ボラティリティ指数を再考する

2018/02/09

市川レポート(No.475)ボラティリティ指数を再考する

  • 代表的なボラティリティ指数であるVIX指数や日経平均VIは、株価と負の相関を示す特徴がある。
  • VIX連動のレバレッジドETFやインバースETFは、VIX上昇で価値急減、株安を促したとの見方も。
  • リスク・パリティ戦略も株安要因との指摘、ただ、株式の本源的価値は商品や戦略では決まらない。

 

代表的なボラティリティ指数であるVIX指数や日経平均VIは、株価と負の相関を示す特徴がある

ボラティリティとは株式などの価格変動率であり、その動きを指数化したものがボラティリティ指数です。代表的なものに、米シカゴ・オプション取引所(CBOE)が算出する「VIX指数」や、日本経済新聞社が算出する「日経平均VI」があります。前者はS&P500指数のオプションの市場価格を基に、後者は日経平均株価のオプションの市場価格を基に、ボラティリティを算出します。

VIX指数、日経平均VIは、いずれも市場参加者が今後1カ月で株価の変動をどのように予想しているかを示します。これらの指数は、株価の下落局面や、景気の先行きに不透明感が強まる場合には、上昇する傾向がみられます。一方、株価の上昇局面や、景気の見通しが安定している場合には、低下または低水準で安定的に推移する傾向がみられます。つまり、VIX指数や日経平均VIには、株価と逆の動き(負の相関)を示す特徴があります。

 

VIX連動のレバレッジドETFやインバースETFは、VIX上昇で価値急減、株安を促したとの見方も

また、VIX指数に連動する上場投資信託(ETF)や上場投資証券(ETN)が2009年に誕生しました。それ以降、市場参加者はこれらを利用して株価の下落リスクを回避(ヘッジ)することが可能になりました。さらに、ボラティリティの変動で利益を狙う目的から、VIX指数の2倍または3倍の価格変動となるレバレッジドETF・ETNや、VIX指数と逆方向の価格変動となるインバースETF・ETNが開発されました。

レバレッジド型やインバース型の商品は、投機(スペキュレーション)の色が濃く、購入者は高い利益が期待できる一方、大きなリスクを負います。昨年来の米国株の上昇で、ボラティリティ指数は落ち着いた動きが続いていました。そのため、ボラティリティ指数の安定で大きな利益が上がるタイプのレバレッジド型やインバース型の商品の人気が高まりました。しかしながら、今回の米国株急落で、VIX指数が急騰し(図表1)、これら商品の価値は大幅に減価しました。

 

リスク・パリティ戦略も株安要因との指摘、ただ、株式の本源的価値は商品や戦略では決まらない

そのため、これら高リスク商品を保有していた投資家は、株式など他の資産の売却による損失補てんに動き、これが更なる株安とボラティリティ上昇につながった可能性があります。また、市場では最近、ボラティリティに応じてポートフォリオの資産配分を見直す「リスク・パリティ(均衡)」戦略が話題になっています。これは、ボラティリティが上昇した場合、株式等のリスク資産の保有比率を引き下げ、国債等の安全資産の保有比率を引き上げるという戦略です。そのため、これも株価急落の一因と指摘する向きもあります。

長期にわたって低位安定推移したボラティリティがその反動で急騰した結果、VIX連動商品やリスク・パリティ戦略が株式相場の下げを一時的に加速させた可能性はあります。ただ、日米の経済環境や企業業績の見通しは良好で、金融システムには依然、巨額の流動性が存在します(図表2)。株価はしばらく不安定な動きが続くと思われますが、株式の本源的価値は、投機的な金融商品やポートフォリオ戦略によって決まるものではありません。

 

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(2018年2月9日)

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