ファンダメンタルズではなく恐怖心と戦う局面入り

2012/06/13

季節は移り変わり、すでに6月中旬に突入し梅雨入り宣言が各地でなされている。紫陽花がとても美しいシーズンとなった。

しかしながら、世界の経済情勢、マーケット情勢は5月以降は大揺れに揺れ、6/4にはTopixがバブル崩壊後の最安値をつけるという過激な展開である。3月終わりまでは「ギリシャ不安後退、円安歓迎、世界経済の回復」の三拍子で日経平均は東日本大震災前の水準を回復していた。あまりにも劇的な変化である。

「太田さん、これは歴史的上昇相場が始まったのではないですか?」
と私のところにも多数のメディアからの取材が押し寄せていたのがまるでウソのようである。

さて、5月のモデルポートフォリオについてのご報告である。5月のマーケットは日米市場ともに急落した。

米国市場は8ヶ月ぶりに下落。5月に入ってすぐに米雇用統計の不振、仏大統領選挙でのサルコジ氏の敗北、ギリシャ総選挙での緊縮財政路線に反対する急進左派の躍進と3つの大きなイベントがともに悪い結果となり、高値圏にあった株価は下落。加えて、デリバティブ取引で20億ドルの評価損を出したJPモルガンや期待の大きかった大型IPOのフェイスブックが急落したことで市場のムードが悪化。ギリシャでは連立政権樹立の見通しが立たなくなり6/17の再選挙が決定。ユーロ離脱観測が高まり情勢は混迷を深めた。さらにスペインの大手銀バンキアの救済を巡って不安が高まったことで売り姿勢が強まった。まさに「Sell in May and Go Away(5月に売り逃げよ)」の格言どおりの展開となった。5月のダウは12393ドルで取引を終え820ドル下落し月間の騰落率は-6.2%。ナスダックは2827ドルとなり219ドル下落の-7.2%となった。

日本市場は4月に続いて急落。欧米市場安、欧州債務問題の再燃に加えて、急速な円高が株式市場の下げを加速させた。3月末には対ドル84円台、対ユーロ110円台まで円は売られていたが(3月までの株価上昇の原動力)、4月には対ドル80円台、対ユーロ105円台まで上昇。そして5月には対ドル78円台、対ユーロ97円台まで円高が進んだ。日経平均は3月の高値10254円から5/31には8542円まで下落し、下落幅は1700円強におよんだ。5月の日経平均は978円下落し月間騰落率は-10.3%、Topixは-10.5%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が-5.5%、マザーズ指数は-21.1%と急激に崩れた。

太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」 における5月のモデルポートフォリオのパフォーマンスは-0.5%となった。年初来は+5.5%(4月末+6.0%)、累計では+51.1%(4月末+51.8%)となりやや後退したものの、株式市場全体の下落に比較して小幅にとどまった。これはひとえに4月から稼働し始めた先物のショートによるヘッジ戦略が機能したためである。一方、現物株は相場の下落によって5月も逆指値のヒットが相次ぎ、5月末のポートフォリオのネットロング比率は-9%(4月末は-3%)となった。

もはや「売られ過ぎ」「騰落レシオは異常値」「割安銘柄続出」という常識的ファンダメンタルズでは語れないマーケットであり、恐怖心と戦う局面入りになったと私は考える。どこまで恐怖が襲ってくるのかはわからない。しかしながら、それと戦いながら次の一手を指せる投資家が報われることになるだろう。こんなマーケットでもそれを「楽しみながら付き合っていく」という姿勢が欲しいところである。

時間的分散投資をどう生かしていくかをじっくりと考えることにしよう。短期的には6/17のギリシャの再選挙が大きなイベントであり、要注目である。

太田忠投資評価研究所株式会社
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