米中首脳会談を終えた後の注目点

2017/04/10

市川レポート(No.377)米中首脳会談を終えた後の注目点

  • 北朝鮮問題や貿易不均衡問題は方針確認にとどまり、新たな米中閣僚級対話で協議を継続へ。
  • 北朝鮮問題では非核化に向けた米中の包括的協議が、シリア問題では米ロの協調がカギを握る。
  • 地政学リスクが改めて市場のテーマとして浮上し、北朝鮮やシリアに関する米国の言動には要注意。

北朝鮮問題や貿易不均衡問題は方針確認にとどまり、新たな米中閣僚級対話で協議を継続へ

トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は4月7日、2日間にわたる初めての会談を終えました。今回は、北朝鮮の核・ミサイル問題や米中の貿易不均衡問題について、解決に向けた具体的な対応や合意が示されるか否かに市場の関心が集まっていました。結果的に、これらの問題は基本方針の確認にとどまり、新設される米中閣僚級対話で協議が継続されることになりました(図表1)。

北朝鮮の核開発については、深刻な段階にあるとの認識を米中で共有したものの、中国の協力が得られなければ、米国は単独行動も辞さないとの立場を明らかにしました。また貿易不均衡については、是正に向けた「100日計画」を策定することで合意しました。会談では、さほど協調的な姿勢は見られなかった一方、激しい対立は回避されたため、市場にとっては極端に良くも悪くもない材料だったと思われます。

北朝鮮問題では非核化に向けた米中の包括的協議が、シリア問題では米ロの協調がカギを握る

北朝鮮では4月11日に国会に相当する最高人民会議が開催され、15日には金日成生誕105周年、また25日には朝鮮人民軍創設85周年を迎えるなど、この先、重要イベントを控えます(図表2)。そのため米中が北朝鮮を巡る駆け引きを続ける間に、北朝鮮が4月にも核実験を行うのでないかとの警戒が市場で燻っており、米中両国による非核化に向けた包括的な協議の早期進展が望まれます。

また、米国はシリアのアサド政権の包囲網を強めており、追加の経済制裁に踏み切る見通しです。米軍によるシリア攻撃について、アサド政権を支えるロシアとイランは強く反発する一方、アサド政権打倒を訴えるサウジアラビアとイスラエルは歓迎を表明しています。シリア情勢の混迷が長期化した場合、再びテロの勢いが増す恐れや、シリアからの難民問題が深刻化する懸念もあり、米ロの協調が問題解決のカギを握ると思われます。

地政学リスクが改めて市場のテーマとして浮上し、北朝鮮やシリアに関する米国の言動には要注意

仮に北朝鮮が核実験を行った場合、米国の行動次第で緊張感が高まり、日本、韓国、中国政府の周辺も慌ただしくなることが予想されます。その際、市場は円高、株安で反応する可能性がありますが、軍事行動に発展しない限り、短期的な反応にとどまると考えます。また中東情勢が一段と悪化する見通しが強まれば、原油相場の変動性(ボラティリティ)拡大も想定が必要と思われます。

ここにきて、地政学リスクが改めて市場のテーマとして浮上しており、北朝鮮問題やシリア問題に対する米国の言動には特に注意が必要です。ただ前回のレポートでもお話しした通り、地政学リスクが顕在化しても、金融システムへの影響が限定的で、流動性の潤沢さにも変化がなく、他国・地域へ拡大する恐れが小さい場合、市場の動揺は一時的と考えます。
170410図表1170410図表2

 

(2017年4月10日)

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