利上げに救われたマーケット

2017/06/15

マーケットというものは、つくづく「想定外」を嫌うものだと思う。英国の総選挙は、メイ首相の目論見とは反対に、まさかの保守党惨敗に終わった。その結果を受けた東京外国為替市場ではポンドが全面安となり対円では4月以来の安値を付けた。解説では国内政治の混乱やそれによる欧州連合(EU)離脱交渉への影響に対する懸念が強まったから、と言われるが、そもそも市場はメイ首相が進めようとする「ハードブレグジット(強硬的なEU離脱)」を懸念していたのではないか。選挙の結果は英国の世論がひとつにまとまっていないことを示す。「ハードブレグジット」推進派が勢力を失ったとも捉えられるのだから、市場にはポジティブではないか。それにもかかわらずのポンド売りは、ほぼ条件反射的・機械的な、「想定外」となったことへの反応だろう。実際にそういうアルゴリズムがたくさん走っているだろうから、まさに「機械的」な反応になるのも無理はない。

米連邦準備理事会(FRB)は13-14日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを決定した。FRBはフェドファンド(FF)レートの誘導目標を、年0.75~1.00%から1.00~1.25%に引き上げた。

注目された今後の利上げペースは、3月と今回を含めて年3回とする中心シナリオを維持、すなわち年内もう1回の利上げを見込んでいるということである。18年は3回、19年も3回程度の利上げシナリオを示した。これは3月の見通しとほぼ同じである。

FRBは声明で、年内にバランスシートの正常化に着手することを正式に表明した。バランスシート縮小の工程表も公表した。それによると満期を迎えた債券への再投資を徐々に減額していく計画だ。米国債が月60億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)などは月40億ドルを上限とし、3カ月ごとに上限を引き上げて1年後には米国債が月300億ドル、MBSなどは月200億ドルとする。

これらのFOMCの決定は、ほぼ市場の予想通り、「想定内」の結果だった。だからこそ、昨日のNY市場のクロージングは穏当なものとなった。NYダウは46ドル高の2万1374ドルで終え、連日で過去最高値を更新した。ドル円相場は1ドル109円50~60銭で取引を終えた。前日より円高になったが、それでも朝方(NY時間)の安値からは大きく戻した。FOMCの結果が「想定内」だったからである。

通常、利上げやバランスシートの縮小などの金融引き締め策は、リスク資産にとって逆風である。特に、ナスダック市場のハイテク株が不安定になっているタイミングとも重なった利上げである。警戒感はあったが、終わってみれば、利上げに救われた格好だ。予想通り利上げしてくれてありがとう、といった感じである。FRBが市場の期待(=予想)通りに動いてくれたことで市場に安心感が生まれ、波乱は起きなかった。

特に救われたのはドルだろう。一時は108円81銭と4月20日以来、およそ2カ月ぶりの水準まで円高・ドル安が進んだ。朝方に発表された5月の経済指標が弱いことを嫌気したものだ。5月の小売売上高は1年4カ月ぶりの大きな落ち込みとなった。5月の消費者物価指数(CPI)も予想に反して前月比で0.1%下落し、エネルギー・食品を除くコア指数も市場予想に届かなかった。コアCPIの前年同月比は1.7%で、2015年5月以来の小さな伸びにとどまった。
 
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