週刊 株式相場レポート「~高値更新も熱気を感じず~」

2017/10/13

今週の総括

★具体的な買い材料よりもマイナス材料が出てこないことで、米株につられ上昇した印象

今週のプラス材料
・NYダウ史上最高値更新続く
・堅調な統計続く(経常収支、機械受注、オフィス空室率)
・IMF世界成長率見通し引き上げ

今週のマイナス材料
・新たなマイナス材料が出てこず


今週の日経平均は、先週更新した年初来高値をさらに連日更新し、21,000円台に到達した。

警戒されていた北朝鮮の党創建記念日(10日)に何も起きなかったことや史上最高値更新が続く米株価上昇を背景に、株価は緩やかに上昇した。今週発表の経常収支、機械受注、オフィス空室率、日銀地域経済報告の堅調さやIMF世界経済成長率見通しの引き上げ、小売などの2・8月期決算で好決算が目立ったことなども市場心理の下支えとなった印象。ただし、市場売買代金はさほど増えず市場に熱気は感じられない。新たなマイナス要因がないことで売り圧力がかからなかった反動により「何となく」上がったイメージに近い。

業種別では、運輸、小売、通信、食品が強めの推移だが、決算発表の多かった小売を除けば、内需指向というよりは先週上がらなかった反動で循環物色対象となった色彩が感じられる。一方で、鉄・非鉄、資源、銀行・金融、自動車、商社が弱い。鉄・非鉄はデータ改ざんを発表した神戸製鋼所の影響が大きいが、金融株には特に材料もなく、夏以降ずっと出遅れが続いている印象。


来週以降の見通し

★今月中は高めの推移か

日経平均想定レンジ 20,200~21,200円
来週以降の注目材料
・小売などの決算発表
・欧米の金融政策の行方(期待値の変化)
・原油価格動向

リスク要因
・北朝鮮動向
・原油価格と為替市場の乱高下
・メガバンク株価のピークアウト


来週の日経平均は、あと1~2週間は高めの推移が続く可能性が高いと予想する。

一番の理由は「何も確定していないこと」である。期待で株価が上昇した後も、事実が確定しない間は売られにくく、株価上昇が止まらないことでさらに期待が膨らむ循環となりやすい。北朝鮮、米利上げ(米景気動向)、中国共産党大会後の政策と景気影響、減税などの米経済政策、上場企業の大多数となる3月・12月期決算企業の決算発表、欧州の金融政策、EU離脱、原油協調減産・・・いずれも過去の株価や為替を動かしてきたが、いずれも現時点では結論見えず。株価材料ではないものも含めれば、総選挙はもちろん、IS紛争と移民問題、ギリシャ債務、少し脱線すると豊洲や五輪会場予算なども未確定だ。

ではこのまま行くかと言うとそうではない気がする。19,000~20,000円だった5~7月ごろと現在で、日米中の経済、企業業績、ドル円レート、原油価格ともにあまり変わらず、株価だけが上昇している。米株価も同じだ。次の決算は会社予想前提が1ドル105~108円、米中経済とも慎重な見方だった分、それなりの上振れだろうが増益幅が確定すれば「材料出尽くし」となりやすい。米FRB次期議長と次回利上げなど年内に方向性や結論が見えてくる項目は多い。今月が期待のピークではないだろうか。


コラム「徒然なるままに」

今週は「21年ぶり」という見出しが連発した。21,000円台に到達した日経平均である。

各種報道通り、日経平均の21,000円台到達は前回1996年12月以来となる。それ以外にも今週の株価は、ITバブル時ピーク(2000年4月、20,833円)、アベノミクス相場第2幕での20,952円も突破した。節目という意味では象徴的な水準突破とも言えよう。

「あの時と今」として96年12月当時と比較した記事は既にいくつも紹介されているだろう。ここでは直近20年のいくつかの株価ピークと今の簡単な比較をしてみたい。

★96年1~12月(ピーク6月、22,750円): 景気拡大局面の後半、消費税5%引き上げ前。94年発覚の住専問題処理が確定、不良債権問題が収束した(と思われた)。金融ビッグバンへの期待も。翌97年アジア危機、山一・北拓破たんで金融危機へ

★2000年2~4月(ピーク4月、20,833円): いわゆるITバブル。IT・通信関連の株価が大幅上昇。NTTドコモ上場なども相場を押し上げた。また98、99年の2度の公的資金注入で銀行危機が(一旦)去り、99年夏~秋メガバンク合併発表で銀行株上昇。

★05年8月~07年7月(ピーク07年2月、18,300円): 05年踊り場脱却宣言、GDP好転、地価や銀行貸出の反転、銀行黒字化、ゼロ金利解除期待高まりが重なり株価上昇が続いた。しかし米サブプライム問題発覚、日本の不動産市場も一気に悪化

★15年4~8月(ピーク6月、20,952円): アベノミクス相場第2弾。14年日銀追加緩和と総選挙よりは、2月の欧州ECB金融緩和、ギリシャ救済合意がキッカケ、その後、企業の還元拡大、持ち合い解消期待で上昇も大きな変化はなく期待消滅

残念ながら過去の2万円台はあまり長続きしていない。96年は懸念が去った「期待」、00年、05年はITなりゼロ金利解除・不動産市場への期待が背景、15年もギリシャ・ウクライナ不安からの反動上昇局面に株主還元などへの「期待」が過剰に上乗せされたようにも見える。今回は景気・企業業績がよいのが安心材料だが、「期待」項目が多いのが気になる。あと実は直近2回は円安収束で円高方向に動いた時点で下落局面に変わったことも忘れてはいけない。米利上げが「一巡」と思われた時は・・・

次回発行予定:10月 20日(金)17:00以降

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