6月8日に集中したイベントと市場の反応

2017/06/09

市川レポート(No.402)6月8日に集中したイベントと市場の反応

  • ECB理事会の結果、ドイツの長期金利が低下し、ユーロ安が進行、ただ他市場の反応は限定的。
  • コミー前FBI長官の証言は材料視されず、米大統領弾劾は今後の捜査次第だが可能性は低い。
  • 英選挙は結果待ちだが、英固有の問題であり、金融市場の世界的な混乱には至らないであろう。

 

ECB理事会の結果、ドイツの長期金利が低下し、ユーロ安が進行、ただ他市場の反応は限定的

6月8日は、欧州中央銀行(ECB)の定例理事会、コミー前連邦捜査局(FBI)長官の証言、英国の総選挙という3つのイベントが重なりました。今回のレポートでは、それぞれの結果と市場の反応、そして今後の見通しについて考えてみます。まずECBの理事会では、金融政策は予想通り現状維持となりましたが、金融政策の方向性を示すフォワードガイダンスは、資産購入終了後の追加緩和を示唆する文言が削除されました。

しかしながらドラギ総裁は理事会後の記者会見で、物価の基調は引き続き弱く、強力な金融緩和がなお必要と述べ、市場の過度な緩和終了の織り込みを牽制しました。これを受けドイツ10年国債利回りが低下し、ユーロ安が進行しましたが、その他の市場の反応は限定的でした。なおECBの金融政策については、今後緩和度合いが徐々に縮小され、9月に資産購入減額が通知されるとみています。

 

コミー前FBI長官の証言は材料視されず、米大統領弾劾は今後の捜査次第だが可能性は低い

次にコミー前FBI長官の証言については、米上院情報特別委員会が前日の7日に冒頭陳述の原稿を公表しており、8日の証言では新たな内容がみられなかったことから、市場ではほとんど材料視されませんでした。またコミー氏はトランプ米大統領の司法妨害に関する言及を避けており、今後はモラー特別検査官による捜査と最終的な判断に焦点が移ると思われます。

トランプ米大統領の弾劾については、捜査によって司法妨害の決定的な証拠が見つかり、国民から弾劾を求める声が一気に高まるという状況にならない限り、共和党が多数議席を占める今の議会で弾劾が成立する可能性は低いと思われます。仮に弾劾となっても、大統領に昇格するペンス米副大統領が、政策をスムーズに遂行することができれば、市場への影響は限定される可能性があります。

 

英選挙は結果待ちだが、英固有の問題であり、金融市場の世界的な混乱には至らないであろう

最後に英国の総選挙です。日本時間6月9日の朝方、英メディアの出口調査において、メイ首相率いる与党保守党が過半数議席を割り込み、どの政党も単独過半数を獲得できない「ハングパーラメント」になるとの見通しが示されました。ハングパーラメントとなればメイ首相の辞任は避けられないとの見方も浮上し、政局の混迷を嫌気してポンドが主要通貨に対しほぼ全面安となりました。

ハングパーラメントなら連立政権か少数政権、労働党勝利なら政権交代となるため、欧州連合(EU)との離脱交渉にはスケジュールも含めかなりの影響が予想されます(図表1)。いずれにせよ最終的な選挙結果を見極める必要がありますが、日本時間6月9日午前11時時点で、円の急騰や日本株の急落には至っていません。基本的には英国固有の問題であり、ポンドや英国市場への影響は懸念されますが、世界の金融市場が大混乱する事態には至らないと思われます。

 

 

 

 

170609図表

 

 

(2017年6月9日)

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