トランプ政権始動

2017/01/27

▣ 大統領令で政権交代を印象付け

トランプ大統領は1月20日の就任以降、医療保険制度改革(オバマケア)を見直すための大統領令を手始めに、環太平洋連携協定(TPP)からの正式離脱に関する大統領令、カナダから米国に原油を輸送する「キーストーンXL・パイプライン」と米ノースダコタ州に敷設予定の石油パイプライン「ダコタ・アクセス」の建設を推進する大統領令、メキシコとの国境沿いに壁を建設する大統領令と、矢継ぎ早に大統領令に署名しています。

また、「今後10年間で2,500万人の新規雇用を創出し、経済成長率を4%まで戻す」という目標を掲げ、TPPからの離脱だけでなく、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉要請も正式に表明しました。

NYダウは、米企業の良好な業績に加え、トランプ新政権の経済政策への期待を背景に、25日には2万ドルを超えました(図表1)。また、恐怖指数と呼ばれ投資家心理を示すVIX指数は、26日には10.63と2014年7月以来の水準まで低下しました。トランプ政権の政策運営にはまだ不透明感が強いものの、投資家心理はリスクオン(選好)に再び傾いている格好です。

※大統領令:議会の承認や立法を経ることなく、行政権を直接行使するために発令される命令

▣ ハネムーン期間の株価は

歴代大統領就任前後の米株の騰落を比較すると、Ⅰ期目については、就任前はトランプ大統領がレーガン大統領以降で最も上昇しています(図表2)。歴代大統領の就任後100日間のハネムーン期間の米株はおおむね堅調で、若干マイナスになったのはオバマ大統領の2009年。ただ、リーマンショックを受け世界的に株価が大きく下落していましたが、3月に底を打ち、ハネムーン期間の後半は下げ幅を縮小しました。トランプ大統領の次に騰落率が高かったのはブッシュ(父)大統領。ハネムーン期間も株価が大きく上昇しましたが、残念ながら2期目はありませんでした。

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▣ 政策の影響は

トランプ氏が掲げる政策の柱は、インフラ投資、減税、保護主義的な通商政策、移民政策。減税では、連邦法人税率を35%から15%に引き下げるとともに、所得税率を7段階から3段階に簡素化し、最高税率も引き下げることを提案しています。インフラ投資では、10年で1兆ドルのインフラ整備を公約に掲げています。

これらの政策の米景気、金融市場への主な影響は以下のようになります。

<成長押し上げ>

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<成長抑制>

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トランプ氏は、不法移民を防ぐためにメキシコ国境沿いに壁を建設する大統領令に署名、不法移民に寛容な自治体への処罰を含む摘発強化の方針を決定しました。また、トランプ政権がメキシコ国境の壁建設費用を捻出するため、同国からの輸入品に20%の課税を検討すると報じられており、反移民政策、保護貿易政策への懸念がくすぶります。メキシコを標的にした政策を受け、1月31日に予定されていた米国・メキシコの首脳会談が中止になりました。

これまで、保護主義政策、反移民政策については、大統領就任後には現実路線に修正されるとの見方がありましたが、この見方は修正する必要がありそうです。

▣ 今後の主な予定

今後については、日米首脳会談が2月10日で調整されており、2国間貿易協定について話し合われると報じられています。2月28日にはトランプ氏が、米議会上下両院合同本会議で政権運営の大枠を示す議会演説を行います。また、時期は確定していませんが、2月~3月には来年度予算(2017年10月から2018年9月)の参考となる予算教書が議会に提出されます。減税やインフラ投資の詳細についてはこの予算教書で明らかになるとみられます。
減税やインフラ投資といった予算調整が必要な政策については、財政規律を重視する共和党との折衝が注目されます。市場が期待する減税やインフラ投資の規模などが期待外れとなった場合には、失望売りが広がる可能性があります。予算教書を確認するまでは、大統領令などに振らされながら、神経質な展開が続きそうです。

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