ドル円の110円という水準

2017/04/11

市川レポート(No.378)ドル円の110円という水準

  • ドル安・円高の勢いが弱まる110円付近は、トランプ政策への市場の期待がちょうど半減した水準。
  • 通貨オプション市場はドルプットオーバーであり、ドル安・円高を見込む向きが増えていることを示唆。
  • 足元の通貨オプション取引をみる限り、円高リスクへの備えと110円を巡る攻防への関与が窺える。

ドル安・円高の勢いが弱まる110円付近は、トランプ政策への市場の期待がちょうど半減した水準

ドル円は3月下旬以降、1ドル=110円付近までドル安・円高が進行する場面が何度かみられています。具体的には、3月27日に110円11銭水準、翌28日には110円18銭水準をつけ、月末31日にはいったん112円20銭水準までドル高・円安が進んだものの、4月7日には再び110円13銭水準まで戻っています。しかしながらまだ109円台はつけていません(日本時間4月11日15時現在)。

ドル円は、米大統領選挙でトランプ氏勝利が決まった2016年11月9日、101円20銭水準までドル安・円高が進みました。その後、トランプ米大統領の景気刺激策に対する期待からドル高・円安が進行し、12月15日には118円66銭水準をつけています。この幅の半値押しが109円93銭水準となりますので、110円辺りはトランプ政策に対する期待の半減水準といえます。

通貨オプション市場はドルプットオーバーであり、ドル安・円高を見込む向きが増えていることを示唆

米国では5月に18年度予算の議会審議が始まる見通しです。ただ審議が遅延した場合や、税制改革のための予算規模が想定よりも小さかった場合、減税やインフラ投資に対する市場の期待が一段と後退する形で、一時的に110円よりもドル安・円高が進む可能性があります。もちろん日米金融政策を巡る思惑や、地政学リスクなどにも注意が必要ですが、トランプ政策は引き続きドル円相場にとって影響の大きい材料と考えます。

ここで通貨オプション市場の動向を確認します。ドル円のリスク・リバーサルの推移をみると、3月以降はドルプット(円コール)オーバー、つまりドルプット(ドルを売って円を買う権利)の価格がドルコール(ドルを買って円を売る権利)よりも割高になっていることが分かります(図表1)。これは通貨オプション市場で、ドル安・円高を見込む向きが増えていることを示唆しています。

足元の通貨オプション取引をみる限り、円高リスクへの備えと110円を巡る攻防への関与が窺える

また通貨オプションの行使価格と取引残高の関係をみると、直近では110円を行使価格に設定している通貨オプション取引の残高は、その前後の為替レートを行使価格とする通貨オプション取引の残高よりも、目立って大きいことが分かります(図表2)。このことから、通貨オプション市場の参加者も、110円という水準は重要な節目と考えていると推測されます。

なお、通貨オプションの特殊な形として、消滅条件が110円に設定されているような取引もあります。この場合、オプション保有主体はドル円が110円に近づくと、オプション消滅を回避するためドル買い・円売りを行うことがあります。これが結果的に110円付近でのドル安・円高の勢いを弱めることも有り得ますが、あくまで1つの想定例に過ぎません。ただ少なくとも足元の通貨オプション取引をみる限り、円高リスクへの備えと、110円を巡る攻防への関与が窺えます。

170411図表1170411図表2

 

(2017年4月11日)

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