なぜ米国は衰退するのか?

2017/07/13

異様なG20サミット

先週末、ドイツのハンブルクにおいて20か国・地域首脳会議(G20 サミット)が開かれました。

2008年に始まったG20サミットの歴史で、今回ほど異様な会議はかつてありませんでした。孤立する米国と他の19か国・地域がいかに折り合いをつけるか、それが今回最大の関心事だったからです。

第2次大戦後、覇権国として君臨したのは誰が見ても米国です。経済や軍事面に加え、人権や民主主義といった価値観や国際化の推進でも、世界をリードしたのです。しかし現在、トランプ大統領のもとで国際協調に背を向け始め、その暴走が他国から心配される、問題児のような扱いを受けているのです。

G19 vs. 米国

今回のG20サミットでは、具体的には、とりわけ気候変動や自由貿易といった論点が注目されました。

気候変動の問題については、米国だけがパリ協定(気候変動を抑制するための国際合意)から離脱する意向です。米国との亀裂は今回も修復されなかったので、G20というより「G19プラス1(米国)」、などと揶揄される始末です。貿易問題でも、「米国第一」政策と自由貿易との整合性確保に苦心しました。

ローマの歴史に学ぶ

要するに米国は、以前の圧倒的な存在感が薄れるに伴い、余裕を失いつつあるのでしょう。

米国の繁栄と衰退は、ローマ帝国の興亡を連想させます。この驚くべき古代帝国が滅びた背景としては、長年の繁栄による奢りで規律が緩んだこと、階層分断が深まったこと、ゲルマン人など周辺民族の力が増したこと、などが挙げられます。それらは、現在の米国にも当てはまります。最後の点は、日本やドイツの戦後復興、そして特に、今世紀に加速した中国など新興国の台頭が相当します。

東西の連携を

より大きく言えば、いま我々が立っているのは、西洋支配の終焉という歴史の転換点だと思われます。

それらへの危機感は、G20 サミットの前日、トランプ氏がポーランドで行った演説でも示されました。「今の根本問題は、生き残る意志が西洋にあるかどうかだ」と述べた上、西洋文明を敵から守ろうと呼びかけたのです。直接にはテロとの戦いに言及したものですが、古い西洋中心思想がにじみ出ています。

この思想が「西洋vs.東洋」といった文明対立の構図へ発展することは、極力回避すべきです。その意味で先週、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定が大枠合意に至ったのは、相応の評価に値します。

覇権の移行期に起こること

いずれにせよ米国の衰退は進むでしょう。しかしそれは、世界経済や国際秩序の崩壊を意味しません。

金融市場は、今後も米国を軸に回るでしょう。覇権国は、衰退過程でも金融ではしばらく優位を保つ傾向があるからです。前覇権国の英国も、金融部門は依然、大きな影響力を行使しています。

問題は新旧覇権国の対決ですが、次の覇権国候補である中国は、米国に直接対決を挑む意図はなさそうです。今回のG20 サミットでも、中国はどちらかというと脇役を演じました。また、そもそも核兵器時代に、超大国間の戦争は起こりにくいはずです。よって米国の衰退は、緩慢な自滅の形をとるでしょう。ローマも、衰退が始まってから西ローマ帝国滅亡(西暦476年)まで、200年以上を要したのです。

 

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