北朝鮮情勢と日経平均の動きを整理してみる

2017/09/08

今週の国内株市場ですが、先週末に北朝鮮が行った核実験によって緊張が高まったことで下落してのスタートとなりました。日経平均は節目の19,500円を下回り、同じく北朝鮮が日本上空を通過するミサイルを発射した直後(8月29日)の安値である19,280円を下回る場面もありました。その後は再び19,500円の水準まで値を戻す動きとなっています。

 

目先の株価反発に寄与したのは、市場で懸念されていた米国の「財政の崖」問題がひとまず先送りされたことに拠ります。米国南部を襲ったハリケーン「ハービー」の影響が甚大で、復興支援のために挙国一致で取り組む姿勢が反映された格好です。具体的には、連邦債務上限を12月15日までの3カ月間引き上げについて、米議会指導部とトランプ大統領が合意したというものですが、先延ばしされた期限がちょうど12月開催のFOMCの開催時期(12月12日~13日)でもあり、今後は米金融政策の出口戦略と絡んだ思惑が相場の材料になる可能性もありそうです。税制改革法案についても進展があればさらなる好材料となります。

 

とはいえ、日経平均の下値トライについては引続き北朝鮮情勢の影響を受ける状況に変わりはなさそうです。現在、国連安保理事会で議論されている追加経済制裁の動向に加え、週末の9月9日は北朝鮮の建国記念日であることや、来週空けには米国で同時自爆テロのあった9月11日が控えています。北朝鮮情勢に対する不安がにわかに高まったのは7月に入ってからですが、米国の独立記念日(7月4日)のタイミングに合わせて北朝鮮がミサイルを発射したことがきっかけになった経緯を踏まえると、来週あたままでは警戒しておく必要がありそうです。

 

また、北朝鮮情勢の推移と株価の動きを照らし合わせてみると、7月4日のミサイル発射直後につけた日経平均の安値は7月7日の19,856円でしたが、その後はすぐに2万円水準を挟んだもみ合いが8月まで続きました。

 

次に緊張感が高まったのは8月初旬です。国連安保理理事会で追加経済制裁が決議された後に、北朝鮮がグアム周辺を対象とする攻撃の用意があると発表し、それを受けたトランプ米大統領が軍事行動をちらつかせる反応を示した時期です。この時の日経平均は19,500円辺りまで株価水準を切り下げました。

 

株式市場はいったん落ち着いたものの、北朝鮮は8月最終週に行われた米韓合同軍事演習に対抗する意味合いで日本上空を通過するミサイルを発射したことで、日経平均は冒頭でも触れた8月29日の安値(19,280円)をつけ、そして先週末の核実験を受けて今週水曜日(9月6日)に19,254円の安値に至っています。これまでの経緯を辿ると、日経平均は徐々に下値を切り下げている格好になっています。

 

北朝鮮情勢についての金融市場は、軍事的行動の有無の可能性でリスクのオンとオフが判断されている印象が強いですが、軍事衝突がなくても現状のような膠着状態が続けば、北朝鮮はこのまま核ミサイルの開発を進めてしまう危険性が増します。これは、核ミサイルの開発を止めさせたい周辺国のねらいと反対の状況であり、政治外交面では北朝鮮が優位と考えることもできます。周辺国どうしの関係も含めて今後の対応と展開は流動的なため、金融市場の捉え方に変化が生じるかもしれません。

 

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