中国共産党大会に期待すること

2017/10/18

根強い警戒感

本日、中国共産党大会が始まりました(24日まで)。5年毎に開催される、同党の最重要会議です。中国では共産党一党支配が行われているので、この会議で示されることは、国家の基本路線となります。

世界が今回着目するのは、幹部の人事と党規約の改正です。これらにより、習近平国家主席の権力が、一段と強められる見込みだからです。そうした傾向を、欧米や日本のメディアなどは、かなりの警戒感をもって見守っています。過度の権力集中は良くない、というのが、民主主義の常識であるためです。

1期目は総じて成功

5年前に総書記(党首)となった習氏は今般、1期目を終えます。この間の中国経済は、減速期を伴いつつも、着実に発展しました。統計(図表1)だけでなく、特に都市部を観察すれば、豊かになったのは一目瞭然です。株価(図表2)も、5年前に比べ約1.6倍です(株高=好景気、とは限りませんが)。

これらを背景に習政権は、2期目(2022年まで)へ円滑に移行しそうです。注目点は、この共産党大会にて3期目への布石が打たれるか、です(定年ルール変更など)。また、習氏に権力を集中すべく、政治局常務委員(現在7人)など主な側近を、習氏に近い考えの人で固めるのか、も注目されています。

経済改革は後退の恐れ

加えて今回、最高規範である党規約に、習氏の政治思想が明記される見込みです(例えば「習近平思想」)。しかし、そうした権力や権威の集中は、個人崇拝に道を開き、さらなる専制に堕落しかねません。

言論や活動の自由を圧殺すれば、経済改革も後退します。主席に就任した当初、習氏は、国有企業の民営化や、市場原理の導入に前向きのように見えました。しかし中国株が急落した2015年半ば頃からは、経済活動や市場への政府介入が目立ちます。今の好景気を主導しているのも、主に公的な部門です。

背景には、欧米や日本の迷走

ただし、習氏の個性や側近らの権力闘争のみに焦点を当てるのは、誤りです。形式と権威を重んじる中国のような国では、階層を問わず、突出した個性を発揮しにくいのです(日本も同様ですが)。中国を方向づけるのは、新指導部の顔ぶれと並び(あるいはそれ以上に)、世界の大きな潮流だと思われます。

現在の潮流は、米国の孤立や欧米社会の分断です。また、日本を含めた「民主国」では、民意が政治にきちんと反映されるのか、怪しくなっています。さらに、金融市場の変動については、実生活との乖離が広がる一方です。要するに、民主主義や市場経済は、必ずしも社会の安定や公平性を保証しません。

「中国の夢」を実現するには

それらが明らかになった今、中国が欧米式の政治・経済体制から距離を置くのは、ほとんど必然です。そのため、指導部の顔ぶれがどうなろうと、中国流の道を追求するでしょう。習政権が最近、「中華民族の復興」「中国の夢」といった言葉を用いるのも、自国の歴史や文化に対する、自負と期待の表れです。

中国が自国文化の再評価へ向かうとすれば、悪いことではありません。例えば中国には、「徳治」という政治思想もありました。習氏の思想も「ゆとりある社会」「汚職撲滅」などから成り、至って穏当です。海外の警戒感を和らげるためにも、共産党大会では、そうした中国の良い面を発信して欲しいものです。

図表入りのレポートはこちら

http://www.skam.co.jp/newest_report/contents_type=8&type=topics

 

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