ギリシャ国民投票は、財政緊縮案の受け入れを拒否

2015/07/06

ギリシャ国民投票は、財政緊縮案の受け入れを拒否

【ポイント1】財政緊縮に「No」

市場はユーロ下落の反応

■5日に実施されたギリシャの国民投票は、すべての開票を終え、欧州連合(EU)が提案した財政緊縮案に「No」が61.31%と、受け入れに賛成する「Yes」の38.69%を上回りました。事前の世論調査では賛否が拮抗していたため、賛否に20ポイント超の差がついたことは意外感をもって受け止められました。

■為替市場は、日本時間の6日9:30の時点では、ユーロは対米ドル、対円で下落しています。また、日経平均株価は、20,200.15円と前日比▲339.64円安で始まり、投資家のリスク回避の動きが強まっています。

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【ポイント2】 EUなどは対応協議へ

6日に独仏首脳が協議

■欧州中央銀行(ECB)は6日に、EUは7日にそれぞれ緊急会合を開き、対応を協議する予定です。

■また、フランスのオランド大統領とドイツのメルケル首相は6日にも会談を持ち、対応を協議すると伝えられています。

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【今後の展開】 景気や市場の動向次第では、追加の金融緩和策が期待される

■ギリシャのチプラス首相のEUの財政緊縮案の反対は、ユーロ圏残留が前提です。一方、EUが財政緊縮案に国民投票で「No」の結果を出したギリシャへの金融支援を直ちに再開する可能性は低いと見られ、ギリシャの銀行が資金繰りに窮する可能性が高まりました。 7日以降に、資本規制が解除されるかは流動的です。

■ギリシャ政府は6月末が返済期限であった国際通貨基金(IMF)への返済や国内の業者への支払いを遅らせています。EUなどからの金融支援を得られなければ、債務証書(IOU)などの発行による支払いを検討せざるを得ないと見られ、その場合はギリシャのユーロ圏離脱の可能性が高まると考えられます。

■ECBはギリシャ危機の周辺国への波及の防止に力を入れると思われます。前回のギリシャ危機以降、欧州金融安定化基金(EFSF)や欧州安定メカニズム(ESM)が導入され、危機対応力は強化されてきました。加えて、ECBが現行の量的金融緩和を強化する可能性もあり、ギリシャ危機が欧州全体に波及するリスクは限定的と見られます。ただし、当面はギリシャ問題を巡る不透明感から、市場の変動が高まる状況が続くことに注意が必要です。

 (2015年7月6日) 

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