英国政府は、「EU残留」の働きかけ開始(欧州)

2016/03/09

<今日のキーワード>英国政府は、「EU残留」の働きかけ開始(欧州)

英国のキャメロン首相は、2月20日に「EU(欧州連合)残留」の是非を問う国民投票を6月23日に実施することを決断しました。それ以降、首相は国民に「EU残留」の働きかけを始めました。一方、「EU離脱」への支持も根強く、国民投票を前に、経済や金融の不透明感が高まる可能性もありそうです。

【ポイント1】大企業は「EU残留」支持

中小企業経営者などは「EU離脱」支持
■6月23日の国民投票に向けて、「EU残留」、「EU離脱」の両派のかけひきが活発化するなか、大企業を中心とする産業界は「英国残留」を支持する姿勢を鮮明にしました。金融、自動車、航空、IT業界の大企業は、従業員らに雇用への懸念を材料に、「EU残留」への同調を求める働きかけをしたとされます。

■一方、英国の主権回復や移民の流入抑制を求める「EU離脱」への支持は、中小企業経営者などを中心に広がっています。EU統合による恩恵の受け方の違いが、支持の違いにつながっている面も見られます。

【ポイント2】「離脱で経済に打撃」か

政府に2つの報告書提出の義務
■政府は国民投票実施の10週間前までに、判断材料となる情報として、2つの報告書を議会に提出する義務があります。それらは、①EUとの交渉結果とそれに対する政府の所見、②英国がEUに残留することで生じる権利と義務、並びに、EUに加盟せずEUと取り決めを結んでいる国の実例、についてです。

■政府はこれらに先立ち、英国がEUを離脱した場合の貿易に対する検証結果を公表しました。それによると、「EU離脱」の場合、ノルウェーやスイスにならった場合でも、経済は打撃を受けるとされました。

160309MK

【今後の展開】金融市場の変動性の高まりに注意が必要

世論調査は、両派の拮抗に大きな変化なし
英国がEUを離脱した場合の悪影響は貿易のみならず、対英直接投資の減少、ロンドンの国際金融市場の地位低下、グローバル企業の英国撤退など、幅広い分野に及ぶと見られます。直近の世論調査では、両派の拮抗状態に大きな変化はなく、約2割強を占める態度保留者の判断が注目されます。

英ポンドは、実施決定後変動が拡大
為替市場では、英ポンドが国民投票の実施日決定直後、対ドルで急落し、その後反発するなど、変動が高まりました。国民投票までまだ3カ月以上あり、両派のかけひきが活発化することも予想されます。今後は、金融市場の不透明感が高まる可能性に注意が必要と見られます。

(2016年3月9日)

印刷用PDFはこちら

今日のキーワード英国政府は、「EU残留」の働きかけ開始(欧州)

関連マーケットレポート

2016年 2月24日 英国は「EU残留」を問う国民投票へ(欧州)

2016年 1月 7日 「英国のEU離脱(Brexit)」(欧州)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
三井住友DS マーケット・レポート   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ