目先の不安後退はホンモノか?

2018/04/12

今週の国内株市場ですが、日経平均は先週からの回復基調を引き継ぐ格好でスタートしました。一方で、地政学的リスク(中東シリア情勢)への警戒感もあり、これまでのところ日経平均の上値は重たく、節目の22,000円台や直近高値(3月12日の21,971円)をまだ超えていませんが、一応は堅調に推移していると言えます。

その流れを作ったのが、通商をめぐる米中のやり取りが歩み寄りの兆しを見せたことと、顧客情報の不正使用に関して行われたフェイスブックのザッカーバーグCEOによる議会証言が波乱なく通過するなど、目先の不安に対する二つの警戒が和らいだことです。この二つは先月(3月)中旬から下落にかけて株式市場が急落を演じた要因です。

米中のピリピリムードを一気に変えたのは中国側からのボールでした。今週10日(火)、アジアの政財界の要人が集まる「博鰲アジアフォーラム」の壇上に立った習近平・中国国家主席の演説は、中国国内の証券や保険、自動車など、多くの分野で外資企業に市場を開放する姿勢を見せる内容となりました。具体的なポイントは、関税を引き下げて輸入を拡大することや、外資による過半数の出資を認めること、そして、トランプ米大統領が問題視してきた知的財産保護についても体制を強化していく方針を並べたことが不安の後退に寄与しました。

かなり中国側が歩み寄ったような印象ですが、習近平氏の演説内容は中国が以前から示してきた方針であり、特に驚くものではありません。そのため、より具体的に数値目標や時期を明確にして、それを実行していくことが重要になってきますが、いずれにしても、トランプ米大統領が早速ツイッターで好意的に呟く反応を見せており、貿易戦争から交渉へとステージが移行しつつあることは良い材料と言えます。もっとも、来週は日米首脳会談が予定されていますが、対中国で気を良くしたトランプ大統領が「次は日本だ」ということで、通商面で高いハードルを課してくるかもしれません。

また、フェイスブックのザッカーバーグCEOによる議会証言についても、事前に公表された証言内容の草案とあまり変わらない内容だったことが安心感を誘った格好です。とはいえ、世界的に覇者となっている米国IT企業が握っているマーケットシェアや個人情報、データをめぐる問題は、社会的影響力があるだけに根深いものがありますし、「さんざんシェアを奪って大儲けしているくせに、ロクに税金を払っていない」という不満も背景の一部にあるため、今後の規制動向次第でマーケットが大きく動く可能性が残っています。

「相場は不安の崖を駆け上がる」と言われていますが、本格的に株価が戻り基調を辿って行くためには新たな買い材料も欲しいところです。

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