週刊 株式相場レポート「~米国発のリスクオフ~」

2017/05/19

今週の総括

★一時は2万円に迫るも超えられず、米政権不安でリスクオフモードとなり一歩後退

今週のプラス材料
・サウジアラビアとロシアが原油協調減産延長で合意
・1~3月実質GDP年率+2.2%

今週のマイナス材料
・米政権のロシア関連疑惑が再浮上
・週末に北朝鮮が再びミサイル発射


今週の日経平均は、好決算銘柄が続伸する一方で、円高・金利低下で一旦下落し、そのまま引けた。

週末に北朝鮮の再度のミサイル発射があり、今週はやや警戒感を伴い、若干の円高・株安からのスタートとなった。その後、内需株への物色が強まり、16日には年初来高値を再び更新、19,998円と2万円まであと一歩の水準に達した。しかし、その後、米トランプ政権のロシアへの情報漏えい疑惑から、為替が一気に1ドル110~111円の円高となり、米国長期金利下落、金価格上昇と「リスクオフ」の兆候が見えたことで、株価も下落した。ただし、市場価格は一旦動きが止まったため、今週はそのままの水準で引けた。

業種別でみると、原油以外の鉱石価格の不透明感がある資源株が下落、鉄・非鉄、金融の下落幅が大きく、機械も弱め。一方、建設、通信、医薬品、電力・ガス、陸運・空運、不動産といった内需株はほぼ下がらず、なかでも食品株は上昇が目立った。


来週以降の見通し

★引き続き2万円手前でもみ合いか

想定レンジ  19,200~19,900円

来週以降の注目材料
・米利上げの可能性(次回FOMCは6/13~14)
・米政権と政策に関する動向
・イギリスとフランスで総選挙(英6/8、仏6/11、18)
・北朝鮮を始めとする地政学リスク動向

リスク要因
・米政権に関する懸念拡大リスク
・原油価格と為替市場の乱高下
・欧州の各国選挙での移民反対派の支持率上昇
・メガバンク株価のピークアウト


来週の日経平均は、引き続き19,000円台をキープしながら一進一退となる可能性が高いだろう。

先週から今週にかけて、日経平均が2万円手前で上昇の勢いが止まってしまったのには、いくつか理由が考えられる。①円安、米株高、原油高などの市場価格も1~3月の水準までは戻っておらず、勢いを感じにくかったこと、②米政権・政策の動向、北朝鮮、欧州選挙、原油減産の行方、米利上げの可能性・・・いずれも昨年より何度もトピックとなってきた項目であり、しかもいずれも結論・方向性がまだ見えておらず、新たな材料が無いとすぐに「様子見」に戻りやすいこと、③日米株価ともにそれなりの高値圏にあり、「一旦利益確定」という機運が生まれやすいこと、④5月の上昇局面でも業種別でみて時価総額全体の1/3に当たる業種が上昇しておらず、特に時価総額の大きい自動車と銀行(この2業種で東証1部の17~18%を占める)の株価低迷がずっと続いていること、などだ。

一方で、今回の好調な企業決算と各社の今期見通し、底堅い日米中の景気動向を考えると、米政権不安が台頭している今は上値を追いにくいものの、下値不安も大きくはない。このまま、6月の米利上げ見通しが見えるまでは様子見モードが続く可能性が高いのではないだろうか。


コラム「徒然なるままに」

今回の決算発表で感じたことがある。堅調な内容、意外に強気な業績予想、減益でも増配する企業の多さもあるが、それよりも、企業・事業のM&Aが一般的になったと改めて感じた。海外に展開している大企業だと、アナリスト向け説明会で「この1年で買った企業と事業と売却した企業と事業のリスト」を示し、複数の子会社・事業の売却・買収を普通のことのように説明する企業が多数ある。そして国内事業でもM&Aを多数実行する会社も珍しくない。

4月25日付日経新聞の記事によれば、数多くの買収をしてきた日本電産永守社長は、買収成功のポイントとして「価格、PMIと経営への関与、相乗効果」としている。PMI(Post Merger Integration)とは、買収後の統合プロセス作業のことだ。買収時点では「価格」と「相乗効果」はイメージできるが、「PMI」は見えにくい。買収先により難易度も異なるし、経営陣・統合チームの実力差が相当出るポイントと思われる。

80~90年代頃、映画会社やゴルフ場などに巨額を投じ、結局うまく行かずに後日、大きな損を出して手放す例が相次いだ。日本企業は「高値づかみ」「M&A下手」と言われていた。 「価格、PMI、シナジー」のいずれもダメだったのだ。しかし今回、多くの会社が数多くのM&Aを普通のことのように手掛け、自らの競争力を高めている姿を見ると、この「PMI」のスキルを身に付けた日本企業が増えていると感じるのだ。

一方、いまだに「M&A下手」もある。巨額さも含めて典型的なのは日本郵政だろう。まずシナジーが想像しにくい。国内の郵便・小包の会社(日本郵政)と、豪州中心に鉄鉱石や原油の輸送も手掛ける会社(トール社)である。さらに4月に巨額減損を発表した資料には、2年前に買収したトール社について、「100件超のM&Aにより成長」「買収先を独立のビジネスユニットとし自立性を確保」「バックオフィス等は統合せず」とある。トール社は「統合していない会社」のようだ。買収時に気付かなかったのならお粗末だが、国内事業しか経験なく、M&A未経験の日本郵政には、トール社のPMIはハードルが高すぎたのではないだろうか。ただし、減損発表後の日本郵政の株価は相対的にあまり下落していない。市場は既に「お見通し」だったのかもしれない。そして既に「日本郵政が野村不動産を買収へ」と数多くの報道がなされている。実現するかは分からないが、実現した場合、次はどうなるのであろうか。

 


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次回発行予定:5月26(金)17:00以降

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