今週前半、二番底へ。景気先行業種の動意に注目。

2016/02/08


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★週末の米国市場は、雇用統計の解釈に戸惑う。
先週末の雇用統計は、相場の転換のトリガーとしては不発に終わりました。
内容は、非農業部門雇用者数が15万人台と予想より下回る一方、失業率は4.9%と、2008年2月以来の水準に低下。さらに時間当たり賃金は0.12ドル(0.5%)増加。
失業率が5%台前半まで低下してくると、過去、確実に賃金上昇に結びついていたという統計上の事実が、今回も当てはまってきているようです。
この内容を、市場は評価し切れず、好感・嫌気が錯綜。
最終的に、嫌気という反応で反落しました。

★米国市場の受け止め方。
当初、市場は雇用者数の増加が少ないということから、雇用統計が弱いと受け止めたのでしょう、下げるという第一次反応でした。
ところが、この雇用者数の増減は、変動が大きいことから、3ヶ月平均でならして見ることが多いのです。
それによると、20万人を依然として超えているということで、強い雇用統計という見方になります。
なにより失業率の5%割れ、賃金がついに上昇してきているという二点は決定的で、総合的にはやはり「強い雇用統計」ということになったようです。
長らく、失業率の低下にもかかわらず、肝心の賃金が上がって来ないということを、悲観論者はずっと指摘してきたのですが、当レポートでは5%台前半にまで低下すると、必ず賃金上昇に結びつくことから、それは時間の問題としてきました。それが、ようやく出てきたわけです。
そこで、いったん下げた先物は、一点して上昇。
ところが、その後が続かず、じりじりと下落を始めて、そのまま引けまで戻ることなく下げ切って終わったという展開です。
ただ、下げ幅は、このところ乱高下しているナスダック(ハイテク)を除けば2%を下回る下落率で、これまでの戻り基調の流れを頓挫させるような下げにはなっていません。
結論を言えば、雇用統計は強い内容であり、これでは3月の利上げを見送るだけの決定的な理由にはならない、という解釈から、市場は嫌気して下げた、ということになります。

★米国市場はまだ、連銀の金融政策に甘えている。
本来、雇用統計が強ければ、これを好感し、足元で出ていた企業業績の鈍化と、マクロ指標のまちまちさを払拭させるものとして、株高要因になってもおかしくないはずですが、まだ外部環境の不安定さを気にしており、連銀が利上げペースを落としてほしいと、言わばないものねだりしている、というのが今の米国市場の立場のようです。
とはいえ、嫌気したとはいえ、相場の流れが根本的に暗転したというわけではないので、おそらくこの市場の「甘え」に対し、10日のイエレン議長による議会証言が、どう「説得」をするか、に問題は持ち越しとなったと考えて良いでしょう。
要するに、市場の期待としては「米国経済はまったく問題ないのだが、外部環境を配慮して、利上げペースは緩和することもありうる」といったような、ハト派的な証言内容でしょう。

★ダウ輸送株指数、反落も戻り基調に変化無し。
一番先行的に25日移動平均線突破を前日していたダウ輸送株(1083)も、さすがに反落しました。
が、2%以内の下落にとどまっており、25日線は維持。増田足では、3日足が25日足を突破しています。
米国のS&P500やダウ工業株など、総合株価指数の動きにだまされてはいけません。
ダウ輸送株と、総合株価指数では、動きに時間差があることを思い出しましょう。
どちらの動きが先行きを示しているかといえば、先行的なダウ輸送株です。
ちなみに、個別で先行的なベンチマークでは、例の重機のキャタピラーCATは、逆行高で続伸。前日50日線をついに突破しています。

《キャタピラー》
図表割愛。

ユニオンパシフィックUNP、航空宅配のUPSなどは、反落ですが、前日の水準をキープしています。
このようにディープシクリカルの強勢は、週末の総合株価指数とは明暗を分けており、依然として上昇基調を維持していることが重要です。
とくに、上述のキャタピラーの強さは、根本的に、言われていた原油安・チャイナショックなど、新興経済国家からの(米国利上げ以降の)資本流出が無かったか、あったとしても一巡し、収束していることを意味します。
そのことを顕著に示しているのが、金先物の動きです。

★金の上昇=ドル安。
年初からの株価下落(国債への資金逃避)というものの、直接的動悸は、オイルや中国などからの資本流出だとされてきました。
そうだったとして、それをはっきり確認できるのが、豪ドル(対米ドル)です。
この豪ドル対米ドル(1062)は、確かに年初から大きく下落。それまでのレンジを下放れてしまいましたが、1月15日を起点として、むしろ反発。
この流れは、逆に資本が再び米国から新興経済国家に戻っていることを示します。

《豪ドル対米ドル》
図表割愛

当然、ドル安ですから、これが、金先物価格を押し上げていることになります。
金先物の動きは、年初からほぼ一貫して上昇してきており、200日移動平均線を奪回するに至っています。
前半(1月)は、明らかに危機を意識したドルへの資金流入ですが、同時に株安などを背景とした、危機感の台頭から、ドル高にもかかわらず、金も買われた、ということなのでしょう。
後半(1月17日以降)は、上述のように、危機感が後退、為替市場もドル安に転じたことで、資本が資源国・新興国へ再び戻っている(波乱が収束している)ことを意味しているはずです。

《金先物》
図表割愛

しかし、ここで重大なことを見落としてはなりません。
金が曲がりなりにも200日線を突破してきた、つまり長期的なトレンドラインを奪回してきたということが、一体なにを意味しているかということです。

★まだ市場全体は、マイナス金利インパクトを甘く見ている。
金が買われる状態というのは、どういうことでしょうか。
リスク回避ではもはやありません。ダウ輸送株が50日線を奪回してきているのですから、リスクを感じているわけがありません。
それではなんでしょう?
マイナス金利のインパクトを、いち早く金市場は織込み始めているということです。
金というものは、金利がつきませんから、なんの価値も生みません。従い、リスクがあるときの逃避場所になるのがせいぜいです。
しかし、もう一つ金が上がる局面があります。一般には景気過熱によるインフレ期待のあるときです。
現在それはありません。しかし、それと似たような環境が出てくると市場は考えているのです。
それば、バブルです。
つまり、欧州に続き、日本までがマイナス金利導入で、2年債から4年債、あるいは7年債までマイナス金利状態になってしまっていることから、10年国債も風前の灯火ということになりつつあります。
機関投資家はまったく運用できません。従って少しでも利回りのあるものに資金をシフトしようとします。それが、株で言えば配当利回りの高い銘柄です。
東証一部平均でも、平均配当利回りは1.87%ですから、国債より遥かにマシなわけです。
あるいは、REITであり(現在平均3%の利回り)、その行き着く先は、ジャンクボンド(高利回り、低格付け社債)にまで買いの手は及ぶはずです。
当然、膨大な長期国債に入っていた資金の受け皿としては、これでは足りません。その溢れたマネーは、結局株式全体、安い商品市況へとにじみ出てくることになります。
非鉄、原油、そしてもっともこの環境の大きな変化に敏感に反応したのが、金先物だったということです。
米国の利上げが順調に進捗するのであればまだしも、ペース鈍化ということであれば、当然この日欧のマイナス金利状態というものが効いてきます。
黄金週報(編集長の独白)で解説した、日銀がついにバブルへの梶を切った(黒田総裁が命をかけて劇薬を飲んだ)ということの意味が、これです。
したがって、日銀がバズーカ3(マイナス金利導入)を発した29日の水準を、日経平均やドル円が割ってしまったことで、「その効果は瞬く間に剥げた」という一般的な論調は、まったく相場を見ていない、とんちんかんな解釈だということがよくわかります。
日経平均のような総合株価指数や、世界の中のローカル通貨関係であるドル円を見ていて、時代の先取りなどできるわけがないのです。

★すでに、欧州のマイナス金利状態を受けて、非鉄が一貫上昇している。
この動きは、金より、もっとはやく、一般的な産業用非鉄商品市況に端的に現れています。
それが、LMEロンドン金属取引所の非鉄国際商品市況です。
アルミと鉛は一番早く、昨年11月初旬が大底で、そこから上げ下げはあるものの、上昇基調をたどっています。
銅と亜鉛は1月12日から16日当たりが大底でそこから上昇に転じています。

《LMEの非鉄市況 1年チャート》
図表割愛

しかし、これらは「ただの」値段の変化です。
この値段が上がってきているのはなぜかという本質的な答えを求めるためには、需要と供給の状況を確認する必要があります。
経済原論では、「数量が価格に先行する」というセオリーになっています。
数量の変化が、価格に反映されてくるのに、これまた「時間差」があるということです。
では、これらの数量(在庫)を確認してみましょう。
上記の非鉄価格のチャートはすべて過去1年ですが、ここでは過去5年という長期の在庫のチャートと見てみます。

《LMEの非鉄在庫 5年チャート》
図表割愛

いかがでしょう。
過去5年の長期チャートで見ても、いかに非鉄の在庫がほぼ払底しているかが確認できます。
なるほど、米国企業業績は伸び悩み、米国マクロ指標も堅調とはいえ、まだら模様になっていますが、在庫は「まったく無い」という状況です。
これは放っておけば、価格が引き締まっていくことを意味します。現実に引き締まってきているのです。
マイナス金利状態の中で、溢れたマネーがこうしたものににじみ出てくることは必至ですから、このギャップがバブルを生む元凶となります。
いざ、需要が出始めたら、商品価格上昇は手がつけられない状態になってくるわけで、それがバブル相場へと発展していくわけです。
今、その萌芽がここに確認できるということです。

★米国債への資金逃避は、限界に達している。
さて、こうなると、年初来の下げの「二番底」確定はカウントダウンということになります。
先週末の雇用統計では、そこが明確な相場反転の動きには一見なっていません。
不発であったとさえ言えるような米国株下落でした。が、さいわい、下げ率はたいしたことはなく、チャート的にも戻り相場が頓挫したということはありません。
そこで先読みをする上で重要になってくるのが、米国債の動きです。(長期金利)
日経平均にとっては、米10年国債利回りさえ上がれば、指数上昇ができるという過去の的確な連動性もあります。
では、この米10年国債利回り(1091)はどうなっているでしょう。
先週末は、まだ低下していますから、国債が買われており、株が売られた格好になっていますが、下げ渋っているということに注目しましょう。

《米10年国債利回り 1091》
図表割愛

このように、10年国債利回りは、昨年の最低水準を割り込むという低下になっていますから、これが株から国債への資金の逃避を意味していたわけですが、長いスパンで昨年12月から、短いスパンでも今年の1月20日から、オシレーター(RSI)は、モーメンタム(勢い)が逆行現象(ダイバージェンス)をはっきり示しています。
つまり、利回りの最低水準割り込みという低下の勢いが、実はどんどん減退しているということを意味しているわけです。
このダイバージェンスが発生すると、ピンポイントではわかりませんが、利回りが早晩反転上昇する、カウントダウンに入っているということを告げています。
増田足の未来の窓によれば、木曜日に転換すると想定しているようです。
もっとこれより速い、つまり米国連銀が誘導するFfレートの動きを先行的に織り込むのが、米国2年国債利回り(1090)です。
こちらは、より顕著に、利回りの反転上昇の動きを見せ始めているようです。

《米2年国債利回り 1090》
図表割愛

これを見ますと、2年利回りは、「変化日」とした1月20日で、明確にRSIが逆行現象に入っており、早晩反転上昇するというカウントダウンに入ったことがわかります。
利回りは以降、最低水準を割り、200日線前後で揉み合い状態となり、この間、RSIの上昇に見られるように、利回り低下の勢いはどんどん後退しているということがわかります。
この三日間(水木金)と、利回りは200日線を割ったり、戻したりを繰り返し、週末は5%ポイント以上の大幅な上昇(国債が売られる)で、200日線の奪回に成功して終わっています。
これによって、週末の米国市場の動きというものが、雇用統計を「強い」と認識し、「3月利上げの先送りはなさそうだ」と解釈し、株が下がったということの裏付けということになります。
この2年利回りが反転したとすれば、10年利回りが反転してくるのも時間の問題です。
それは取りも直さず、日経平均が上がるということを意味します。日経平均は、米10年利回りと常に連動するからです。
米2年利回りの増田足では、週末の段階ですでに3日足がピンク転換しています。未来の窓でも連続ピンクが想定されていますから、おそらく200日線まで下げた2年利回りは、ここで下げ止まったことが、週明け確認できるでしょう。

★変化日期間、最後のハードル。
こういった外部環境の中で、日経平均は週明け前半で決着をつけることになるでしょう。
マイナーSQが金曜日12日ですが、11日は祭日休場ということですから、「荒れる水曜日」は、今回「荒れる火曜日」に繰り上がることになります。
従って、下にしろ、上にしろ荒れるのが、火曜日として、水曜日午前中までには、SQまでのポジションの調整が完了するはず。
これを見越して、週明け、のっけから相場は荒れる可能性もあるわけです。
月間のアノマリーでは、米雇用統計からこのSQまでの間に、底入れするということですから、二番底はこの週明け前半ということになりそうです。

★戦略方針は、キャッシュ2割に拡大して、カウンターを狙う。
以上のことから、戦略を、従来の「やや警戒モード、キャッシュ比率1割」から、「警戒モード、キャッシュ比率2割」に変更。
ただ、これは弱気なのではなく、二番底を買いにいくための、原資として2割のキャッシュを用意しましょうということです。
一番底の前に1割キャッシュ、今増加させて、合計2割キャッシュ。これがあれば、かなり戦えます。反騰局面では、持ち株が勝手に戻りますから、相乗効果が期待できます。
一番底をつけに行く過程でもそうでしたが、突っ込みの過程で売るくらい愚策はありません。そこでの実現損は遅すぎるからです。実現だけ出して、反騰局面に乗り遅れることはよほど機動的に動ける投資家以外は、無理でしょう。相場がその後戻っても、資産は戻っていないという結果になるのです。
買いのターゲットは、中小型株とディープシクリカル。配分は、ざっくり半分と考えれば良いです。
ポジション全体がそういうバランスになれば良いでしょう。
ミクロ的には、できるだけ信用倍率の1倍以下のものが望ましいですが、必ずしもそうと決め付ける必要はありません。選択に迷った場合には、この信用倍率の低いほうを優先させるということで結構です。
ディープシクリカルの区分がわからなくても、チャートが強ければ(3日足が25日足をブレイクして上昇チャネルを形成しているものであれば)なんでも良いのです。
日経平均のような指数を置き去りにして、先行上昇するものにつくというのが、ポイントです。
木が、森より先に動くからです。森が動くように見えるのは、先行して動く木が増えてきてからのことです。それを待っていては、機会喪失になるだけです。

★個別銘柄の狙い目。
黄金・チャンピオン銘柄リストの、「絞込み表」を参照。割愛。

以上

(文責:松川)

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商号等:有限会社増田経済研究所/金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第1069号