イタリア政局混乱でリスクオフ

2018/05/31

▣ イタリア政局混乱

イタリアの政局不安が欧州全体の経済に影を落とすとの懸念などから、内外の金融市場が不安定になっています。特に、イタリア国債の利回りが大幅に上昇、ユーロが急落する一方、逃避需要からドイツ国債の利回りは低下、円高やドル高が進行しています(図表1、2)。

イタリアでは、3月の総選挙で第一党になったポピュリズム(大衆迎合主義)政党「五つ星運動」と極右「同盟」が法学者のジュセッペ・コンテ氏を新首相に指名し、組閣を命じました。コンテ氏はユーロ離脱を主張するサボーナ元工業・民営化相を経済財務相に充てる人事案をマッタレッラ大統領に提出しましたが、大統領はこれを拒否し、5月28日には国際通貨基金(IMF)元高官のカルロ・コッタレッリ氏を暫定首相に指名し、組閣を命じました。ただ、「五つ星」や「同盟」は大統領主導の実務者内閣を拒否し、早期の再選挙を要求しています。組閣の人事案が議会で不信任となれば、再選挙になるとみられます。「五つ星」と「同盟」が再び組閣に挑戦するとの一部報道もあり、まだ不透明な状況ですが、再選挙の日程については早ければ7月29日や8月5日に実施されるとの見方が出ています。

▣ 反エスタブリッシュメント政党誕生なら

「五つ星」の支持率は若干低下しているものの、「同盟」の支持率は総選挙後に大きく伸びている模様で、欧州連合(EU)の緊縮策に批判的な反エスタブリッシュメント(反既成政治、反既得権層)政党による連立政権が誕生すると、財政規律が緩み、債務が増大するとの懸念が強まることに加え、EU離脱、ユーロ離脱が進むリスクも意識されます。

とはいえ、「五つ星」と「同盟」の政権協定案ではユーロ離脱の可能性には言及しておらず、「五つ星」のディマイオ党首は、「同盟」との連立のための政策でユーロ離脱を想定したことは一度もないと投稿しています。ただ、「同盟」は政治的に実現可能になり次第、ユーロ離脱を望むとしていることから、今後もユーロの重しになりそうです。

▣ 市場は過剰反応も、神経質な動きが続く可能性

イタリア国債の信用力を表すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)スプレッド(デフォルト(債務不履行)に備えた保証コスト)が、急拡大しています(図表3)。とはいえ、欧州債務危機時と比べるとまだ低い水準です。また、投資家の不安心理を表すVIX指数も上昇していますが、29日には17ポイント強まで上昇したものの、不安心理が強いとされる20ポイントを下回っています(図表4)。

イタリアの10年債利回りは先週末25日の2.4%台から29日には一時3.44%まで上昇。CDSスプレッドは、25日の165bpから29日には269bpまで上昇と、やや過剰な動きと言えそうです。30日にはイタリア国債のCDSスプレッドは254bpまで低下、10年債利回りも2.84%程度まで低下しましたが、依然として高水準です。欧州債やユーロなどについては、やや落ち着いてきてはいますが、イタリアの新政権樹立を確認するまでは、神経質な動きを覚悟する必要がありそうです。

図表入りのレポートはこちら

http://www.skam.co.jp/newest_report/contents_type=9&type=env

 

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