米大統領議会演説を終えて~この先市場は何に注目するか

2017/03/01

市川レポート(No.361)米大統領議会演説を終えて~この先市場は何に注目するか

  • 演説で各施策の詳細に言及はなかったが公約通りの基本方針が示されたことは市場の安心材料。
  • 今後の市場の焦点は、オバマケア代替法案、予算教書、イエレン議長の講演、2月米雇用統計。
  • 日本株とドル円相場を見通す上では米予算規模と景気対策のスケジュールを見極めることが重要。

演説で各施策の詳細に言及はなかったが公約通りの基本方針が示されたことは市場の安心材料

トランプ米大統領は米上下両院合同本会議において、現地時間2月28日午後9時(日本時間3月1日午前11時)から施政方針について演説を行いました。演説では、大規模減税、1兆ドルのインフラ投資、医療保険制度改革法(オバマケア)の廃止と代替案への置き換え、規制緩和、国防費の大幅増額などへの言及があり、これまでの公約が改めて確認された格好になりました。

市場にとって、各施策の詳細が示されなかったことはやや失望につながったと思われますが、少なくとも公約通りの基本方針が示されたことは幾らか安心材料になったとみられます。ドル円相場は日本時間3月1日の午前中、一時ドル安・円高に振れる場面もありましたが、午後にはドル高・円安の動きに転じました。日経平均株価も前場に一時値を下げましたが、後場には持ち直しました(図表1)。

今後の市場の焦点は、オバマケア代替法案、予算教書、イエレン議長の講演、2月米雇用統計

議会演説が波乱なく終了したため、市場の焦点は、①オバマケアの廃止と代替法案の成立、②予算教書に移ります。①はトランプ政権の最優先事項ですので、成立に時間を要すれば、それだけ税制改革やインフラ投資計画への着手は遅れるため注意が必要です。また②については、軍事費などを含む予算の概要が3月16日に議会へ提出され、その後、税制改革を含む本格的予算が5月に提出される見通しです(図表2)。

またニューヨーク地区連銀のダドリー総裁とサンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁が2月28日、ともに早期利上げに強い意欲を示したことから、足元の市場では3月の米利上げの織り込みが進んでいます。この関連から、③3月3日のイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長とフィッシャーFRB副議長の講演、④3月10日の2月米雇用統計も、市場の焦点になると思われます。

日本株とドル円相場を見通す上では米予算規模と景気対策のスケジュールを見極めることが重要

米利上げについて弊社は6月の予想を維持していますが、市場の早期利上げの織り込みはドル高要因であり、目先は日本株の下支えになることが期待されます。ただ年内を展望した場合、米国の2018年度予算規模と景気対策のスケジュールを見極めることが日本株とドル円相場を見通す上で重要と考えます。弊社の基本シナリオは、2017年10-12月期に米景気対策が始動し、年末に向けて緩やかにドル高・円安が進行し、日本株も上昇するというものです。

ただ米国では景気対策や税制改革は、比較的実行が容易なものから順に着手され、結果的に当初のトランプ案よりも規模が小さくなる見通しです。それが明らかになる過程で、市場は一時的にドル安・円高、株安で反応する可能性があると思われます。リスクシナリオは、オバマケア代替法案の成立遅延などで景気対策への着手が遅れるケースであり、その場合はドル高・円安の進行と日本株の上昇時期も後ずれすることになります。

170301図表1 170301図表2

 

 (2017年3月1日)

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