOMC(12~13日)でQE3が打ち出されるとの見方が強まっているようである。しかし、米国の量的緩和はドル安(円高)を促す可能性もあり、必ずしも日本株にとってはプラス要因とは言えない面もある。国内は3月の相場上昇時の信用取引(買残)の反対売買日本航空の再上場に伴う換金売り(11日まで続くと見られている)から、まだ上値の重い展開が予想される。
しかし、12日のドイツ憲法裁判所でESM(欧州安定メカニズム)に対する合憲判決が示されれば、欧州債務問題の出口が一段と開けてくることから、悪抜けのタイミングが近づいていると考える。

9月7日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」の予想EPSは、今期(1期)652.81円(前週比-2.28円)、来期(2期)761.90円(前週比-2.00円)、再来期(3期)837.25円(前週比-1.00円)と引き続きマイナスであったが、動きは小さくなっている。1Q決算後の取材を反映したアナリスト予想の見直しはほぼ一巡しつつあると思われ、ここから1ヵ月程度は小動きの状態になるものと考える(10月に入ったころから2月決算企業ならびに2Q決算前レビューが始まる)。
前週比マイナスとなった企業では、東邦亜鉛(5707)、ファナック(6954)、三井物産(8031)、三菱商事(8058)などが目立った。プラスとなった企業では特に目立つものはなかった。日経平均の妥当レンジは、8,400円~9,650円へと微調整を行う。

日本経済新聞社は、9月7日に日経平均の採用銘柄の変更を発表した。新日本製鐵(5401)と住友金属工業(5405)の経営統合に伴って上場廃止となる住友金属工業を、9月26日に除外する。住友金属工業に変わって、トクヤマ(4043)が新規採用となる。また同時に、日本金属工業(5479)との共同持株会社となる日新製鋼(5407)について、持株会社体制に移行する日本軽金属(5701)についても除外する。これら2銘柄は、10月2日に日新製鋼ホールディングス(5413)、日本軽金属ホールディングス(5703)として新規上場後に継続採用となる(9月26日から10月1日までは223銘柄で日経平均株価は算出される)。

これによるコンセンサスEPSに与える影響は次の通りである。まずは、新日本製鐵と住友金属工業であるが、統合比率0.735(住友金属工業の株主に新日本製鐵株式が0.735株与えられる)となっている。この合併比率と8月31日時点のコンセンサス予想EPSを基に旧新日本製鐵と合併後の新日鉄住金のEPSの変化幅を計算(発行済み株式数からの単純計算)すると、(N225コンセンサスEPSへの影響は)今期ベースで+0.077円、来期ベースで+0.041円、再来期ベースで-0.004円と極めて小さい。
また、除外される住友金属工業と採用されるトクヤマのEPSの差も(N225コンセンサスEPSへの影響では)、今期ベースで+0.839円、来期ベースで-0.1211円、再来期ベースで-0.089円と僅かに留まっている。

悪抜けのタイミングは近づいているようにも思われる。しかしながら、円高局面は続いており、日経予想(ほぼ会社予想と同じ)をコンセンサス予想が下回っている。会社側の下方修正が行われるまでは(=企業業績の面での悪抜け)、海外市場が反発してもマーケット全体の上値余地は限定的なものになると考える。ただし、銘柄間ではFOMC次第で明暗を分けそうだ。QE3が実質的に見送られて円安に為替が振れれば輸出株に、QE3が実施されれば内需株に光があたりそうである。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

8,400円~9,650円 (前回 8,400円~9,600円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(9月7日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(9月7日)

今期予想EPS 652.81 (前週655.09円)
来期予想EPS 761.90 (前週763.90円)
再来期予想EPS 837.25 (前週838.25円)
今期予想PER 13.59 (前週 13.49倍)
来期予想PER 11.64 (前週 11.57倍)
再来期予想PER 10.60 (前週 10.55倍)
来期予想PBR 0.89 (前週0.88倍)
来期予想ROE 7.62% 前週7.59%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
7.10% (前週7.11%)

*9月7日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

コラム&レポート Pick Up