第35回 金融規制議論の決着で迎えるクリスマス

2017/12/04

毎年12月初旬は、海外で大きな動きが出やすい時期です。クリスマス前に一つの区切りをつけようと政策や規制の動きが活発になるためです。

世界中が見守る米税制改革法案もさることながら、金融業界では、資本規制の動きがにわかに市場の注目を集めています。

銀行の資本比率は、分母にリスク量、分子にコアの自己資本をとって計算します。この分母のリスク量の計算は段階的に高度化されてきました。結果として、資本比率の規制は、高度化についていける大手行に有利になっています。

今回は、この有利・不利の補正方法が決まる予定です。国によって補正の影響度が大きく異なるため、合意が遅れに遅れており、つい先月までは、「決着は来年になりそう」と言われていました。ところが、今週木曜日(日本時間の金曜日未明)に急遽会合が設定されたため、想定より早めの決着に期待が高まっています。

大手行に有利な資本比率が補正されるなら、大手行にマイナスとなりそうです。しかし、ここ数年の不確定要因がなくなる分、むしろ、銀行のリスクテイクや株主還元方針の柔軟性が増すとみられます。

また、今回の補正案がまとまれば、若干の積み残しはあるものの、バーゼル規制の厳格化の大きな流れはひとまず収束するでしょう。国際金融規制は既に厳格で複雑過ぎ、という批判が相当高まっているためです。規制厳格化の流れが落ち着くとすれば、バーゼル2が決まった2004年以来ではないでしょうか。

現在、日本以外の先進諸国の金融政策は着々と正常化に向かっています。しかし、金融政策と両輪をなす金融規制は、厳格化の流れが落ち着き、米国などでは部分的に緩和される可能性もあります。来年、金融引き締めで資金の流れの悪化が懸念されていますが、こうした規制のピークアウトが一定の緩和材料になることが期待されます。

これらも含めて、海外イベント満載のヤマ場を乗り切り、よいクリスマスを迎えたいものです。

 

マネックス証券 チーフ・アナリスト 大槻 奈那

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