日銀の新たな『金融緩和』から1年を振り返る

2017/09/25

<今日のキーワード>日銀の新たな『金融緩和』から1年を振り返る

日本銀行(日銀)は、2016年9月20、21日の金融政策決定会合で、従来の「量的・質的金融緩和」、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を強化する形で、新たな『金融緩和』の枠組みとして「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入しました。2%の「物価安定の目標」に向けてデフレは脱したものの、目標達成は依然として遠い状態です。日銀の『金融緩和』の行方はどうなるのでしょうか?

【ポイント1】日銀が昨年導入した『金融緩和』の枠組みは2本柱からなる

「イールドカーブ・コントロール」と「オーバーシュート型コミットメント」

 

■日銀が1年前に導入した『金融緩和』の枠組みは、①長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」、②消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」を2本柱としています。新しい枠組みでは、これまで『金融緩和』のターゲットとされていた“量”は主眼から外れ、“金利”のコントロールが新たな目標となっています。

 

【ポイント2】量的緩和では国債買入れペースが減速

ETFやJ-REITは着実に増加、日銀が大株主の銘柄も

 

■日銀による具体的な『金融緩和』の手段としては、国債の買入れがあります。日銀は、10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、国債の買入れを行っています。買入れ額は、保有残高が年間約80兆円のペースで増加することが“めど”とされています。

■変更前の『金融緩和』では、国債の買入れペースが目標として明記されていましたが、現在はあくまで“めど”となりました。実際には、国債の買入れ額は年間60兆円程度のペースに減少しています。

■一方、ETFやJ-REITなど国債以外の資産については、現行以前の『金融緩和』の内容を引き継いで着実に増加しています。株式市場では日銀を大株主とする銘柄も増加してきており、その影響は小さくありません。

 

170925MK

 

 

 

 

【今後の展開】物価目標の達成時期は徐々に後ずれ、当面は現行維持か

 

■日銀は2%の「物価安定の目標」の達成のため、2013年4月以来、強力な『金融緩和』を継続しています。この結果、持続的なデフレは脱したものの、その目標達成時期は当初から徐々に後ずれしてきており、現在は2019年度頃と日銀は見ています。日銀の黒田総裁は、現在の『金融緩和』の枠組みについて「持続性が非常に高い」と評価しており、当面は現状の金融政策が続けられると見られます。ただし、来春には黒田総裁の任期満了が迫っており、次期総裁が誰になるかとともに、政策変更の有無についても注目です。

 

(2017年 9月 25日)

印刷用PDFはこちら

日銀の新たな『金融緩和』から1年を振り返る

 

関連マーケットレポート

2017年09月21日 日銀の金融政策は現状維持(2017年9月)

2017年09月12日 日本株式市場の見通し

三井住友アセットマネジメント株式会社
SMAM マーケット・レポート   三井住友アセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向、関連する旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく説明します。また、“教えて!Q&A”では、投資に関する様々な疑問をタイムリーに取り上げ、解説します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友アセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友アセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

コラム&レポート Pick Up