緩やかな米利上げペースも、来年のタカ派を警戒

2017/12/14

▣ 利上げペース加速への懸念が後退

米連邦準備制度理事会(FRB)は、12月12、13日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、大方の予想どおり、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.25ポイント引き上げ1.25~1.5%とすることを決定しました。今年は3回の利上げとなり、昨年12月のFOMCの政策金利見通しに一致しました。

併せて公表された経済見通しでは、成長見通しは引き上げたものの、インフレ見通しはほぼ変わりませんでした(図表1)。また、政策金利見通しでは、来年3回利上げも変わらずで、景気拡大の中、緩やかな利上げペースが続く見通しです。

今回、エバンズ・シカゴ連銀総裁とカシュカリ・ミネアポリス連銀総裁が政策金利の据え置きを主張し反対票を投じたこと、また来年の利上げ回数が3回で9月から変わらなかったことなどから、利上げペースが加速するとの懸念が後退し、米長期金利は低下、ドルも下落する動きになりました。

▣ 市場が織り込む利上げ回数も低下

今回のFOMCの政策金利見通しについては、2018年は3回の利上げ、2019年は2回~2.5回(2.25回程度)、2020年は1回~2回(1.5回程度)。長期見通しは2.75%と、2020年よりも低下するとみている模様です。2020年を過ぎて政策金利がピークアウトするイメージです。

市場では、事前に来年は4回の利上げとの声も聞かれていましたが、市場での来年の利上げ回数の織り込みは、12月11日の2回が最大でした(図表2、2018年12月までの利上げ回数)。今回の見通しを受け、市場が織り込む利上げ回数がやや低下して、1.5回~2回(1.75回程度)。FRBが見通しどおり、年3回利上げする蓋然性が高まると、米長期金利などに上昇圧力がかかることも想定されます。

▣ 来年のFOMCはややタカ派寄りか

利上げ局面にもかかわらず、長期金利が上昇しないのは、前回の利上げ局面と同様(図表3)。一方、株価については、前回は上値が抑えられたのに対し、今回は程良い経済成長と緩和的な金融政策が続く“適温相場”を背景に、堅調な動きが続いています。

“適温相場”を支える来年の米金融政策については、インフレ動向に加え、パウエル新議長の下での政策運営が注目されます。

来年のFOMCでは、政策金利の据え置きを主張した、ややハト派(利上げに慎重)のエバンズ総裁、カシュカリ総裁が投票権を持つメンバーから外れ、ややタカ派(利上げに前向き)寄りのウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁、タカ派のメスター・クリーブランド連銀総裁が投票権を持ちます。

また、新しいFRB理事に、米金融当局にやや批判的な著名エコノミストのグッドフレンド氏が指名されました。さらに、イエレン議長に近いダドリー・ニューヨーク連銀総裁が来年半ばに退任予定であることに加え、新しい副議長の人選も、金融政策に大きな影響を与えるとみられます。人選次第では、今年よりもややタカ派色が強まる可能性があります。“適温相場”がメインシナリオですが、米利上げペースには引き続き注意が必要です。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

しんきんアセットマネジメント投信株式会社
しんきん投信「投資環境」   しんきんアセットマネジメント投信株式会社
内外の投資環境分析を基に、投資に資する情報、見通しなどを、タイムリーにお伝えします。
<本資料に関してご留意していただきたい事項>
※本資料は、ご投資家の皆さまに投資判断の参考となる情報の提供を目的として、しんきんアセットマネジメント投信株式会社が作成した資料であり、投資勧誘を目的として作成したもの、または、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。
※本資料の内容に基づいて取られた行動の結果については、当社は責任を負いません。
※本資料は、信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。また、いかなるデータも過去のものであり、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。
※本資料の内容は、当社の見解を示しているに過ぎず、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。記載内容は作成時点のものですので、予告なく変更する場合があります。
※本資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。当社の承認無く複製または第三者への開示を行うことを固く禁じます。
※本資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。

しんきんアセットマネジメント投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第338号
加入協会/一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会

このページのトップへ