日経平均2万円の前に「壁」はあるか?

2017/05/17

最近の市場の話題は2つある。ひとつはボラティリティの低下。シカゴのオプション市場が織り込む市場変動率をもとに算出されるボラティリティ・インデックス(VIX指数)は記録的な低水準。これについては、こちらのブログ「熱狂なき楽観・恐怖なき高値」を参照してほしい。ちなみに前回、10ポイントを割り込んだのは2007年1月。その翌月には上海株の急落から世界同時株安がおきた(元祖チャイナショック)。夏にはパリバショック。それをはさむ形で米国株はWトップを形成、リーマンショック前の大天井を打った。行き過ぎたものは転ずるのが必定。ボラティリティの反転上昇は、すなわちマーケットの波乱を意味する。

もうひとつの話題は、日経平均が2万円の大台を前に足踏みを続けていることだ。昨日も米国株高を受けて高く始まった日経平均は128円64銭高の1万9998円49銭を付けた。2万円の大台まであと1円51銭まで迫りながら、ついに達成できなかった。この動きだけをみるといかにも弱い。この理由については、いろいろなことが言われている。僕もその背景について書こうと思ったが、やめた。へそ曲がりだから世間の意見に同調したくないということもあるが、いちばんの問題は、「2万円」にそれほどの意味があるか、ということだ。「1万9998円」と「2万円」、実質的に何が違うのだろう。ここまで来たら、少なくとも経済的な価値は同じではないか。

「底なし沼と普通の沼はどう違う?」「底がないか、あるかですか?」「底がない沼なんてない。ようは人間の幻想の有無なんだ」(森博嗣「誌的私的ジャック」)

2万円にあと1円51銭まで迫りながら押し返されると、なにかそこに見えない「壁」のようなものを感じて、ことさら騒ぎになるが、それは人間が勝手に生み出した幻想にすぎない。

確かに相場は「理外の理」というような理屈を超えた不可思議な動きをすることがよくある。高値というものは、たいてい大台の前に来る。日経平均自体、1989年12月末の大納会でつけた3万8915円が史上最高値。当時の雰囲気は先高観にあふれ、そこまで行けば4万円の大台は間違いないと誰もが思っていたが実際には届かずに終わった。相場全体の高値に先駆けること2年余り前、ちょうど30年前の4月が証券株の高値だった。野村證券の高値が5,990円。6,000円の大台にあと1ティック、10円届かず失速した。それが野村の史上最高値である。当たり前だが、以降一度もその水準に並ぶことはなかった。
 
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