日銀短観直前チェックと日本株の見方

2016/03/30

市川レポート(No.229)日銀短観直前チェックと日本株の見方

  • 年初の市場混乱などを勘案すれば、企業景況感は製造業を中心に前回より悪化が予想される。
  • 2016年度の想定為替レートにも注目、そこから一段の円高は輸出企業などの業績下振れ要因。
  • 物価見通し下振れで追加緩和観測浮上なら、3月短観後も日本株は底堅い動きとなる可能性。

年初の市場混乱などを勘案すれば、企業景況感は製造業を中心に前回より悪化が予想される

日銀は4月1日に3月の全国企業短期経済観測調査(短観)を発表します。通常、3月短観の回答期間は2月25日前後から3月までですが、今回この期間において原油価格や新興国通貨は落ち着きを取り戻しました。ただドル円が一時110円台をつけるなど円高への懸念は残りました。また、そもそも年初から市場が大きく混乱したことを勘案すれば、企業の景況感は製造業を中心に前回12月調査より総じて悪化すると思われます。

企業の景況感は、良いと回答した企業の割合(%)から悪いと回答した企業の割合(%)を引いて算出する業況判断DIで示されます。業績判断DIには「最近」と「先行き」(3カ月先)がありますが、両者の比較や、前回調査との比較によって、景況感の改善または悪化の広がりを把握することができます。また業績判断DIは、企業の規模毎(大企業・中堅企業・中小企業)、製造業・非製造業の業種毎に確認できます。

2016年度の想定為替レートにも注目、そこから一段の円高は輸出企業などの業績下振れ要因

市場予想によれば、大企業製造業の「最近」の業況判断DI(図表1)は、前回のプラス12から、今回はプラス8へ悪化が見込まれています。ただ前回の「見通し」はプラス7でしたので、市場予想通りなら、足元の景況感は3カ月前の「見通し」より悪くなかったことになります。しかしながら市場の予想では、今回の「見通し」はプラス7と、先行き小幅の悪化が示されています。

この他、2016年度の想定為替レート(図表2)や2016年度の設備投資計画(土地投資を含みソフトウェア投資を除く)も注目したいと思います。想定為替レートは事業計画の前提となるドル円レートですが、4月以降その水準よりドル安・円高が進行すれば、輸出企業などの業績下振れ要因となります。また設備投資は、計画が固まっていない企業も多く、3月調査では低めの数字がでる傾向にあります。市場予想では大企業全産業で前年度比0.7%減となっていますが、企業の慎重姿勢をみる上では参考になると思われます。

物価見通し下振れで追加緩和観測浮上なら、3月短観後も日本株は底堅い動きとなる可能性

以上より、3月短観の結果を受けて、投資家は企業業績や日本株に対し改めて慎重な見方を維持することも予想されます。なお翌営業日の4月4日、調査の一環として「企業の物価見通し」の概要が公表されます。ここでは1年後、3年後、5年後の販売価格と物価全般の見通しが示されます。前回調査から明確に下振れた場合、日銀の追加緩和期待が高まり、3月短観後も日本株は意外に底堅い動きとなる可能性があります。

弊社ではコアリサーチユニバース216社の経常利益について、2016年度は前年度比+5.6%を予想しています。この予想に関する為替レートの前提は1ドル=115円、1ユーロ=130円です。仮に為替レートを1ドル=110円、1ユーロ=120円へそれぞれ円高方向に修正すると、計算上2016年度の経常利益は前年度比+2.0%台へ鈍化します。2016年度の想定為替レートも踏まえ、日本株をみる上で引き続き円相場の動向には注意が必要です。

160330 図表1160330 図表2

 

 (2016年3月30日)

市川レポート バックナンバーはこちら

http://www.smam-jp.com/useful/report/ichikawa/index.html

 

 

三井住友アセットマネジメント株式会社
市川レポート 経済・相場のここに注目   三井住友アセットマネジメント株式会社
主要国のマクロ経済や金融市場に関する注目度の高い材料をとりあげて、様々な観点から分析を試みます。
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友アセットマネジメントが作成したものであり、投資勧誘を目的として作成されたもの又は金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。本資料を投資の目的に使用したり、承認なく複製又は第三者への開示等を行うことを厳に禁じます。
●当資料の内容は、当社が行う投資信託および投資顧問契約における運用指図、投資判断とは異なることがありますので、ご了解下さい。

三井住友アセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

コラム&レポート Pick Up