J-REITを取り巻く環境~日米の金利動向とJ-REITの財務体質について~

2015/12/29

 今後も日本においては金融緩和が継続、J-REITの財務体質は改善

   FRB(米連邦準備理事会)は、15~16日に開催したFOMC(米連邦公開市場委員会)で、政策金利の誘導目標のレンジを0.25%~0.5%(従来0%~0.25%)に引き上げることを決定しました。一方、17~18日に行われた日銀金融政策決定会合においても、「量的・質的金融緩和」の推進のため、『「量的・質的金融緩和」を補完するための諸措置の導入』を決定しています。今回は、米国の金融政策が転換期にあることから、改めて日米の金融政策の方向性の差、金利の動向がJ-REITに与えるであろう影響について考えてみたいと思います。

日本と米国の金融政策の違い

   日本における現行の金融緩和「質的・量的金融緩和」は、2013年4月4日に導入されました。導入直後である2013年6月末以降のマネタリーベース、長期金利の推移を米国と比較して見ると、米国は日本に先行して金融緩和を実施していたこともあり、長期金利はボックス圏で推移しています。一方、日本はマネタリーベースの拡大とともに長期金利が低下しています(図1参照)。

   日本の「質的・量的金融緩和」は、物価安定の目処達成まで実施される見込みであり、現在は「金融緩和を継続ないし強化する」局面であるのに対し、米国は「これから金融引き締めを開始する」局面であり、日米で金融政策の方向性が異なっています。


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金利上昇への抵抗力

   J-REITの借入金は、固定金利比率が高ければ、金利の上昇時の影響を受けにくく、金利上昇リスクへの備えが出来ているということになります。

   固定金利比率、平均利率、平均残存年数の推移を見ると、各REITは金融緩和の環境下、財務安定性を高め、①2010年6月に2.4年であった借入金の残存年数が3.9年へ、②固定金利比率が65.7%から85.8%へと、残存年数長期化と固定金利比率の引き上げを同時に実現し、金利上昇への抵抗力を高めています(図2参照)。住宅ローン同様、借入金の長期固定化は、借入金利の上昇に繋がる可能性がありますが、平均利率は1.7%から1.0%に低下しており、J-REITは強力な金融緩和の恩恵を享受しています。

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今後の見通し

   上記のとおり、J-REITの財務安定性は高まりましたが、金利上昇局面では依然残存する変動金利部分の費用などが増加する可能性があります。しかし、足もとではオフィス、賃貸住宅の賃料は上昇しており、ホテルにおいてもインバウンドを背景とした売上増加傾向などから賃貸収入増加に対する期待が高まっています。さらに、不動産価格も、政府・日銀による景気回復、脱デフレ期待を背景に緩やかに上昇しています。そのため日本は今後、金融緩和の継続、緩やかな経済成長が期待されるなか、仮に金利が上昇したとしても、賃料収入の増加、保有不動産の価格上昇が金利上昇による費用増加懸念を補う形で、J-REIT市場をサポートすることが期待されます。

 

※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。

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