適切なイールドカーブ再考

2017/09/01

▣ 買入れのオファー金額を減額したものの、長期金利はゼロ%程度まで低下

北朝鮮のミサイル発射を受け、リスク回避から国債を買う動きが強まり、8月29日には長期金利(新発10年国債利回り)は4月以来の0.0%まで低下しました。翌30日には日銀の5年超10年以下の国債買入れが予定されており、オファー金額を減額するとの見方が出ていましたが、日銀のオファー金額は4,100億円と前回と同金額のままでした(図表1)。

7月末に公表された「当面の月間買入予定」では、残存期間5年超10年以下は1回当たりのオファー金額3,500億円~5,500億円。この中間値4,500億円を目安にすると、4,100億円は目安の額を下回っています(買入額を減らし、長期金利の低下を抑制する意図と解釈)。日銀は8月に入り、長期金利が0.05%を下回った段階でオファー金額を4,700億円から4,400億円に、0.02%を下回った段階で4,100億円に減額しました。0.05%程度が日銀が現時点で考える適切な水準の目安とみられます。

8月30日の買入オペの金額を減額しなかったことから、

  • 利回りが許容の範囲内なら、それほど機動的には動かない
  • 積極的に減額する姿勢を見せ、買入額の縮小を市場に意識させることは望まない

という日銀の姿勢がうかがえます。

北朝鮮の地政学リスクで長期金利が0.0%まで低下した4月の局面では、買入額を増額しなくても、自律反発的に長期金利は上昇に転じたことも理由に挙げられそうです。

▣ 足もとの適切なイールドカーブの水準

とはいえ、8月31日に公表された「当面の月間買入予定」では、5年超10年以下の1回当たりのオファー金額が3,000億円~5,000億円と、前月より500億円減額されました。目安となる中間値は4,000億円。8月は3回オファー金額を減額し、目安の4,500億円より減らしたものの、長期金利の反応が限定的だったことから、買入予定額自体が大き過ぎるとして、今回、減額したと推察されます。9月1日の買入オペのオファー金額は4,100億円。長期金利の水準がほぼ変わらないため、オファー金額も同水準にしたとみられます。また、1日の買入オペでは、3年超5年以下のオファー金額を3,000億円と、前回から300億円減額し、買入予定の中間値の水準に戻しました(図表2)。

日銀は、昨年9月に「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入し、物価2%目標の実現に最も適切なイールドカーブを追求していくとしています。10年債利回り(長期金利)については、これまで、-0.1%~0.1%が適切なレンジとみられていましたが、今回の買入予定額の減額を鑑みると、下限が切り上がっている可能性があります。

他の年限については、これまでのオファー金額の増減から推察すると、5年債利回りは-0.15%~-0.05%、20年債利回りは0.50%~0.70%(図表3)、30年債利回りは0.70%~0.90%、40年債利回りは0.90%~1.10%(図表4)。

20年債利回りの下限については、オファー金額の増減の頻度が少なくやや不透明ですが、おおむね日銀が考える足元での適切なイールドカーブの水準(許容範囲)が見えつつあります。

長期金利については9月1日にはマイナス0.005%と、昨年11月以来のマイナスをつけました。5年超10年以下の次の買入オペは6日。オファー額が減額されればマイナス金利はやや行き過ぎ、減額されなければある程度のマイナスは許容するとの判断になりそうです。日銀の次の動きが注目されます。

 図表入りのレポートはこちら

http://www.skam.co.jp/newest_report/contents_type=9&type=env

 

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