ECB「金融政策の方向性」(欧州)

2017/04/13

<今日のキーワード>ECB「金融政策の方向性」(欧州)

欧州中央銀行(ECB)は、4月6日に3月8日~9日に行われた定例理事会の議事録を公表しました。その中では、景気やインフレの見方に加え、マイナス金利となっている「政策金利」や国債などの買い取りを行う「量的緩和政策」の方向性について様々な意見が交わされていたことが確認されました。最終的には、「現段階でこれらの金融政策の見直しは時期尚早」との結論に達したようです。

【ポイント1】景気は拡大傾向継続、インフレはECBの目標値付近で推移

輸出の回復などが牽引

■実体経済との相関が高いユーロ圏PMIは、3月に製造業・サービス業ともに約6年振りの高水準まで上昇しました。ユーロ安などにより好調な輸出や、ドイツを中心とした堅調な雇用環境が景気拡大を支えています。

■また、消費者物価上昇率(以下、HICP)は2月に前年同月比2.0%まで上昇しましたが、エネルギー価格や食品価格の上昇が主因であり、その影響が薄れた3月は同1.5%に鈍化しました。HICPは、ECBが物価安定の目途としている「2%をわずかに下回る」という水準付近で推移しています。

【ポイント2】「マイナス金利」と「量的緩和策」導入後、ECBの総資産残高は増加

資産購入額の減少も視野に

■議事録では、景気が回復し、インフレ率も底入れしたことで、デフレのリスクはかなり低下したことが認められました。

■一方、景気には外部要因(米国の政策不透明感、英国の欧州連合離脱、中国景気の動向など)を中心に下向きのリスクの方が大きいと判断しました。また、今後のインフレ率については、エネルギーと食品を除いたコアインフレ率は落ち着いており、持続的に上昇する確信度はないと判断されました。

 
170413MK

 

【今後の展開】金融緩和策の縮小が視野に入り、国債利回りは緩やかに上昇へ

■金融緩和策は緩やかなペースで縮小へ

景気の回復やインフレ上昇から、政策金利は当分据え置くものの、ECBは年内にも資産購入の規模を縮小する決定をする(実施は18年以降)と思われます。

■国債利回りは緩やかに上昇へ

国債利回りの大幅な上昇は見込みませんが、金融緩和策が緩やかなペースで縮小へ向かうことで、徐々に利回りの水準が上がる見通しです。

(2017年 4月 13日)

印刷用PDFはこちら

ECB「金融政策の方向性」(欧州)

 

 

 

関連マーケットレポート

2017年3月29日 最近の欧州の指標とマーケット(2017年3月)

2017年3月10日 ECBの金融政策(2017年3月)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
三井住友DS マーケット・レポート   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ