「李克強指数」の伸びが示すもの

2017/01/27

今週末の1月27日(金)より、中国上海株市場は春節(旧正月)の連休に入ります。厳密に言うと1月28日(土)が春節の初めとなりますが、市場では前日の大晦日から休みになります。

 

話は少し変わりますが、その春節休みのちょうど一週間前の1月20日に、中国国家統計局から同国のGDPが発表され、2016年の実質GDP成長率は前年比で+6.7%という結果になりました。前年(2015年)の+6.9%からは若干低下してはいますが、とりあえず政府の目標だった+6.5%~+7%は達成しています。

 

他の主要経済指標を見ても、中国経済の底打ち回復を示すものが2016年の後半から多く目立つようになり、景気は底堅く推移していると言えます。とはいえ、中国情勢については根強い警戒が残っているのも事実ですし、経済指標自体への信頼度も決して高くはありません。それゆえに「李克強指数」というものが注目されたりします。

 

この李克強指数は中国における、(1)鉄道貨物輸送量、(2)銀行融資額、(3)電力消費量の3つで構成されています。現在の中国首相である李克強氏が遼寧省の書記時代に、「GDPはアテにならないので、(先ほどの)3つの動きに注目している」と語ったことがネーミングの由来です。

 

実はこの李克強指数が2016年の後半から急回復しているため、確かに中国景気は持ち直していると考えて良さそうですが、注意したいのはこの指数が少し古い指標かもしれないという点です。

 

李克強氏が遼寧省の書記だったのは10年近くも前(2004年~2007年)ですし、当時の中国経済が製造業や国営企業が中心だったことも考慮する必要があります。2015年の中国GDPの寄与度では、サービス業(48%)が製造業(41%)を上回っています。

 

逆の見方をすれば、今になって李克強指数が伸びているということは、従来型の産業が伸びていることになり、国営企業への融資が増えている、もしくは過剰生産能力の解消があまり進んでいないのではないか、当局の景気刺激策で中国経済が支えられているのではないかと考えることもできます。

 

米国ではトランプ新政権が誕生しましたが、期待と同時に保護主義色の強い政策に対する警戒が強まっています。これは中国経済が従来型(製造業・国営企業中心)から脱しきれないままだと、米国の政策の影響を受けやすくなってしまう、もしくは敏感に反応してしまう可能性があります。

 

そのため、3月には全人代(全国人民代表大会)が開催され、その場で2017年のGDP成長率の目標や経済政策方針が示されますが、改革に向けた取り組みをアピールする必要がありそうです。

 

 

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