【予震?】

2016/09/12


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*以下は、9月10日、増田経済研究所会員向けに配信された週報です。*

▼現地9日、米国株急落。
週末9日の東京時間まで、さほどリスクらしいリスクは、日米市場に見られませんでしたが、夜間、欧州から米国時間は大荒れでした。
突如として急落。テクニカルには、警戒を要する25日線があいついで破られるという結果で終わっています。
急落の原因は、連銀関係者(従来ハト派と目されていた)の手のひらを返したようなタカ派発言ともいわれます。
先日の雇用統計以来、マクロ指標はことごとく冴えないものばかりですから、9月利上げは無いと踏んでいた市場関係者は、まったくノーマークだった、ということのようです。
もう一つは、日本ではさほどインパクトはありませんでしたが、北朝鮮の核実験が世界的には衝撃であったといいます。核弾頭搭載が可能になったから、ということです。
結論としては、いずれの理由もほとんどとってつけたようなものです。
口実でしかなかったでしょう。ファンドは10-11月の損益通算を控えて、どこかの時点でポジション調整をしてくる「はず」だったわけですから、それはなにかを理由にかこつけて、始まったという可能性が一番高いでしょう。
まだ、一日だけのことですし、目先は持ち直し局面もあるでしょう。一応、今回の海外市場の急落は、その「予震」と考えておけばよいのではないでしょうか。

▼戦略方針変更。
従来の「フルインベストメント(ただし、相場急変の場合はキャッシュ2割確保)」というものを変更し、「要警戒。キャッシュ比率2-3割」とします。
まず、キャッシュの確保をしましょう。
先週後半、当レポート(日報のほう)では、「どうも個人的には、嫌な感じ」と述べましたが、こう短兵急にくるとは思いませんでした。
これが目先はただの一過性の急落で終わるという可能性も残されていますが、さらにその後のことまで考えますと、警戒をかなり強めたポジションにしておいたほうが無難だと判断しています。
具体的に、今後のポジションの取り方については(ああなったらこうする、こうなったらああするというような具体的戦術については)、後段で解説します。

▼テクニカルポイント~最初の防波堤が、いきなり破られた。
まず、テクニカル上の位置を確認しましょう。

(日経平均現物指数 9月9日大引け時点)

先週末の日経平均の現物指数は、ちょうど5日間というもの、見事に大引けでは200日移動平均線にこだわった持ち合いでした。
これが、上に放れるか、下に放れるかが問題だったわけです。
8月相場が膠着続きだっただけに、9月は大きな変動になりそうだということは、市場関係者の多くが予期していたところです。
その第一波は、下に放れるという動きになりました。
日経平均の先物の夜間取引の結果を見てみましょう。

(日経平均先物夜間取引、週末最終時点)

ポイントは、重大です。
いきなり25日移動平均線を割ったという事実です。まだ25日足わ割っていませんし、6色帯も緑ですが、続落となってきますとにわかに穏やかではいられなくなります。

▼米国市場急落の内容。~ダウ輸送株、25日線割れ。
かかる事態になった発端は、米国株主要指数が軒並み25日移動平均線を割ってしまったということです。
とくに重要なのは、その他指数がここ数日軟調であったにもかかわらず、ダウ輸送株1083がむしろ高値更新をするという心強さが頼りだったところ、これがにわかに5日線、25日線とあっというまに割り込んでしまったことです。

(ダウ輸送株)

ダウ輸送株のみならず、多くの米主要株価指数については、7月からの膠着状態で、指数そのものはわずかにせよ高値更新できていたのです。
しかし、その過程で勢いを示すオシレーターであるRSIが、むしろ頭を切り下げてきていました。
いわゆる、逆行現象(ダイバージェンス)です。相場の大きな変化の予兆として知られる現象です。
週末の急落で、この逆行現象はほぼ決定的となったといっていいでしょうから、下降トレンド入りのリスクが一気に高まっているということになります。

▼変化日通過は、下降相場への転換か。
週末9日の解説では、「この調子であれば、うまくすれば20-21日のFOMC・日銀会合まで相場堅調かもしれない。さらにそこで異変がなければ、11月初旬の米大統領選挙まで1ストロークで堅調を維持できるかもしれない。」としました。
これが、揺らぎ始めています。
ちょうど日経平均の22日周期説から割り出された変化日は9日、あるいは11日(月曜日)です。
ここで、こういう海外市場の異変が起こりますと、一体東京市場は、サマーラリーらしい相場が一度もないままに、失速するのでしょうか。
その危険性が高まってきたことは確かです。
冒頭で述べたように、この急落が一過性であるとしても、今後7日から10日ほどの間に、もう一度米国主要株価指数が、9日と同じく2%以上の大きな下げをした場合は、下降トレンド入りは確定すると思っていたほうが良いでしょう。

▼機関投資家の動き。
内外機関投資家の動きを確認しておきましょう。

(外人)
まず外人ですが、ファンドは10-11月の損益通算期限を控えて、大きくポジション調整をしてくることは、当初からわかっていた話です。それがいつ始まるかが不透明だったわけです。
9日の急落がその予震だったかどうかは、今後の展開ではっきりします。
ただ、ファンドのうちヘッジファンドは非常にパフォーマンスが悪いので、解約請求に悩んでいることは必至です。従い、それに応じるために換金売りがどっと出始めるリスクがあります。
もちろんショートしている分は、買戻しをして初めて清算できるわけですから、なんでも売り一方というわけでもありません。
一般のミューチュアルファンド(投資信託)は、ヘッジファンドのようなお尻に火がついた状況ではないはずですから、通常の順当なポジション整理をしてくるでしょうから、益出し(米国や新興経済国家への投資分)と、含み損の部分(日本など)をあえて実現損を出し、「合わせ切り」で、節税対策用のポジション縮小を図ってくることになるでしょう。
幸いなことに、日本市場においては、裁定買い残がいまだに1兆円割れという記録的な少なさなので、売り崩そうという意図はあまり出てこないでしょう。買い残が無い以上は売り崩せないからです。
但し、今後薄商いが続くとなると、そこではわずかな先物のロットのショートだけで、簡単に指数は崩れてしまったりするので、厄介です。

(国内機関投資家)
その鬼門となる薄商いですが、これは実際、ここから秋が深まるにつれて、本当に薄商いになる可能性が高いのです。
なにしろ、こういう急落になりますと、日本の個人投資家はにわかに動揺し始め、買いの手が引っ込んでしまうためです。
唯一残っているのは国内機関投資家ですが、これは9月中間期末が近付いているために、来週後半くらいからは、まったく手が出なくなるでしょう。
財務部門からのお達しで、「売ってもいいが、買うな」という指示が出るからです。
そのため、国内機関投資家はまったく頼りにならないタイムゾーンになってきます。

以上のように、機関投資家動向を考えますと、実にお先真っ暗ということになります。

▼東京市場が意外に持ちこたえる可能性について。
では東京市場は、今後海外市場がもしも下降トレンド入りした場合に、やはり一緒になってずるずると下げ相場になっていくのでしょうか。
一応、そうなる、という前提でいたほうが戦略的には妥当な判断です。
一方、場合によっては、日本「だけ」が意外にしぶとく持ちこたえる可能性が、実はあるのです。
以下にその諸点をまとめてみましょう。

・そもそも、海外市場好調なら日本は不調、海外が不調なら東京が堅調という逆相関で相場展開してきたという事実。
・9日に海外市場が急落した大きな直接的要因は、利上げ観測再燃により、米10年国債利回りが急伸し、ドル円が上昇したため(一時103円台まで上昇)したため。
・海外市場は、それによって米国は早期利上げを本気で織り込みはじめなければならず、新興経済国家は資金流出を恐れる。
・一方日本は、日経平均が上がるための絶対条件である米10年利回りが急上昇しており、つられてドルが対円で強い含み。
・先述通り、最大の現物株下落の原資である買い残が記録的に少ない。薄商いで先物から崩されない限りは、下がりようがない。
・しかも、下げに対しては、日銀が倍増させたETF買い支えというカウンター逆襲が控えており、売り方は手放しではショートを振ることができない。
・海外市場急落とはいえ、不思議なことに、危機で最も買われるはずの金先物が、ほとんど動いていないという事実。
・また、逆に危機に最も臆病なはずのジャンクボンドETFも、小甘いていどでほとんど動いていないという事実。原油市場も急落が無かった。

だいたい以上のようにまとめることができます。
日経平均にとって使命を制する威力を持つ米10年利回りが、9月早期利上げ説がにわかに再燃してきたことで、7月以来の持ち合いを、9日にとうとう上放れました。

(米10年国債利回り 1091)

ご覧のように、増田足でも、3日足が25日・75日が密集する収斂状況を、とうとう上に突破しようとしています。6色帯は、黒から黄に転換。この上放れはなめてかかるわけにはいきません。
ただ、一覧でまとめたように、金先物が急伸せず、ジャンクボンドも急落せず、原油も静かであったという一連の事実からは、冒頭からも指摘しているように、これがほんとうに金融市場が恐怖にかられた動きだったというより、まだ現時点では「とりあえずポジションを落としてみた」というだけのことにすぎず、一過性で終わる可能性も残されているということです。
金、ジャンクボンド、原油とそろって小動きであったという事実は、まだ事態が本格的な弱気モードにはなっていないということを意味するからです。

日経平均は米長期金利との連動性が強固です。
ドル円もこれにつられる傾向が強いのはご存知の通り。
従い、海外市場と日本市場は、皮肉なことにこの米長期金利・ドル相場という介在変数を間にして、ちょうどシーソーの両端のような逆相関性になってしまいました。
そのため、この米長期金利の上昇とドルの堅調さという観点からは、かなり日本株は耐久力があってしかるべきです。
問題は、米国株相場の本格的な調整に、万一発展していった場合に、(なにしろ、史上高値更新をしていたわけですから)その局面でも、日本株は耐えられるか、という問題に直面します。
これは、実際の今後の相場展開を見て判断するよりないでしょう。
そこは、テクニカル分析の出番だということになります。

▼今後の具体的な戦略・算段。
さて、以上のような考察から、とにもかくにも、この海外市場の急落が、週明けの東京市場を朝から襲うことは必定としても、その後の展開が重要になってきます。
このままずるずる東京も下げ続けていくのか、いったん持ち直した後、本格的な下げ相場になっていくか、それとももっとも理想的なパターンは、どういう経路にせよ、海外市場の下降トレンド入りがあったとしても、東京だけが単独で堅調さを発揮するか、と三つのシナリオを想定していましょう。
ここでは、良いシナリオはどうでもよく、悪いシナリオになっていった場合の、判断基準を確認しておきましょう。

(とりあえず行うアクション)
まず行わなければならないことは、いうまでもなく、戦略方針変更で解説したように、ポジション総額に対して、2-3割のキャッシュを確保するということです。
保有銘柄のうち、25日足(25日線割れ)か、あるいは、含み損の大きい銘柄などを優先して、まず処分売りをしキャッシュをつくることです。
最悪の場合、最終的にすべての保有株を売らなければならなくなるとしても、現時点では含み益の大きいものや、25日足上のものから売っていくような愚策はとってはなりません。
弱いものから切っていくというのが筋です。
もちろんそうして極端に採算の悪い銘柄がなければ、25日足上でも、含み益があっても、売って構いません。
あくまで、キャッシュを2-3割確保することが最優先目的だからです。

(急落が一過性かどうかの判断待ち)
その後は、すぐに切り返すのか、ずるずる下げていくかで、話が違ってきます。
切り返していく場合も、おいそれとはすぐにフルインベストメントには戻さないほうが良いでしょう。相場がすぐに反発しても、中途半端な戻りは、売り方の絶妙な急所をつくってやるだけのことになりかねないからです。とくに米国市場は、ここから7-10日以内に再び2%級の下げをしたら、万事休すです。
キャッシュ2-3割を残したままで、やりくりしましょう。

(悪いシナリオのほうを前提にして算段する)
こういう場合、相場が持ち直していくシナリオは、考えないことです。
あくまで、悪いシナリオを前提にして、判断していきましょう。
すべての戻りを、「疑え」ということです。
ダウ輸送株、日経平均が、25日線割れからさらに下げて、50日線あるいは75日線を割っていくようでしたら、ポジションの半分までキャッシュ比率を引き上げましょう。
このとき、残る半分の持ち株残の資産目減りを避けるため、ヘッジをかけます。
例の日経ダブルインバースETF 1357の買いです。
配分は、持ち株の変動性にもよりますが、【赤備え・モデル】の場合は、そもそも日々の上昇率ランキング上位に常連となっている銘柄しかありませんので、非情に変動率が高いのです。
従い、同額に近いダブルインバースを買い入れて、理論的にはトントンくらいではないかと推察します。ややインバースが少なめでも大丈夫です。
持ち残の株がそれほど変動率の高い銘柄ではない場合は、持ち株残高の半分くらいの金額で、ダブルインバースを買えばよいのではないでしょうか。
いずれにしろ、このダブルインバースでもうけようというスケベ心は捨てましょう。あくまで、「掛け捨て保険」です。持ち残を有する限り、下げ相場でその目減り分を、相殺するために(資産全体の目減りに歯止めをかけるために)買うヘッジだからです。
その後、相場がまだ下げ止まらずに、ダウ輸送株が200日線まで割り込むという状況であれば、持ち株残をすべて処分し、【赤備え・モデル】であれば、全額ダブルインバースETF買い、変動率が少なければ、資産総額の半分をダブルインバースETF買いに充てます。
すでに、50-75日線割れのだんかいで、買っていますから、かなり利益が出てきているETFです。本玉投入で、下げ相場が阿鼻叫喚になればなるほど、結果的に大きな利益になるでしょう。
下げ相場の序盤で損した部分を、十分にこのダブルインバースETFが取返し、それどころか利益の積み増しに寄与してくれるはずです。
以上のような算段で週明け以降を、考えていこうと思います。

▼難しいのが、IPOバスケット。
このとき判断で一番難しいのが、IPOバスケットです。
おおむね、機関投資家の保有株比率が少ないだけに、あまり影響を受けないという可能性もあります。
逆に、個人投資家比率が大きいだけに、付和雷同して、一斉に投げてくると、思わぬ下げにもなりかねません。
どちらに転ぶかわからないのです。
もし、週明け以降、後者であれば、ポジション持ち残のうち、このIPOバスケット銘柄を優先的に処分するというのも一つの判断でしょう。

▼現物株の買いについて。
以上のような状況ですから、基本的には買いは「ご法度」です。
が、週明けから一週間、最悪のシナリオ突入か、判然としないという持ち合い・膠着相場という展開もありえます。
あるいは、中途半端に戻っていき、それが意外に長引き、なかなか本気でその後の下げになっていかない、というケースもあるでしょう。
そういう場合、どうしても、キャッシュ比率は確保したままで、動かせる資産部分だけで、銘柄の入れ替えなど、やりくりしながら、買いたい銘柄というのもでてくるでしょう。
そうしたときの個別銘柄の狙い、ポイントをもう一度ここで確認しておきましょう。

・あくまで25日足上の水準を維持する銘柄に限る(下げ相場で、25日足を割らないということは、そもそも売る人がいないということを意味します)
・できるだけ、貸借銘柄の場合は、信用倍率が1.3倍以下(理想的には1倍以下)のものに限る。
・6-7月に相当の安値をつけた銘柄を優先する(2月安値の銘柄で、以来ずっと上昇してきていたような銘柄は避ける)
・外人持ち株比率が多くても20%以下のものにする。これが、数%というように少なければ少ないほど、買う対象としては優先度が高いと考える。外人が持っていなければ売られることもありません。また上がるときには、彼らが買ってくれるからです。
・景気敏感か、ディフェンシブかに、さほどこだわらなくてよい。業種は問わない。

仮想運用ポートフォリオ【赤備え・モデル】のパフォーマンスは、3月8日に【金斗雲方式】導入以降、週末までで+19.96%。この間日経平均は+1.9%です。

以上
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増田経済研究所
増田経済研究所が、今週の東京株式市場の動向を展望します。米国を中心とした国際情勢を踏まえ、誰が今、何を考え、我々個人投資家はいかに対応すべきなのか、分かりやすく解説します。
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商号等:有限会社増田経済研究所/金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第1069号