26日に時代が転換する。個別銘柄の絞込み。

2016/02/22

増田足15日間無料お試しはこちらから

※本原稿は、先週末19日、会員向けのオンラインセミナー、20日に【赤備え・日報】として掲載されたものです。

1.根拠なきパニック。
株式市場に見られるような金融市場の波乱は、2月12日前後で収まったのでしょうか。市場のコンセンサスでは、まだまだ予断を許さない状況です。
実際、まともな議論では、今年の世界経済は3%ていどの成長維持という見方が大勢です。
が、もちろん、「この金融市場の混乱は、なにか得体の知れない危機的な状況の前兆ではないか」という懸念も一方ではあり、市場では不安感が拭えないというのもよくわかります。
従って、各国協調政策による事態の沈静化というのは、金融市場発の実体経済破壊という、あってはならないシナリオを阻止するためにも、確かに必要だ、とわたしも思います。

2.降って湧いたような中国版・プラザ合意という仮説。
ここに降って湧いたような話が、中国版・プラザ合意という仮説です。
少なくとも、従来のような「紋切り型」の共同声明で、世界の当局者たちが先述の「大騒ぎする人たち」という事態を収拾できるかどうか非常に疑問です。
なぜなら、今回の金融市場の波乱の根本的な要因は、米国が利上げという大きな政策転換をしたにもかかわらず、肝心の米国における成長軌道が危ぶまれ始めている点にあるからです。
もっといえば、世界の成長まで話を広げると、世界中の人間を食わせるのに、アメリカ一国の成長だけでまかないきれなくなっているという、大きな問題がその背景にあるからです。
もちろんそれは、まだはっきりした話ではなく、まだ「懸念」にとどまっています。
が、多くの投資家と政府にとってのこの大きな懸念は、世界全体の経済見通しはさほど悪くなくても、金融市場に対する信頼感の喪失だけで、危機を招くかもしれないのです。
つまり、鏡であるはずの金融市場の勝手な狼狽と恐怖感が、実体経済を殺してしまうということも、これまで歴史上、多々起こってきた事実であり、今回これが繰り返されることも充分ありうるのです。
仮にこの金融市場の動揺のほうが間違っていたとしても、それが深まり、長引くことで、実態経済の回復を破砕しては、本末顛倒の話です。
そこで突如にわかに、降って湧いたような仮説として、「中国版・プラザ合意」というものが飛び出してきたわけです。

3.にわかに活発化してきた、中東の産油国。
ここ2週間ほど、ウォールストリートジャーナルなど海外誌では、頻繫に産油国が減産協議にむけて交渉をしている報道がなされています。
直近では、サウジはじめ4産油国が、少なくとも増産凍結の合意をしています。イランも賛同の意思表明ということですが、まだ固まった話ではありません。
ただ少なくとも、減産という言葉に対して、頭から否定的な発言しかしてこなかったサウジが動いたことは、大きな変化です。
なにが始まろうとしているのでしょうか。どこかの時点に、時間的な設定(目標)があり、それに向けて、動き出しているような気もします。
当然、考えられるのは、26日のG20(恐らくG7の緊急会合も同時に開かれるはず)に向けて、世界の指導者たちはさまざまな動きをしているだろう、ということです。
G20が従来のような、内容のない「紋切り型」の共同声明に終わらせるのではなく、もっと
強制力を伴った「グランドバーゲン(包括合意)」が必要だという意見が市場でも提唱されています。
おそらくそこに向けて、中国と同じく資本流出によって暴落してしまった原油に、ほとほと我慢の限界に到達している産油国も、とうとう動き出したということでしょう。

4.中国当局vsヘッジファンド。
このところ、ジョージ・ソロスなどヘッジファンドによる、「中国経済はすでにハードランディングしている」という判断から、「中国潰し」を公言しており、公然と威嚇しています。
中国当局はこれに真っ向から防戦する姿勢を示しています。
実際に、ヘッジファンドが売り崩せる投資対象というものが、きわめて限定的であるために、はたしてソロスの言うような、97-98年の通貨危機のときのような売り崩しが成功するか、個人的には甚だ疑問です。
ただ、市場が「中国が負けるかもしれない」と警戒しているのは、中国の資金力がだんだんなくなってきていることが大きな理由でしょう。
人民銀行総裁は、「中国は世界最大の外貨準備がある」と豪語しますが、現実には、資本流出=人民元下落に対する為替介入(買い)の繰り返しで、外貨準備のピークから、すでに2割減ってしまっています。
対ヘッジファンドというより、対自国民の資本逃避との消耗戦になってしまっているわけで、おのずとこの防戦体勢にも限界がある、と市場は心配したわけです。

5.世界的な構造の変化。
もちろん、根本的な問題は、米国の利上げ(金融政策の大転換)と米国の成長力が世界をカバーできるほど強くも大きくもなくなっているという点です。
米国が弱くなっているということではありません。世界が大きくなりすぎているのです。
かつては、40億人の世界経済を、米国一国で牽引できましたが、60億人となった世界経済を米国一国では牽引できなくなってきているわけです。
しかも、40億人当時は、まだまだ大半の国々が低所得国でしたが、現在は大人口国家がどんどん中所得国家に変貌を遂げつつあるのです。軒並みこれらは、生産設備を抱えるようになり、これが世界的なデフレ化のエンジンになってしまっているのです。
もう一つ米国のような、巨大な内需消費国家が登場してこなければ、にわかに発展してきた新興国家の製造・生産という供給能力を消化できないということです。

6.原油にそれはよく現れている。
ちょうど、オバマ政権が「世界の警察官になるのをやめた」というのも、次元こそ違え、同じ路線上の話でしょう。
原油の生産能力も、米国オイルシエルの開発によって過剰になったとされ、鉄鋼や家電などの生産能力も、中国の台頭で過剰になったとされています。
が、供給がいくら増えても、それを消費する需要があれば問題ないのです。
供給力を抑えようとすると、経済は縮小均衡に陥りますから、世界はどんどんデフレの蟻地獄に落ち込んでしまうことになるわけです。逆効果です。90年代に日本が経験した、デフレスパイラルということです。
誰もそれは望みません。従って、需要の、それも新たな大きな需要をつくりださなければならない、という大きな課題に世界は直面しています。
チャイナリスクの本質とは、このように、中国が無謀な生産過剰設備を抱えてしまったということではなく、それに見合う消費が中国自身にまだ育っていない、あるいは世界的にもアメリカ以外に育っていないことが問題なのです。
問題の本質をここで間違えると、答えは時代に逆行する縮小均衡という結論しかでてこないでしょう。

7.いたちごっこの、中国政府の政策発動。
そこで、ふつうに考えられるのは、やはり、大人口国家のうち、一番所得増大が目覚しい中国で、消費を喚起するというのが、手っ取り早い打開策です。
中国政府も、過剰生産設備の淘汰を進め、構造改革をし、内需大国へと変貌を遂げようと大きなアドバルーンを揚げています。
ところが、習近平政権誕生以降、この大事業を進めるにあたって抵抗勢力となる財閥、官僚、これに巣食う企業群を粛清し、これがまた強硬策で推進したことから(言論弾圧・少数民族粛清も同時に進めた)、「黒いマネー」を中心に、人材も含めて、中国からの脱走が止まなくなってしまいました。
これが、資本流出の根本的な要因です。
そのため、当局は、ときに下げ続ける人民元相場に介入して買え支え、一方では金融緩和をしました。
流れが逆になってくると、今度は成長率の鈍化を恐れて、今度は人民元安誘導をし、逆にインターバンクレート(銀行間取引レート)を引き締めるということをしました。
このいたちごっこのような繰り返しに終始してきたのです。
要するに、市場の混乱とともに、当局は場当たり的な対処療法に振り回され、政策発動が堂々巡りし、一貫性が保てないのです。
これでは、終わりがありません。

8.まず考えられるカンフル注射~一度限りの人民元大幅切り下げ。
そのためには、まず中国からの資金逃避を加速させている投機的な動きを抑え込むために、人民元を「一度限りの大幅な切り下げ」という妙案が浮上しています。
しかし、それも、しょせん一時的な対処療法にすぎません。
なぜなら、人民元安と中国の過剰生産を救う代わりに、世界中にデフレが輸出されてしまうことになるからです。

9.本来、中進国の中国は、人民元上昇のトレンドのはず。
もともと、中国は70年代の日本の経済水準に到達してきているわけですから、日本円が変動相場に移行したように、人民元も必ずその一線を越えなければならないのです。
当然、人民元は対ドルで上昇していくトレンドになっていくことになります。
ところが、サブプライムショック以降、構造改革という大きな課題が出てきたこともあり、世界的不況の中で、その痛みを和らげるための人民元安が続いてきました。
その規模は人類がかつて経験したことのない13億人という国家ですから、この止めども無い人民元安による世界的なデフレの浸透に、世界は経過しました。
過剰生産設備と言われる中国の野放図な生産能力拡大を、今中国が一生懸命に縮小淘汰していますが、とてもではありませんが、それでは景気が冷え込んでしまいます。
そのため、苦し紛れに中国当局が、腕力で資本流出を止めようとする一方で、人民元安誘導によって、輸出増大をはかり、構造改革の痛みを糊塗しようとするので、大事です。
そんなことをずっと許していたら、どんどん世界的な価格破壊が進み、(原油暴落のように)デフレが世界中にまき散らかされることになりかねません。
しかも、直近ではジョージ・ソロスなどヘッジファンドが、「中国売りで、ハードランディングを決定的にしてやる」と威嚇しているのですから、人民元暴落になったらたまったものではありません。

(人民元対米ドル、長期)
図表割愛。

10.中国の資本規制という一手。
別の手も市場では取り沙汰されています。
黒田日銀総裁が先般訪欧した際にも言及したのは、「中国当局が、資本規制をするという方法も、考えられなくはない」とした、あの資本規制です。
しかし、これも一時しのぎになる可能性が高いでしょう。
なぜなら、すでに中国はIMFの構成通貨として、SDR(SpecialDrawingRights、特別引き出し権)にも組み入れられています。
中国の悲願である国際的に「まともな通貨」と認められるに至ったのは、あくまでも中国が金融の自由化を進めるという前提にたった話です。
従い、資本規制というのは、これに真っ向から逆行するスタンスになるわけで、人民銀行総裁も、資本規制など考えられないと断言しています。
では、一体ほかにどのような手が考えられるのでしょうか。

11.中国を救うことで、中国を食い物にしたい世界。
今般の金融市場の大混乱の引き金にされてしまった中国の資本流出と縮小均衡→人民元安とデフレの輸出→米国一国では世界中の生産供給を消費し切れない、という一連のデフレ汚染の連鎖というものに、早急に歯止めをかけなければなりません。
それには、一番所得が高くなってきた最大人口国家、中国そのものを内需消費国家に、一挙に転換させるしかありません。
もう一国、アメリカをつくるということです。
人口規模でいえば、あと三つのアメリカをつくるのと同じ効果があります。
中国は既に世界最大の輸出額を誇りますが、GDPもアメリカに次ぐ世界第二位の経済大国です。しかし、人民元は中国政府が安く誘導している為、購買力平価で比較した場合、既に中国はアメリカを抜いて世界第一位の経済大国になっています。
とくに、ユダヤ国際金融資本が、この世界第一位の経済大国、それもこれから、さらに成長するであろう中国を放っておくはずがないのです。

12.ユダヤ国際金融資本の手口は、破壊→混沌→火事場泥棒。
閑話休題で、「お話」としてロスチャイルド、ロックフェラーなどのユダヤ国際金融資本の歴史的な暗躍経過を以前書きました。
しかし、これは御伽噺とは言い切れません。
彼らの過去の手口は、いずれも、内戦・暴動状態を作り出し、既存の政治体制を転覆し、混乱の中で、ボロ安になった企業・不動産・利権などを、火事場泥棒のように買い占めるというものです。
その線は、10年という長いスパンで画策されていることでしょう。が、その前に、中国のデフレ輸出によって、自分たちの利権が毀損したのでは話になりません。
そこで、いずれは、中国共産党体制を潰すつもりでいるかもしれませんが、当面は、世界的な金融市場の混乱の収拾と、まずは安易な利益獲得で態勢を立て直す必要があります。

13.中国のアキレス腱。
中国は事実上世界第一位の経済大国となりましたが、一方でその通貨である人民元は中国政府が管理する「不完全な通貨」です。
人民元は「ドルに緩やかにペッグ」しているからです。これは人民元の信用力をドルによって補完している事を意味します。
中国政府は国内のドルを一元的に管理しています。輸出によって大量に手に入れたドルは、中国人民銀行がほぼ保有しています。中国人民銀行の資産の多くがドルなのです。中国国債にはほとんど国際的信用は有りませんから、人民元の信用は、人民銀行のバランスシートの中のドルによって担保されています。
これが名実ともに「一人前の通貨になった」ということで、米ドルから離れて、次第に人民元高へと、ペグ制度を緩和していく、自由化していくということが、どう考えても自然な流れであるということは、ここではっきり押さえておきましょう。
ちょうど、「一人前」になった1970年代初頭の日本を思い出せば簡単です。
変動相場入りし、その後、ずっと長期円高トレンドになっていったわけです。
360円が、1985年には263円ですから、その間、紆余曲折はあっても、基本的には円高のトレンドだったのです。
それが、今中国に起ころうとしている段階だ、ということです。

14.IMFは人民元をSDRの構成通貨に入れた。
先述通り、人民元の国際化は中国の悲願です。その方法の一つがIMFの「特別引出権(SDR)」の構成通貨に元を採用させる事でした。
SDRはドル(41.9%)、ユーロ(37.4%)、ポンド(11.3%)、円(9.4%)という4か国の通貨で構成されています。構成比率は5年毎に見直され、その時点での為替レートによって決まります。
SDR自体は通貨では有りませんが、SDRを通貨に変える事が出来るので通貨に準じる物と言えます。SDRの最大の特のようなものですが、その信用はSDRの構成通貨の信用によって支えられています。
難しいことはどうでもよいのです。要するに、SDRの構成通貨に成るという事は、IMFがその通貨を「国際的に信用のある通貨」と認める事にほかならないということです。
ということは、「国際的に信用の有る通貨」になった以上、人民元は次第に自由化されていかなければならない、ということです。
人民元安でも、それを為替介入したり、資本規制したりするなど、言語道断。
中国とても、SDRの悲願を達成した矢先に、これと真逆の政策を打つことは、面子にかけてもできません。

15.中国は、長期的な人民元高を容認せざるをえない。
思えば、昨年8月の人民元安ショックから、すべてが始まっていたということになります。
当時、中国政府は8月に元の切り下げを行って世界に衝撃を与えました。これは減り始めた輸出をサポートする目的が有ったと思われます。供給過剰体制を是正し、中成長に見合った生産規模へと縮小均衡を行っているわけですから、景気が悪化するのは当たり前です。
それにカンフル注射として、人民元安誘導をしたりもしたのですが、これが返って、資本流出を加速させてしまう悪い効果を生んでしまいました。
昨年の人民元切り下げが典型的ですが、これで、海外から入ってきていたマネーがまず逃げてしまいました。
構造改革を強引に推し進めるために、経済犯罪・汚職取締りにかこつけて、強権政治で粛清による恫喝も、これに輪をかける始末。今年の人民元安は、今度は中国人が自身もろとも中国から逃げ出すという状況に陥ってしまいました。
さすがに中国政府も、これは危険だと思ったのでしょう、元のさらなる切り下げはひかえている状態です。
むしろ、旧正月明けの動きを見ますと、人民銀行が提示する基準レートは、切り上げられているのです。

16.ウルトラCは、「中国版プラザ合意」という離れ業。
現在、世界で不足しているのは先述のように、「供給」ではなく「需要」です。
ここを間違ってはいけません。中国人は現在でも旺盛な需要を生み出していますが、人民元が切り上がれば、世界中から物やサービスを購入し、さらに世界各国に投資を始めるでしょう。
そもそも金融資本家達の悩みは、なかなか中国の内需が拡大しない事だったはずで、その原因は「元安」にあったはずです。
現在、中国の経済はデフレの危機に瀕しています。しかし、人民元の価値が一気に拡大すれば、中国国内で、今度こそ最後にして最大のバブルが花開く可能性はけして低くないでしょう。
これは、今、世界を襲っているさまざまな病根を、一挙に治癒してしまうだけのインパクトがあるのです。

17.利上げを強行したいアメリカが、中国を揺さぶる。
このところ、ご存知のようにアメリカは南沙諸島問題で中国に圧力を掛けています。これは、ムチです。(台湾やベトナムに最新兵器供与をし、韓国に戦闘機配備を再開し、南沙諸島海域に艦艇を航行させています。)
一方で英国やIMF(事実上アメリカの傀儡=かいらい)は、英国が中国主導のAIIBに加入し、IMFは先述のように人民元をSDRに入れてやりました。これは、飴です。こ
欧米列強は、どう見ても中国に選択を迫っているようにしか見えません。
ではアメリカの要求はなんでしょうか。
一つは、中国が飴を受け取る代わりに、「米国債の買い支え持続」という誓約でしょう。
同時に、人民元高のトレンドを、国際的協調体制のもとで、組織的に行うということです。
それは、大統領選を控えたアメリカにとっては、長年の大問題であった米中貿易不均衡問題を解決することになります。
アメリカのファンダメンタルズはけしてわるくありません。
ただ、成長率+2.4%のうち、牽引しているのは個人消費の+3.1%であり、製造業(輸出主導)は確かに不振で、これが足をひっぱっているわけです。
この不振の部分を補って余りあるのが、中国の消費力復活であることは言うまでもありません。
また、中国にとっては、人民元さえ切り上がれば、米国債の購入余力も増してくることになります。
確かに、人民元高は、不況が深まる中国にとっては、わずかに輸出で食いつなごうとする向きには、打撃です。が、それは一時的です。
なにしろ、中国企業も人民も、労せずして購買能力、消費能力が増大するわけで、とんでもない減税効果があるのと同じです。所得が勝手に上がるのです。
輸出依存ではなく、巨大な内需国家(アメリカのような)に構造転換していくという路線には、ぴったり話が合致するのです。

18.日欧州の「実弾」が弾切れになりつつある。
こうした「中国版プラザ合意」という待望論が台頭してきた背景には、アメリカ自身の景気はけしてそう悪くなく、利上げも無理ではないのです。
しかし、金融市場が混乱することで、景気が痛んでしまったのでは元も子もありません。
また、利上げということは、ジャブジャブになったドル札を回収するわけで、世界的なマネー循環が縮小していくことを意味します。
それをカバーするのが、欧州や日本の量的緩和策なのですが、これも両方とも限界に近づいています。両者ともマイナス金利導入に突入していることを見ればあきらかです。
金融市場の崩壊を止める為には、投入される資金の増加が不可欠です。
この日本・欧州の「実弾が切れつつある」中で、にわかに台頭してきたのが、「中国版プラザ合意待望論」というわけです。
また、同じように、原油暴落に対して、あくまで減産しないと抵抗していたサウジなど産油国も、財政的に限界が近づいてこようとしています。

19.窮地に立つ中国。
独裁国家のことゆえ、当座は強権でなんとかなるものでしょうが、時間が経過していくにつれ、その神通力にも限界が出てきます。(当局が恐れるのは、この状況の長期化は必至であり、その途中に暴動など国内の社会不安が発生してきた場合には、共産党政権にとっては命取りになる、という点です。)
基本的に、長い縮小均衡の構造改革に入っている中国が、窮地に陥っていることは事実でしょう。
CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)は、過去4年で最高水準に上昇してきていることを見ると、やはり世界の金融市場は、中国リスクというものを重大視していることは間違いないでしょう。
一方米国は、世界で唯一利上げを行った国ですから、97-98年のアジア通貨危機以前の状況。つまり、米国独走の状況になってしまっています。
しかし、その米国も、今では膨張した世界経済を一国で負担していくには、あまりにも荷が重過ぎます。
恐らく、今この状況の閉塞状態を打破するキーワードは、中国なのかもしれません。

20.中国の資本規制の問題。
型通りに考えれば、中国が資本規制をするということで、世界的な金融市場に安堵感を与えるということが一番安易に考えられるシナリオです。
が、まさにIMF通貨に組み込まれ、ここから本格的に世界の「まともな通貨」として人民元がスタートを切った矢先に、ヘッジファンドの威嚇に屈して、資本規制をしたなどということになると、大きな矛盾です。
そこでこのところ市場の片隅で出てきている「噂」に注目することができます。
それは、資本規制ではなく(多少ややるのでしょうが)、それより国際協調による人民元『高』誘導・容認という介入です。

21.26日のG20で、なにが協議されるのか?
市場では、一説では80年代に行われたプラザ合意の人民元版が出て来るのではないか、とも言われます。
85年のプラザ合意は、ドル危機を回避するために、各国がドル安の強調合意を行ったのですが、こと日米間に限ってみますと、いびつな貿易収支の是正という大きな意味合いがあり、円は対ドルでいわゆる「大円高時代」に突入していきました。
一時的にこれが企業業績にネガティブインパクトがあったものの、その後はむしろ実質的な成長を伴わないバブル相場へと発展していきました。
今回、G20で取り沙汰されているのは、当時の日米間の状況が、米中間で再現されるのではないか、というものです。
本質的な成長がなかったとしても、資産効果による好景気状態(錯覚なのですが)の持続は可能だということです。

22.この仮説の場合に想定される現象。
この場合、中国からの資本流出は止まるでしょうし、成長は構造的に鈍化していく中で、中国経済・相場はバブルに突入する可能性があるというわけです。
構造改革による縮小均衡を続けていくのは、たいへんつらいことです。従い、この「中国版プラザ合意」が行われたとしますと、資本流出の阻止、バブル化による痛みの回避という二点で有意義です。
もちろん、最終的にその挙句の果てに、当時の日本とは違い、暴落を避けて見事にソフトランディングできるかどうかは、また別の話です。だいたい、そうはうまくいかないものです。
バブルの後の恐るべき破壊的な金融市場の混乱というリスク(日本の前例を、中国はよく知っている)を、間違いなく中国は恐れているわけですが、背に腹は替えられないというのも事実なのです。

23.ヘッジファンドの威嚇は、「ブラフ」か。
こうしてみますと、ここもとジョージ・ソロスなどヘッジファンドが、「中国潰し」を公言していたのは、ブラフ(騙し)である可能性もあることになります。
恐怖感を煽ることで、中国にこの中国版プラザ合意を受け入れさせようという国際的な意図すらうかがえそうです。
かなりうがった見方ですが、無いとは言えない話です。
もし、そうだった場合には、長期的に人民元は対米ドルで上昇していくトレンドに戻っていくことになるわけです。
中国は、一時的に輸出の困難を覚えるでしょうが、購買力は非常に高まりますから、日米欧州はじめ、中国の経済に侵食していきたいと思っている国々にとっては、絶好の環境になっていくことになるわけです。

24.もともと、人民元は上昇していく運命。
わたしは、個人的な見方として、そもそも構造改革を行い、デフレ状況入りが確実である中国は、長期的に対米ドルで人民元高の時代に入っていくとずっと思っていましたので、昨年来の人民元安には、正直驚きました。
これは、確かに規制が多く、取り締まりが厳しい中国にいるより、自由な海外に資金をおきたいという中国人の性向による資本流出なのでしょうが、それが一巡すれば、自然に人民元は上昇の時代に入っていくだろうと思っていたのです。

25.現在の中国は、過去の日本のどの時点か
中国の一人当たりのGDPというものは、ちょうど日本の1970年代後半に一致します。
日本では、ソニーがウォークマンを初めて発売したのが1979年です。
日本の一人当たりGDPは9800ドルくらい。1万ドルをやや切る水準でした。
現在中国のそれは、8600ドルくらいに上昇してきますから、ちょうど比較できるところです。
時代のピッチは、かつてより格段と速くなっていますから、85年のプラザ合意までの道のりのように、5-6年かかることはないのでしょう。
資本流出で非常に苦境に立っている中国に対して、この仮説が適用されるとしたら、やはり今だ、ということになるのかもしれません。

26.人民元高で中国が助かる~危ない橋を、渡るか。
この人民元の長期的な対米ドル上昇トレンドを「つくる」ことは、中国にとっては、資本流出を食い止める大きな要因になるでしょう。
一方、これまで人民元安を阻止するために、上海などのインターバンクレート(銀行間取引レート)の引き上げといったようなことはしないで済みます。これが、冷え込みが続く景気を、一段と悪化させる効果を持っていたわけですから、中国にとっても渡りに船であろうと思います。
逆に人民元高が保証されるのであれば、国内金利は大きく低下させていくことが可能ですので、景気に対する刺激剤にもなります。
もともと、外需主導から内需主導国家へと、構造改革の長い道のりを歩み始めた中国ですから、消費の拡大=所得の拡大といった状況を生み出すのに、人民元高はきわめて有効なトレンドだということになります。

(中国版プラザ合意のメリット)
図表割愛。

27.人民元高で米国が助かる。
この人民元高は、大統領選挙を控えた米国にとっても、以前から問題視されていた米中貿易不均衡是正に応えることになるわけです。
また、米国の景気の足を引っ張っている部分というのは、言うまでもなく製造業なのですが、この部分の多くは輸出主導型の企業です。
この業種にとっては、米ドル安=人民元高は、願っても無いサポートになるはずです。
欧州は基本的に域内経済社会ですから、自力での成長奪回は非常に難しいでしょう。しかも、欧州こそは中国との貿易依存の一番大きな先進国地域ですから、ユーロ安=人民元高はやはり大きなサポートになります。
米国は、中国経済を拡大させることで、自国の利上げシナリオを確実なものにしたいと思っているのではないでしょうか。

28.人民元高で中東が助かる。
中東も人民元高で恩恵を被ります。
サウジは、減産に合意したとしても、大々的に行うことには消極的なはず。
なぜならそのたびに、これまで抜け駆けされて、シェアを落としてきた経緯があるからです。
もちろん原油安は非常にサウジにとっても痛いことなのですが、それも消費量が拡大すれば、解決できる問題です。量の拡大こそが重要なのです。
普通は利上げ段階では米国が大量に原油を買ってくれたものですが、いまや、利上げが始まっても、米国自身が輸出国に転換しているので、期待できないのです。
その量の問題を解決できるのは、中国が再びがぶ飲みする以外にありません。
減産したとしても、過激な減産ということではないでしょうから、過去の100ドルといったようなとんでもない高値に比べれば、比較的安い価格帯で推移していくことが、恐らく世界的にもメリットがあるでしょう。
現在の原油市況の低迷は、供給過剰だという議論が多いのですが、以前も解説しましたように、過剰分というのは、生産量・消費量の規模に比べて、誤差の範囲でしかないものです。たった2%程度の話です。
むしろ、原油市況の低迷というものは、供給過剰の問題ではなく、需要不足の問題です。需要を喚起するとしたら、中国の人民元上昇が一番効果があるでしょう。

29.主役3者が、ウィンウィンの結果を得られる。
以上のことから、「中国版・プラザ合意」が主役3者にとってかなりメリットのある、ウィンウィンの結果を得られることがわかります。
人民元高に向けて、世界的な協調が図られていくということは、かなり現実性のある仮説でしょう。
問題は、人民元高発動によって、一時的に中国の景気が冷え込むので、それを和らげる方策。もう一つは、うまく思惑通りにシナリオが機動していった後、かつての日本のようなバブル崩壊後の惨憺たる状態に陥らないように、その間に、徹底的に現在行っている過剰生産能力の縮小均衡を持続的に推し進め、構造改革を同時に達成すること。
この二つが大きな課題ということになります。

30.要するに、助けてやると中国に言って、実は中国を食い物にしようというシナリオ。
あまり穏当ではない言葉を使えば、いかにこの世界の閉塞状態を打破するか、その一番いい方法、それもだれも自らが犠牲になることのない唯一の方法は、中国を「見かけ」太らせて、みんなでその中国を食い物にするということになってくるわけです。
中国はバブル化する可能性が高くなりますが、かつての日本と違い、すでに強烈な構造改革や縮小均衡、反対派粛清・淘汰をしているので、バブルでリストラの痛みを緩和でき、ソフトランディングが可能でしょう。
この中国版プラザ合意という仮説は、来るG20で、正式に採択されるかはもちろんわかりません。が、表面的にはそうした共同宣言にならなかったとしても、実際には各国が「密約」でこのシナリオを推進する可能性は充分あるでしょう。
どちらにしても、結果は同じです。
ただ、共同宣言でアドバルーンを揚げたほうが(人民元が、一歩、変動相場制に進むというアドバルーンでもある。)、当座のインパクトはかなり衝撃的でしょう。(あまり衝撃的すぎると、足元で人民元急騰となり中国からの輸出ストップというショック、裏では中国景気の冷え込みが深刻になるというのであれば、このアドバルーンは避けるかもしれません。)

31.株式市場への影響。
共同宣言に盛られるか、盛られないかはともかくとして、どういう経路を辿るにしろ、人民元を上昇させていくということに、恐らく世界中異論はないでしょう。
当の中国でさえ、異論はないはずなのです。
従い、この路線が実質的にスタートしていくとしたら、年初来世界の金融市場を混乱させたさまざまな問題が、すべて一挙に解決されることになります。

(その結果、なにが起こるか)
図表割愛。

まず、中国のファンダメンタルズ破綻シナリオを口実にした原油暴落は、記録的なショートが積み上がっているだけに、反転。強烈なショートカバーで、原油市況が上昇します。
ドルが、元をはじめとする新興国通貨に対して売られる展開になるので、ユーロ高、円高ということになるものの、金融市場の安定があれば、さして極端なユーロ高、円高にはならないでしょう。
むしろ、元高による中国人の訪日客数増大に拍車をかけ、中国の日本製品輸入に拍車をかけるので、ドル円の円高気味のデメリットをカバーして余りあることになります。
これは、言うまでもなく、サブプライムショック以降続いてきた、「不景気の株高(金融相場)」から脱却し、本格的な業績相場(ブル相場)へ移行できるということを意味します。
日本にとっては、これまでの黒田日銀によるバズーカが生きてきます。
つまり、デフレ脱却が現実のものとなってくるわけです。
各国ともに、物価の上昇や購買力の上昇、収益増大、所得の増大、税収の増大→最終的には、欧州・日本もゼロ金利状態から正常な金利水準への回帰も射程内に入ってきます。

32.株式相場には、どういう変化が起こるか?~アメリカの場合。
当然、業績相場の初動が始まるわけです。
まだ原油が動いていない、ということから、これを危ぶむ市場参加者が圧倒的ですが、手の平を返したような、強気の相場環境に変わってくる可能性があるわけです。
業績相場=ブル相場の初動では、言うまでもなくディープシクリカルが動きます。
原油上昇、非鉄市況の上昇がその起爆剤です。
すでに、バッテリー用に使われる鉛は、ロンドン金属取引所で昨年8月以来のボックス圏上限をブレイクしています。

(非鉄市況 LME)
図表割愛。

このように、アルミ、銅、ニッケル、亜鉛は、原油以上に悲惨なチャートになっています。
ところが、鉛だけが、突出した動きになっています。
米自動車市況が好調であることが最大の要因でしょうが、ここから中国が出て来るとしたら、従来型のインフラ投資ではなく、耐久消費財、つまり、自動車、家電、家具、住宅といったものが中心でしょう。
まず自動車から動き出しているということかもしれません。
日本で、その魁(さきがけ)的な動きをし始めているかもしれないのが、東邦亜鉛5707の動意はでしょう。
ボーイングなどの航空機需要も、長期にわたって続いていることから、この流れで東邦チタニウム5727も、考えておかなければならないでしょう。
要するに、ディープシクリカル銘柄です。
景気や業績のデータが、悪化している中で、相場循環の移行期に、忽然として勃興し始めるきわめて特殊なものが、この先鋭な景気敏感株たちです。
関連セクターは、商社、化学、機械、石油石炭などの資源、海運、陸運、そして電子・機械部品(半導体含む)などです。
この景気先行的な動きが本物か、米国のダウ3指数で確認してみましょう。

(ダウ公共株指数)
図表割愛。
(ダウ輸送株指数)
図表割愛。

(ダウ工業株指数)
図表割愛。

昨年末から、2月までの大きな下げで、ダウ公共株が高値更新をしていったのがよく分かります。
この間、輸送株と工業株は大きく下げていました。
先行的な輸送株が1月20日に底入れ。
遅行する工業株が2月11日に底入れ。
ちょうど、この工業株が底入れる直前の2月8日に、安全パイとして買われていた公共株が高値をつけています。
ここから考えられることは、この公共株指数が本当に高値をつけて、今後調整を深めて行くかどうかです。
似たような動きをするベンチマークでは、ディフェンシブ系のホーメル・スープHRLが、16日に史上高値まで上昇していますし、まだこうした「安全パイ」が買われている状態がつづいています。
一方、輸送株と連動性の高い、ディープシクリカル銘柄では、キャタピラーCAT、ユニオンパシフィックUNPは、いずれも50日線突破で上昇トレンドに復帰。
もっと言えば、台湾企業で世界最大手の半導体メモリー・メーカーである台湾セミコンダクターTSMにいたっては、年初来高値更新です。
ダウ工業株構成銘柄のネットワーク世界最大手のシスコ・システムズCSCOは、ダウと同じように、ディープシクリカル銘柄より遅れて底入れをしています。

(個別銘柄の各チャート比較)
図表割愛。

33.果たして、本当にヘッジファンドは中国潰しをするか?
さあこうした、バフェットのようなビッグネームが、今回の下げで突っ込み買いをしているわけです。
それも、もっとも危険とされていたはずの、景気敏感株を、です。
となると、ジョージ・ソロスが中国潰しをしてやる、と豪語していたのも、果たして本気なのかどうか、わかったものではないという気がしないでしょうか。
うがった見方をすれば、散々危機感を煽っておいて、株価を大きく下げさせ、一つには中国に中国版プラザ合意を受け入れさせる材料にした、ということも考えられます。
もちろん、闇の世界の支配者たちが、ヘッジファンドを金融市場混乱の尖兵に使ったということです。
ヘッジファンドは、そこでショートと、ロングでリターンを得るという算段です。
思えば、昨年8月、中国政府が人民元切り下げというショッキングな、時代に逆行するはずの政策をとらざるをえなくなった暴落も、米系ヘッジファンド(中国マネー)が一斉に上海市場で、処分売りをしたことから始まったではないでしょうか。
あれが、米系ヘッジファンドの手口だったことは、次第に明らかになってきているわけですから、その延長上に、今年の波乱があると思えば、どうやら今回のソロスの威嚇というものは、多分に「ブラフ(騙し)」であるように思えてきます。
株を投げた人たちは、まんまとだまくらされたということです。米国の名うての株式長者や巨大投資家たちは、こぞってこの突っ込みを、しかも最も危険なディープシクリカル銘柄を買っていたということです。

34.戻りの一段落~3月一杯と考えておく。
すでに当レポートで縷々解説してきましたように、次の変化日は3月2-3日です。
2月26日のG20によって、その解釈を巡り、数日、市場が波乱になるとして、この変化日に到達します。
思惑通り、そこから上昇加速になっていくとしたら、その次の変化日は4月15日。
ただ、連邦税支払い期限ですから、米国における株の換金売りはその1週間前には、かなり終わっているでしょう。ということは、さらに逆算すると4月第一週は、かなり売りがかさんできているかもしれません。
つきつめると、2月12日を底値として戻り相場というものは、賞味期限が3月一杯でほぼ満了するという計算が成り立ちます。
また、安値で果敢な買いをした個人投資家は、当然、上がってくれば売るでしょう。
さらに国内機関投資家のいつもの行動原理からすると、4月入り=新年度入りともなれば、それまで上がっていただけに、そこで当然のごとくやれやれと売りからスタートを切ってくるでしょう。
どう考えても、4月にはいると危険だということになります。

35.3月一杯までに、どうやって資産回復を図るのか?
期間は限定的です。そこまでに、年初からのダメージをできるだけ回復させておかなければなりません。
足元で戻りの第一波が一巡したとすれば、次第に物色は明暗を分けてくるはずですから、なんでも持っていればなんとかなる、とは思わないほうが良いでしょう。
となると、二つの選択肢があります。
一つは、マイナス金利状態が長期化することは間違いないでしょうから、そうなりますと金融機関など機関投資家は、投資対象が決定的に不足してくるわけで、当然、不動産のような現物、REIT、株では高配当利回りが集中物色される可能性があります。
その意味では、当たり外れがないという点では、黄金銘柄リストにあるような日本ビルファンド8951は、一つの選択肢です。アベノミクスのスタート時点、2014年5月の高値まで戻るとすれば、11%のリターンですから、これだけでは小さいように見えます。
また問題は3月一杯という時間制限一本勝負ですから、こうした金利敏感株がどのくらいのパフォーマンスをたたきだせるかというと、ピッチの問題が残ってしまいます。
しかし、より中長期的には、REITは非常に安心して投資できる投資対象になってきたということは間違いないでしょう。
平均4%利回りですし、マイナス金利導入後、直近では地銀が一斉にREITを買い始めています。
本日19日の「今日のまとめ」には、奥原所員の図表解説が付してあります。
東証REIT指数に関して、わかりやすいものですから、ぜひご覧いただきたいですが、この東証REIT指数とまったく同じチャート形状が、このベンチマークの日本ビルファンド8951です。
日本ビルファンドの場合、サブプライムショック前の段階まで戻るとすると、(大手不動産銘柄は、89年前後のバブル当時の株価水準に戻っているわけですから)その水準は、100万円です。4割近い期待リターンということになります。
よりボラティリティの高いものということになると、黄金銘柄のケネディクス4321が代表的なものの一つでしょう。直近で急ピッチで上げてきているのも、その類でしょう。
恐らく、REITというのは日本で今後、かなりのブームになると思っています。
ただ、3月という期限にどのくらいリターンが取れるかというと、不透明ですから、REITのような王道で行くという場合には、3月に限らず、中長期投資で考えたほうがよいでしょう。
もちろん、持ちっぱなしは避けたほうがよいでしょう。4月入りの時点で、REITだけがたいした下げにならないということであれば、ホールドでもよいでしょうが、やはり25日足(25日線)を割って下方乖離を広げそうになれば、いったん処分したほうが良いと思います。
また調整一巡してから、再度買い入れればよいのですから、そういうつもりでいましょう。
個人的には、(まだ黄金銘柄リストに組み入れていないのですが)ややセクシーな銘柄として、星野リゾート3257があります。
今後大きく伸びるだろう、旅館・ホテルなどの再生事業のREITです。
かなり機関投資家が買っているような気もしますが、チャート形状としては非常に美しいです。
ほかには森ヒルズ3234、阪急リート3234など、ざっと見たところではよろしいかと思いますが、なにせ1株単位とはいえ、かなり値ガサのものが多いのが難点。

36.ディープシクリカルの攻め方。
ここで、3月一杯という期限付きで、もう一つ条件がそろえば、一気にパフォーマンスを上げる可能性が高いのが、ディープシクリカルです。
ただ、これも動き出しますと、海運、非鉄、鉄鋼、商社、化学、陸運、(電子・機械)部品など、非常に業種が多いので、銘柄に目移りしてしまいます。
今のところ、「赤備え」では、東邦亜鉛5707、大平洋金属5541を組み入れていますが、「大三元」点灯なら、東邦チタニウム5727も狙っています。
直近では機械や商社も動きだしていますし、かねてから化学もむずむず動いています。
なにを買っていいのか、混乱してくる状態も考えられます。
そのもう一つの条件というのは、言うまでもなく原油の上昇トレンド発生です。
26日のG20は、その前後でやはり、原油に関して産油国のなんらかの動きが同時に起こってくると想定しています。
国際政治ですから、まず話はつながっているでしょう。
この原油の動意があるとすれば、本家本元の本尊、原油そのものを買いに行けばよいということになります。
黄金銘柄リストに組み入れ、「赤備え」でも待ち伏せ的に買い判断をした原油ETN 2038はその一つです。
また、原油価格との連動性に関しては、二倍のギアリングがかかっています。
下げも同じですから、変動率は高いことになります。
仮に、これで期待リターンを考えた場合、昨年1月の安値だった43-44ドル台まで戻るとして、現在の30-31ドルから、43%の上昇期待。
しかし、ETN価格で見た場合、昨年1月の安値は3565円です。
つまり、現在の900円前後から、価格の回復が起これば、約4倍です。
ただこれは、レバレッジの効き方に、上げと下げでは1年前とかなり状況が違うでしょうから、アテになりません。
それでは、昨年9月ごろの原油価格、前回の戻り高値まで回復したとしたら、ETNは3300円ですから、それでも3.7倍。
こうしてみますと、上げ幅としては、少なくとも年初からのダメージは、余裕でカバーでき、むしろリターンもあがりそうだという見当がつきます。
あとは、そのスピード、ピッチです。
これは、産油国の材料で動くでしょうから、先述のREITの買いと違って、不透明です。
ただ、水準が安いということもあって、あまり下落でダメージを被るという可能性は、かなり低いでしょう。
この原油ブルETNでじっくり買い持ちをしながら、今後発生してくるであろうディープシクリカル銘柄で面白そうなものを、品定めするというのも一法です。

37.究極の投機的な選択。
REITが安全パイ。
ディープシクリカルが、リスク選好型。
第三の道が、投機的行動です。
それも、期待がすべての銘柄ということになるので、恨みっこなしの投資対象だと考えてください。
たとえば、「赤備え」で組み入れているシャープ6753のようなケースです。
まだ、台湾鴻海グループ傘下に入るのか、支援機構の線が消えていないのか、はっきりしていません。
どちらの選択になった場合に、どう株価が反応するかもわかりませんが、20日の取締役会で、経営再建策を討議し、最終調整に入ったということですから、早晩答えがでてくるでしょう。
「赤備え」では、どちらのケースでも、シャープの債券は、日本経済の復活と同義であると大上段に振りかぶった解釈をしているので(これには異論はあるでしょうが)、賭けているわけです。
REITやディープシクリカルという、バランスを取った両極端の選択肢でポジションを押さえたら、余裕があれば、バーゲンになる可能性があるかもしれないシャープという線も考えられるということです。
シャープに関しては、事実上の破綻ですから、投機対象としかいえないのですが、同じ流れで、充分ファンダメンタルズ的には問題なく、今後の出方次第となっているのは、言うまでもなくソニー6758と任天堂7974です。
日本株の最出遅れ銘柄、しんがりの巨頭ですが、チャートを見る限り、まだタイミングは熟していないようです。ただ今年はチャンスがあると思うので、とくに4月以降、全体が調整に入った場合に、これらが逆行高できるかは注目してウォッチしておきましょう。

週末19日段階の「絞込銘柄」ですが、黄金銘柄リストではフューチャ―4722、酉島製作所6363、ケネディクス8951などを挙げました。 チャンピオン銘柄リストでは小田急9007、そーせい4565、ヤマハ7951などを挙げました。
日々の投資対象としては、引き続きこの「絞込銘柄」をチェックください。
本日例として挙げた東邦亜鉛5707や、日本ビルファンド8951、星野リゾート3287、原油ブルETN 2038などが、この「絞込銘柄」にノミネートされれれば、ゴーサインということになります。

以上


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商号等:有限会社増田経済研究所/金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第1069号

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