トランプリスク再び

2017/05/19

▣ ロシア問題で米政治に不透明感

トランプ米大統領が過激派組織「イスラム国」に関する機密情報をロシアに漏らしたとの報道や、解任したコミー前米連邦捜査局(FBI)長官に対し、ロシアとの不透明な関係が疑われたフリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)に関する捜査を終結するよう求めていたとの報道などから、米政治をめぐる不透明感が広がっています。恐怖指数とも呼ばれ投資家の不安を示すVIX(ビックス)指数(SPXボラティリティ指数)は、フランス大統領選で親欧州連合(EU)のマクロン氏が勝利したことや地政学リスクへの過度な警戒が後退したことを背景に、1993年以来の水準まで低下していましたが、5月17日には再び4月13日以来ほぼ1か月ぶりに15ポイントを上回りました(図表1)。

2015年以降、VIX指数が15ポイントを上回った主な局面は、

①中国人民銀行(中央銀行)が人民元を切り下げたことを受け、中国景気の先行き不透明感や、世界経済の減速への警戒感が強まり、世界的な株安の連鎖が加速した2015年8月

②中国の景況感指標の悪化や中国人民銀行による人民元の引下げを受けて中国経済の先行き不安が広がったことに加え、サウジアラビアとイランの国交断絶で地政学リスクが高まったことなどから、世界的にリスク資産を圧縮する動きが強まった2016年1月

③英国のEU離脱を問う国民投票が実施された2016年6月

④米大統領選への警戒が広がった2016年11月

⑤北朝鮮の挑発行為への警戒が広がる中、米軍がシリアに続き、アフガニスタンに潜伏する過激派組織「イスラム国」(IS)を空爆した2017年4月

このうち、①、②については世界経済の先行き不安などから株価が大きく売られた局面。一方、③、④、⑤については、株価の急落などの動きは一時的で、政局不安や地政学リスクへの警戒から、リスクオフとなる場面はこれまでのところ押し目買いの機会となってきました。

ほぼ確実視されていた米国の6月の利上げについては、今回のトランプ大統領の政権運営への不安から、やや後退したものの、18日には市場が織り込む利上げ確率が再び70%を超えてきており、政局よりも景気動向が利上げの有無を左右するといえそうです。

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▣ 弾劾の可能性も浮上

もっとも、米株や米長期金利はトランプ氏の経済刺激策などを織り込む形で上昇してきました。米株はやや割高との指摘もありますが、トランプ政権への期待が一段の押し上げ材料になってきただけに、政権不安で景気刺激策の実現が大きく後ずれすることや規模が縮小するとの見方が広がると、期待がはげる可能性があります。

トランプ大統領の支持率も低迷し、今回の疑惑で弾劾との声も出てきています(図表2)。17日には米司法省は、ロシアによる米大統領選に対する介入などを巡る独立捜査を指揮する特別検察官に、ロバート・モラー元FBI長官を任命しました。また、議会での調査も継続する模様です。今回の「ロシアゲート」疑惑は一過性とは言えません。

18日の米国市場、19日の日本市場では日米の株価はそれぞれ反発しました。VIX指数は14ポイント台に低下しましたが、まだ下がりきっていません。日米の株価については先高観は根強いものの、やや不安定な相場が続く可能性があります。

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