危機は去ったのか?

2017/09/12

リリーフ・ラリーの域を超える

昨日270円高と大幅反発した日経平均は今日も230円高と続伸、この2日間でちょうど500円戻した。こういう局面では、しばしば「所詮、買い戻しの域を出ない」とのコメントが散見されるが、今日の上げは単なる買い戻しの範囲を超えている。相場の潮目が変わりつつあると思う。

9日の北朝鮮・建国記念日を警戒して相当なヘッジがかかることは想像に難くなかった。先週末、相場が急激なリスクオフに傾いたのは自然な流れだった(ハリケーン「イルマ」もそれに一役買った)。北朝鮮情勢が何事もなく週末を通過した安心感から、昨日はそのヘッジの買い戻しで上げたが、それでもなお国連安保理での制裁決議の行方を巡って不透明感があったためすべてが買い戻されたわけではなかったのだろう。東証1部の売買代金が2兆円に届かなかったのがその証である。

本日の寄り付き前に国連安保理で北朝鮮への制裁決議が全会一致で採択されたことが伝わった。米国は当初、北朝鮮への原油の全面禁輸や金正恩の資産凍結などを盛り込んだ決議案を示していたが、原油や石油精製品の輸出に上限を設ける案に変更、米国が譲歩した格好だ。これで北朝鮮が過度な反発姿勢を見せなければ、米朝関係の緊張はいったん緩和する。中国・ロシアの反対があってこそ制裁が軽いものとなった。北朝鮮も中・ロに配慮すれば拳を振り上げてみせるわけにはいかないはずだ。市場はそう読んだのだろう。しばらく北朝鮮が静観を保てば、市場は落ち着きを取り戻すだろう。今回、北朝鮮情勢が緊迫したそもそもの発端であるグアム沖へのミサイル発射示唆があった8月9日の大幅安(257円安)を埋めて、日経平均は再度2万円を挟む保ち合い水準に回帰すると思われる。

「今週のマーケット展望」では、相当慎重なスタンスを示した。昨日のオンラインセミナーでも参加者の方から「スタンスの変更はないか?」と問われて、まだ危機は去らず大底が入るのは先であると述べたが、目先の下値不安が薄らいだのは事実だろう。昨日のセミナーでの発言を撤回する。「マーケット展望」での見通しも変更し、上記の通り、「2万円を挟む保ち合い水準に回帰」を当面のメインシナリオとしたい。

 
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