悪材料への反応は「売りの口実」なのか?

2017/12/08

12月に入ってからの日経平均はこれまでのところ軟調な展開が続いています。とりわけ12月6日(水)の下げ幅は前日比で445円安と今年で最大になったほか、取引時間中には500円を超える場面もありました。今週末にメジャーSQ(株価指数先物・オプション取引の清算日)が控えていたことも値動きを大きくさせた可能性があります。

 

11月9日を境にして始まった日経平均の調整は、22,000円台割れの水準まで下落した後に戻り基調を辿っていましたが、この6日の大幅安の取引によって、少し相場の雲行きが怪しくなってきたような印象です。テクニカル分析面でも、調整から戻り基調へ転じる際にサポートとして機能していた25日移動平均線をこの日に大きく下抜けてしまっています。

 

確かに、足元の株式市場のムードはあまり良くありませんが、だからと言って「相場が崩れた」といいう判断にはまだ至っていないようです。年末株高を期待する声は依然として根強く、足元の下落局面も「利益確定や手仕舞いのきっかけ」という見方も多くあります。現時点では、「中長期的な上昇トレンドの中の小休止」なのか、「天井から下落相場入りの幕開け」なのかを見極めている状況と言えます。

 

上昇トレンドへの復帰は11月9日の高値(23,382円)を上回る必要がある一方で、直近安値である11月16日の21,972円を下抜けてしまうと、下落トレンド入りの警戒感が強まってしまいます。この場合、「Wトップ」と呼ばれるチャートの形状を描く格好になります。

 

確かに、12月6日に見せた日経平均の大幅下落は、SQ前の荒れやすい相場の地合いに、トランプ大統領の発表(イスラエルの首都をエルサレムに公式に認める)といった材料が加わったことの影響が大きいと思われますが、9月から11月にかけての上昇トレンドが出ていた局面では、過熱感が指摘されようと、米国の税制改革法案の動向が不透明であろうと、北朝鮮情勢が緊迫化しようと、売りの口実となる材料はたくさんあったのに、それでも株価は上昇してきました。

 

もちろん、その一方で国内外の景気拡大が続いていることや企業業績の上振れ期待など、株を買う材料も多いため、これまでの株価上昇がおかしいというわけではありませんが、これまでリスク要因に対して楽観的に捉えてきた面があることは否めません。

 

最近は「灰色のサイ」という言葉を耳にする機会が増えました。リスク要因を「普段はおとなしいが、いざ暴れ出すと手がつけられない」という動物のサイに例えた表現です。同じように動物に例えた表現として「ブラックスワン」という言葉がありますが、ブラックスワンが「不確実性(予測できないもの)」、灰色のサイが「リスク(ある程度は想定できるもの)」といったイメージです。トランプ大統領の発表は思わぬ中東情勢への警戒感をもたらしたという意味ではブラックスワンに近いのかもしれません。

 

問題なのは、中国の金融引き締めや景気への影響、トランプ政権の基盤を揺るがしかねないロシア疑惑の捜査の進展、欧州情勢(英国のEU離脱交渉やドイツの政権樹立)など、新たな灰色のサイであるリスク要因が、気が付くと結構増えているかもしれないことです。

 

今後しばらくの相場はどちらかと言うと、上向きよりは下向きを意識したほうが良いかもしれません。

 

 

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