日米長期金利の上昇と為替相場の反応

2018/01/10

市川レポート(No.466)日米長期金利の上昇と為替相場の反応

  • 日銀のオペ減額を受け長期金利上昇、円高進行となったが、日銀に政策変更の意図はなかろう。
  • 米国でも長期金利上昇でドル高に、ただ円の上昇がより大きく、ドル円、クロス円とも円高の反応。
  • 今回の円高と日米長期金利上昇は一時的とみるが原油高の長期金利押し上げ効果に要注意。

 

日銀のオペ減額を受け長期金利上昇、円高進行となったが、日銀に政策変更の意図はなかろう

日銀は1月9日の国債買い入れオペ(公開市場操作)において、残存期間「10年超25年以下」の買い入れ予定額を前回の2,000億円から1,900億円に減額し、残存期間「25年超」の予定額も900億円から800億円に減額しました。これを受けて、国内債券市場では超長期ゾーンの金利が上昇し(図表1)、ドル円は1ドル=113円台前半から112円台半ばまで、ドル安・円高が進行しました。

今回の減額は予想外のタイミングだったため、為替も円高方向にやや大きく反応しました。なお、黒田総裁は2017年6月16日の記者会見において、操作目標は長期金利であり、買い入れ額ではないこと、また買い入れ額は内生変数(金利操作の結果として決まるもの)であり、毎月ある程度変動することを明言しています。従って、今回の減額に政策変更の意図はないと考えます。

 

米国でも長期金利上昇でドル高に、ただ円の上昇がより大きく、ドル円、クロス円とも円高の反応

1月9日の米国債券市場でも、長期債中心に利回り上昇が顕著となりました。この要因として、日本国債の利回り上昇に連れた動きとの指摘や、米大手運用会社のビル・グロス氏による米債弱気相場入り宣言が影響したとの声も聞かれます。また、米10年国債入札を翌日に控え、持ち高調整の売りも出回ったとみられ、同国債利回りは一時2.55%台まで上昇しました。

この動きを受け、為替市場では対主要通貨で米ドル高が進行しましたが、日銀のオペ減額を主因に、日本円は米ドルよりも大きく上昇しました(図表2)。その結果、通貨の強い順に、日本円、米ドル、その他通貨(英ポンド、豪ドル、ユーロなど)という並びになり、1月9日はドル円、クロス円(ユーロ円など米ドル以外の通貨と日本円のペア)とも円高方向に振れることとなりました。

 

今回の円高と日米長期金利上昇は一時的とみるが原油高の長期金利押し上げ効果に要注意

なお、今回の円高は、悪材料に起因するリスクオフの動きではありませんので、大幅な株安を伴う恐れは小さいと思われます。また、日銀のオペ減額で、一部には日銀が長期金利の操作目標を引き上げるのではないかとの思惑もみられますが、これについては前述の通り、オペ減額に政策変更の意図はなく、日銀の基本的な政策の枠組みは当面維持されると考えています。

そのため、円高の進行も日米長期金利の上昇も一時的にとどまる可能性が高いとみていますが、足元の原油高が日米の期待インフレ率を押し上げている点には注意が必要です。原油高が続けば、期待インフレ率の押し上げを通じて、長期金利に上昇圧力がかかりやすくなるためです。ただ、日米ともに金利が上昇する方向であれば、極端なドル高・円安(またはドル安・円高)に振れる可能性は低いと思われます。

 

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(2018年1月10日)

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